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ホテルニューオータニ・ルートと呼ぶべきか? ?
[日本の政治]
2019年11月20日 23時57分の記事

首相主催の「桜を見る会」の模様の写真は、インターネットでいくらでも見ることができます。報道されているもの、個人的にSNSなどにアップしているものと様々ですが、それら第二次安倍政権になってからの同会の写真を見ると、なんとも品がないなと思わざるを得ません。特に最近のものはそうで、見ていてテレビのバラエティ番組のキャストと変わらないレベルと思うほどで、もはや栄誉ある首相主催の会とはいえません。賢明で品のある方ならそんなものには出ない方がよいときっと思うことでしょう。政府が公にしようとしない招待者のレベルの劣化は、桜を見る会と首相そのものの栄誉をなくし、今回のような同会にまつわる問題が必然的に生じることは本質的に規定されていたわけです。類は友を呼ぶということですが、このことは、何の成果も上げられず、失敗や疑惑は隠し通し続け、ただだらだらと遵法精神希薄なまま続いてきた安倍政権の評価を決定的にしています。

「『桜を見る会』安倍首相『すべての費用は参加者の自己負担』」(2019年11月15日 NHK)

「『桜を見る会』“前夜祭” 『領収書は受け取っていない』」(2019年11月18日 TBS)

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さて、首相主催の桜を見る会、またその前夜に行われた安倍晋三衆議院議員とその後援者が集った前夜祭について、15日と18日、弁明が当事者である安倍議員から上記の記事のように行われています。そのことについて考えて行きましょう。

私物化だから隠ぺいする
まず、首相主催の桜を見る会に出席した人々を、現在、政府が正確に把握していないということは、いずれにせよ大変な問題です。桜を見る会のように公費で行われている催し物に誰が招待され、誰が出席し、その人選が適正になされ、妥当性があるのかを最終判断するのは、国民です。間違っても首相や政府ではありません。首相や政府は行っていることを判断される立場です。だからこそ、国会や予算委員会でしっかりと検討や検証がなされなければならないことであるのは、言うまでもないことです。場合によってはこのような会に対する予算を認めいないという決定をしなくてはならないわけです。したがって、記録が一度も開示されないまま廃棄された瞬間から政府による隠ぺいであり、桜を見る会の私物化の証左なのです。
現状は桜を見る会の情報が隠ぺいされているといえる状況ですが、招待・出席に関わる人々についてはすべて国民の前に開示されなくてはなりません。繰り返しになりますが、招待・出席した人が妥当かどうか、その会は私物化されていないか、そして予算は妥当かなどを判断するのは国民だからです。
また、公費で公の場に呼ばれているのに、個人情報云々は関係がありません。個人情報がというのなら、招待状が届いている時点で問題にすべきです。公費で行われている公の会に出席しているのですから、その出席が公になることを拒むというのでは、国民への背信行為に他なりません。プライベートではないのです。公明正大であるべき国民の総意に基づく政府が主催する公の会に出席しているのに、個人情報が云々というのでは、そもそもどうしてその会に出席したのかということになります。これは勲章をもらって、個人情報は開示できないので、公表しないでほしいといっているようなもので、それなら最初から受けとらなければよいですし、同時に授与する必要もないわけです。そしてそんな非公表にされたら、そのような政府の行為の妥当性を国民が判断できません。個人情報がといって桜を見る会に出席するような人は、そもそも出席の資格がないということは明らか、国民に背を向ける人々なのです。そのようなやましい人々をどうして呼ぶ必要があるのでしょうか?
安倍首相に呼ばれたことが汚点だと思っているからのでしょうか? 将来、いずれは間違いなくそうなるでしょうが、現状では大抵の人は総理の桜を見る会にお誘いがあったこと自体を名誉だと思っているでしょうし、そういうものを数多の人々がSNSにさらしているのではないでしょうか。むしろ出席者の全容が明かされて困るのは安倍政権の方でしょう。相応しくない人が多数いるからそういうことになると考えますが、だからこそ、安倍政権が個人情報を盾にとって明かさないというのが第一義の理由でしょう。それなら国家国民にとって開示する必要は言うまでもなくあります。国家に対する反逆的なことがあるのではないかと考えます。

前夜祭の当事者は安倍議員、選挙区などの安倍後援会の人々、そしてホテルニューオータニ
一方、前夜祭の問題は、安倍晋三議員の説明責任ではありません。これは公職選挙法に抵触するか否かの犯罪に関わる問題です。ですので、11月15日などに本人から行われた説明は説明責任ではなく、弁明であり、安倍議員側の言い分でしかありません。したがって、その言い分は言い分として聞くけれど、真偽のほどは当事者以外がきっちりと調べるということにつきます。だから警察や検察があるわけですが、安倍議員の言い分で終わりというのでは、警察や検察などは必要ないといっているに過ぎません。行政府の長がこれではまったく困ります。
また本ブログで何度も指摘していますが、最近、問題の当事者が自ら問題ないというケースが非常に多く見られます。先に大臣を辞任した河井、菅原両氏などや関電の案件も同じです。問題の当事者が言い分としては私は無実だというのは良くあることですし、罪から逃れるために罪があるとは通常いいません。だからといって、それで終わりではないわけです。特に国民の代表として三権の中枢にあるものの問題は、徹底的に調べられなくてはなりません。性善説ではなく、性悪説で対処すべきですし、安倍議員のように発言がコロコロ変わる人物の場合は、なおさらでしょう。

前夜祭の懇親会について一人5000円というのは確かに安い値段です。街の居酒屋で忘年会をしても、料理とお酒でそのくらいの金額はとられます。そこに高級寿司店のお寿司が振る舞われているのなら、その安さはなおさらでしょう。普通、政治家の政治資金パーティーの会費は2万円です。もちろん政治資金を得るために開かれるパーティーですから、ホテルの会場費、飲食代にすべての金額が振り分けられるわけではありませんし、人数分の飲食物が振る舞われるわけでもありません。
ただ、あまりにも料理が少ないと不満がでるので、それなりの質や分量を出します。前夜祭の懇親会に出ている人は、地方から支援者であるので、貧相な食事では、かえって不満がでて、意味がなくなりますので、ケチ臭いことは通常できないと考えるのが自然です。ケチ臭い料理を出して、首相がこれかよと選挙区に帰っていわれたら逆効果です。
だから、高級寿司店というのは、首相である安倍議員の場合はあり得ると考えます。また、実際、地方から出てきてその夜の夕食をこの懇親会でと考えている人はかなりいると考えられるので、あまりにも貧相な料理は出せないでしょう。私なら怒ります。

他に、政治家のパーティーでは事務所スタッフにも宴会後に料理が普通は用意されていますから、そのようなものはあったでしょう。それがどのような会計になっているのかというのもポイントとしてあります。

さらに、ホテルニューオータニ側と誰が、この宴会の部屋や食べ物の内容を決め、責任をもってとりまとめているのかというポイントがあります。その際、安倍議員側の関係者は関与しているのか、していないのかということはポイントです。ニューオータニは誰をお客さんの窓口として相手にしていたのか、それはもちろんその800人ではありません。その代表者たる者が誰なのかということで、そこに安倍議員、事務所は関係しているのかしていないのかということです。
すべてホテルニューオータニ側が行っているのなら、当然、それはホテルニューオータニから安倍議員への利益供与というポイントが出てきます。なぜそんな催し物を行う必要がホテルニューオータニにあるのかということが、明らかにポイントになり、そして、この両者には特別な関係があるかないかがポイントになるのです。安倍後援会の人々を対象にした宴会ですから、普通は安倍議員か事務所のものとホテルニューオータニが連絡を取り合うでしょう。こわくてそんなことは勝手にはしないでしょうし、普通はできません。むしろ、安倍議員側と何の接触もなく勝手にこのような会をホテルニューオータニが企画・実行するのなら、常識的にはかなり無謀な行為ということになるでしょう。信用を落とすだけです。
この前夜祭の宴会には安倍議員が出演していて、その選挙区の人、安倍講演会の人が集っています。そうなるとこの前夜祭の当事者は安倍議員、選挙区などの安倍後援会の人々、そしてホテルニューオータニという大きく分けて三者の関係になります。
「ホテルニューオータニ・ルートと呼ぶべきか? ?」(2019年11月21日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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