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通常国会開会式での天皇陛下のお言葉
[日本の政治]
2016年1月4日 20時48分の記事

永田町で働いていると、国会が始まる日は、なんとなく忙しくなり、開会式というのはテレビ画面をちらちら見ながらというものになりがちで、セレモニー的な受け止めをしてしまいます。しかし、改めて天皇陛下の開会式でのお言葉を見つめてみたいと思います。

「天皇陛下、国会開会式で議員にお言葉」(2016年1月4日 日本経済新聞)

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本日の通常国会開会式で、天皇陛下は以下のようにお言葉を出されています。

国会が、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため、永年にわたり、たゆみない努力を続けていることを、うれしく思います。ここに、国会が、国権の最高機関として、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します(2016年1月4日 日本経済新聞)

天皇陛下の国会開会式でのお言葉は例年ほとんど変わりません。しかし、改めて見つめると非常に重要なお言葉であることがわかります。
お言葉では国会議員が国民の代表者として位置づけられ、その代表者の参集する国会が、「国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄」を目指さなくてはならないとおっしゃっています。このお言葉は国会の存在が何のためにあるかということですし、同時に政治の存在意義そのものです。国民の生活の安定と向上、そして世界の平和と繁栄について、国会が、政治がしっかりと取り組んでいるかどうか、そのことを常に実現していくことを政治は志向しなくてはならないと言うことです。このことは、政治において唯一明確な目指すべき方向です。
果たして、今の政治は国民の生活の安定と向上を本当に実現しているか疑問に思いますし、世界の平和と繁栄に力を尽くしているかは疑問のあるところです。
次にお言葉の後段では、国会を「国権の最高機関」とおっしゃり、その国権の最高機関が国民の信託に応えなくてはならないとおっしゃっています。これは憲法の精神ですし、法の支配によるわが国の根幹とも言える部分です。
しかし、今や国会軽視と言われる政治が平然と行われています。同時に憲法を無視したり、また憲法違反という国民の声が上がることを平然と実行するのが現在の政権です。いかにその政治を正常化するかと言うことが、今まさに政治の課題であるのは間違いありません。

天皇陛下のお言葉は短いものですが、しかし、その中に政治がいかなる方向に進んで行かなくてはならないかが、非常に明確に示されています。
今上陛下がご即位の時に出されたお言葉には、いかなる時も国民とともにあることを念願された先帝の御心をお心とされるとのお言葉とともに、以下のようにお言葉を出されています。

皆さんとともに日本国憲法を守り,これに従って責務を果たすことを誓い,国運の一層の進展と世界の平和,人類福祉の増進を切に希望してやみません。(「即位後朝見の儀」宮内庁)

また、以下のお言葉は、ご即位後の国会の開会式で出されたお言葉です。このお言葉もまた心に刻むべきものと心から思います。

本日,第114回国会の開会式に臨み,全国民を代表する皆さんと一堂に会することは,私の大きな喜びであります。
我が国は,今日まで,幾多の苦難を乗り越え,国民の英知とたゆまない努力により,国民生活の安定と繁栄を実現し,平和国家として国際社会に名誉ある地位を占めるに至りました。内外の諸情勢が変動する中で,我が国は,国民福祉の一層の向上を図るため不断に努力するとともに,世界の平和と繁栄を目指し,自然と文化を愛する国家として広く貢献することが期待されています。
ここに,国会が国権の最高機関として,その使命を十分遂行することを切に希望します。(「第114回国会開会式でのお言葉(平成元年2月)」宮内庁)

「平和国家」であること、そして「世界の平和と繁栄を目指し,自然と文化を愛する国家として広く貢献すること」が明らかにわが国の進むべき方向性なのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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