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良い傾向:野党が消費税凍結法案を提出へ
[日本の政治]
2016年3月25日 23時55分の記事

今から3年ほど前、ある国会議員から選挙対策本部長をして欲しいと提案されたことがありました。いろいろとお話をしているうちに、消費税増税の話になったのですが、どうも考え方が違うなと思いました。とても人柄が良く、まじめで好きな方でしたが、最終的に別の方を推薦してお断りをさせていただきました。

「野党4党「消費増税凍結法案」民主に呼び掛ける方針」(2016年3月24日 テレビ朝日)

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その方は、民主党政権下で大連立をして行った消費税増税について、『増税は絶対に正しい。しかし、民主党が自民党と組んだことが許せなかった』と述べていました。このことを伺っているとき、消費税の問題点を把握していないと正直思いましたし、『民主党が自民党と組んだこと』が問題というのは、党派制がポイントになっていて、本質的に国民全体、国全体のことは視野にないのだなとも思いました。
この方はとても良い方で、このお話しを聞いたときはとても残念でしたが、選対本部長をする時間もなく、いろいろなことを考え、別の方を紹介して、ご辞退しました。お話しをいただいたのはとても嬉しかったのですが、そう判断しました。この方は、3年前の選挙で、私が紹介した方が選対本部長になり、当選し、今も議員として活動しています。
今、この方が消費税増税について、どうお考えかはわかりません。もしかしたら考え方を変えたかもしれません。いずれにせよ、思うことは、この方の認識が特別と言うことではないと言うことです。むしろ、国会議員の中では平均的な認識なのではないかと思います。マクロ経済学については認識がなく、政治哲学も希薄、良く考えていない、そんな政治家はいくらでもいます。これは昨今の政治家にまつわる報道を見ていてもわかることと思います。本人が一生懸命考えて正しいと判断しても、実は間違っていると言うことは多々あるものと考えます。実際、安倍首相も約5年前、日本が東日本大震災で苦しんでいる時に出された今回の消費税増税案に賛成票を投じています。少なくともこの時は見識はなかったと言うことです。
昨日、一昨日と本ブログ「ステグリッツ氏とクルーグマン氏?」(2016年3月23日)で、二人のノーベル経済学賞受賞者が消費税増税に関して反対していることを書きました。他、経済指標を見ても消費税8%への増税後、全く良い数字が現われていません。こういう状況を見て、政治家が自らの判断が間違っていたと考えを修正することは、当然、行われなくてはならないことです。そうでないと困るわけです。誰が困るかと言えば、その議員の判断のいかんによって国民が困るのです。
このような中で野党4党が、消費税凍結法案を提出する方向で動いていることはとても良いことです。国会において大連立という形で成された誤りをもう一度、今国会で問い直す非常に良い機会になります。民主党もメンツにこだわらず、状況に即して素直に判断すべきでしょう。そうしない限り、次の時代には移行できませんし、過去の誤りを正すことにもなりません。また、安倍政権が消費税増税を実施しないことを、選挙の争点にしないことにも役立ちます。同じ争点を二度続けて総選挙の争点にして、集票のポイントにするのはやってはならないことです。このようなことは純粋に国民を見ていない施策であり、あくまでも今国会においてこの問題は解決すべきことでしょう。中々、安倍首相が消費税増税を実施しないことを言わないのは、あくまでも国会中に決めてしまって選挙での争点にならないことを避けるためと考えます。
いずれにせよ、野党4党が、消費税凍結法案を提出する方向で動いていることはとても良いことであると考えます。
そして、問題なのは消費税だけではありません。既に安倍政権の経済財政政策が破綻をしています。このことは本ブログで何度も指摘しましたが、以下の記事ではスティグリッツ教授が同様にアベノミクスを評価していません。当然の帰結でしょう。この上、TPPを推進すればさらにおかしくなっていきます。スティグリッツ教授はTPPの問題性についても批判していることがこの記事で書かれています。また、後日、これらのことは触れるとします。

「政府公表資料はウソ 安倍官邸が隠した米教授“本当の提言”」(2016年3月24日 日刊ゲンダイ)

今年1月の家計調査では34歳以下の若年層の消費支出が前年同月比マイナス11.7%と異常な数値を示しています。全世帯平均でも前年同月比マイナス3.1%です。昨年10-12月期の法人企業統計では製造業の経常利益が前年同期比マイナス21・2%となっています。これは暖冬やデフレマインドによって引き起こされていることでありません。明らかに構造的問題です。即ち消費税増税実施を含めた安倍政権における経済財政政策(アベノミクス)の失敗によるものです。アベノミクスは現状、失敗にして終焉するという状況で、新アベノミクスなどと施策の責任をとらない形で新しいことに移行するなどと言うことは許されない状況と考えます。
このような状況において、世界的な経済不安があるというのが現状で、大変に問題ある状況であるわけです。現政権においては既に状況を乗り切れるとは判断しません。新しい基軸をつくり、明らかに次の時代を新しい体制でつくり上げていくことが要請されています。そして、野党4党が、消費税凍結法案を提出する方向で動いていることはこのための第一歩に間違いなくなるでしょう。この動きは、与野党を問わず、次の時代のための胎動と判断します。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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