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アベノミクスの失敗?
[日本の政治]
2017年4月1日 23時56分の記事

総務省が発表した家計調査で、2月の消費支出が前年同月比でマイナス3.8%となっています。昨年が閏年で2月が1日多かったため、今年のマイナス幅が大きくなっていますが、その分を差し引いてもマイナス1.2%となっています。消費支出のマイナスは既に12ヶ月連続で、大変に深刻な状況と考えます。さらに言えば、これまでの消費支出の年平均は、2014年(−2.9%)、2015年(−2.3%)、2016年(−1.7%)と3年連続、軒並みマイナスとなっていますので、アベノミクス時代は、明確に消費が低迷している時代と言えます。即ち、経済政策は完全に失敗していますし、その『失政』は、一般の想像をはるかに超えて極めて深刻な状況を日本につくり出していると考えます。

「家計調査(二人以上の世帯)平成29年(2017年)2月分速報 (平成29年3月31日公表)」(2017年3月31日 総務省)

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安倍政権の経済政策の失敗については、本ブログで何度も指摘してきました。その最大のポイントは可処分所得ですが、この消費支出の動向を見ても明らかに改善がなされていないことがわかります。上記の総務省資料にあるように、実収入は少ないですが増加しています。実収入が増加して、消費が低迷すると言うことは、当然、可処分所得が実収入に反比例して減少しているためと考えます。実際、アベノミクスではインフレ率2%を目指してインフレ政策をしてきました。この目標は全く公言どおりになっていませんが、安倍政権はインフレ基調の状況を作り出し、実際、マイナス金利まで行っています。そして、このインフレ基調の状況では、実収入の増加は少なすぎるということは明らかです。もっと大幅に増えていなくてはなりません。
また、インフレ基調と言うことから、この4年間に食料品なども値上げされました。多くの食料品が値上げされるか、値段は変わらないが量など内容が落とされています。したがって、当然の帰結として、以下のようにエンゲル係数を高い水準に押し上げています。

「エンゲル係数29年ぶり高水準 共働き増・値上げ… 16年、0.8ポイント上昇の25.8%」(2017年2月17日 日本経済新聞)

共働きが増えて、エンゲル係数が上がっていると言うことは、収入は増えているのに、その収入増加分を超えて食費が高くなっていることを示しています。この原因を上記の日経の記事では共働きのため調理食品の購入が増えたためと解説していますが、共働きで収入が増えても、エンゲル係数が増え、他の消費に回せないのなら、それは非常に不合理な選択です。それでは共働きはしない方が良いと言うことになります。日経の記事の解説は合理性を欠いていると考えます。
考えられることは、共働きをしないと家計がピンチになるので、共働きをしなくてはならず、しかし、その収入増を超えて、インフレ基調での食料品値上げが進行していると言うことと考えます。収入は増えているのに、エンゲル係数が増加しているのですから、家計に余裕がなくなっていることは明らかです。共働きをしても実がないと言うことですが、一方で共働きをしないわけにはいかないという大変なジレンマに陥っているわけです。
それなら当然、実収入は増えても消費が低迷します。明らかにインフレ政策の影響が出ています。政府はインフレにするだけで、他は無策という姿がそこに明らかにあります。

また可処分所得の問題は、税負担や社会保障費負担の増加によって可処分所得が圧迫されていることも原因となります。即ち、実収入が上がっていて可処分所得が増えずに消費が低迷するのは、民間の問題ではなく、政策的な問題が極めて大きいと言うことです。つまりここにも安倍政権の政策的な問題がそこにあると言うことです。
現在の日本は、家計や民間ががんばっているのに、政治が大きく足を引っ張っていると言うことです。そこに無策のインフレ基調が襲いかかっているのですから、それでは国民はたまったものではないという状況であるのです。失業率が低い状況で、この状況ですから大変に危うい経済・社会情勢に既にあるわけです。
さらに、このような状況の上、格差が広がっているわけです。失業率が低いのに格差が広がると言うことは、明らかに状況は深刻で、非正規労働の問題など労働環境も全く改善していない状況がそこにあるわけです。このような状況では、共働きをしていてもエンゲル係数が上がって当然と考えますが、安倍政権はこの状況を悪化させてきたと考えます。プレミアムフライデーで解決できると考えている時点で、思考は破綻していると考えます。

安倍政権でのアベノミクスで、『異次元の緩和』など『異次元』と言うことが言われました。しかし、社会・経済状況は、安倍政権になっても次元は変わるどころか、よく言って『ジリ貧』、明らかに構造的に問題が深刻化して、経済・社会の状況に力がなくなっているというのが、実態と考えます。この状況は、鮮明に4年前の民主党政権時より確実に悪化しているものと考えます。民主党政権時は、基本的に何も出来ていませんでした。しかし、現状はその何もしていないときより悪いのですから、明らかにこれは失政なのです。安倍政権が民主党政権を批判できる資格は既に消滅しているものと考えます。
「アベノミクスの失敗?」(2017年4月2日)へ続く。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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