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結論先にありき
[日本の政治]
2017年2月12日 23時59分の記事

昨日、本ブログ「南スーダンから自衛隊は即刻撤退すべき 」(2017年2月11日)で南スーダンへのPKO自衛隊派遣について日本政府・安倍政権・稲田防衛相の対応を取り上げました。

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この問題について稲田防衛相の「戦闘」を「衝突」と言い換える問題性とポイントは昨日、書きました。現在の南スーダン情勢については以下のような記事が出ています。

「民族集団から犯罪組織まで、新たな武装集団が続々出現 南スーダン」(2017年2月11日 AFP)

実際、新たな武装集団が出現し、跋扈して大変な状況になっていることがこの記事でわかります。そもそも内戦状態の南スーダンに平和維持活動として自衛隊を派遣したわけですから、その南スーダンにおいて戦闘が『国家、もしくは準国家』で行われるという状況ではないことは明らかです。だからこそ、上記記事のようにこのカテゴリーに入らない武装集団が跋扈し、『戦闘』が激化し内乱状態が悪化しているわけです。
このようなことは、そもそも南スーダンに自衛隊を派遣するときにわかりきっていることであり、そのことが予期できないようなら、それは日本のインテリジェンスの欠如を確実に示しますから日本が自衛隊をPKOに派遣する力量がないことを当然、意味します。
ただし、稲田防衛相発言のこのようなカテゴリーの話が持ち出されても、昨日も書きましたが、昨年、南スーダン政府と国連軍が戦闘したことが報道された時に、既に自衛隊は撤退すべきであったのです。日本政府は真摯に対応をしていませんし、明らかにおかしな対応をしています。

稲田大臣の発言から見れば、南スーダンは戦闘がないという地域ですから、PKOの派遣が可能となり、同時に、その戦闘がないと言うことを大前提に自衛隊は派遣されるわけです。しかし、それは、『法的』な意味で戦闘がないという実際には戦闘が繰り返される地域に、実際の戦闘を想定しない自衛隊が送られると言うことです。つまり、現実と自衛隊の状態には極めてギャップがあり、危険な地域に丸腰の自衛隊を送り込んでいると言うことなのです。
かつて、自衛隊のPKO派遣において、社会党が武装することを許さず、それをもって自衛隊を危険な地域に丸腰で送り込むという批判が散々起こりました。しかし、現状、安倍政権・稲田防衛相の対応は、まさにこの社会党と同じことをしているのです。全く自衛隊員の命を軽く考えているものだと思いますが、このようになるのは、現地の状況などを無視して、派遣ありきの結論があるからでしょう。この結果、自衛隊員の命の軽視という状況となっているものと考えます。いつもの通り、日本は現実よりも他の何かが優先となり、国民が犠牲を強いられるのです。それは確実に滅びへの道です。
したがって、このように考えれば、自衛隊は南スーダンから即刻撤退すべきなのはあきらかですし、また今の日本政府・現政権には軍事的な問題に関与するにたる責任感も能力も欠如していると考えます。総じて日本には軍事管理などこのような問題に対処する政治的成熟度、能力が欠如し、このことを無視すれば必ず将来、日本と日本国民にとって悲劇と破滅をもたらすと考えます。

上記記事のように様々な組織に武器が行き渡るので、新たな武装勢力が誕生しているわけですから、このような状況を収拾するためには、海外からの南スーダンへ武器輸出を止めるしかないわけです。しかし、昨日も申し上げたように、日本政府・稲田防衛相は武器輸出禁止のコンセンサスを拒否し、そのコンセンサスを作ろうとした米国へ反論をしたわけです。その反論は現地情勢が不安定になるからと言っているのですが、現状、武器輸出が止まっていないにもかかわらず、全く安定化していないことがこの記事からもよくわかります。普通に考えて武器輸出がとまらないで状況が安定化しないのは当然です。この稲田防衛相の発言も責任を伴うことと考えます。
まさに言っていること、やっていることと現実との辻褄がまったくあっていません。本当に状況対応力に欠けた防衛大臣だと思います。そして欺瞞ばかりです。政権自体がまったくそういう本質をこれまでずっとさらけ出してきました。

また以下のような記事が出ています。

「南スーダンで『戦争犯罪の可能性』=市民攻撃に警告−国連安保理」(2017年2月12日 時事通信)

明らかに、日本政府が承認している南スーダンへの武器輸出によって戦闘が起き、状況が悪化、『戦争犯罪』とまで言われるような状態になっているわけです。そして、国際社会はこの状態を『戦争』と表現しているわけです。これが現実的な認識、表現でしょう。
しかし、日本政府・稲田防衛相は、戦闘と言うことすら否定しているわけです。それはこの国際社会の認識からは比べれば、明らかに欺瞞であるわけです。そして、この欺瞞、言葉のごまかしのために、南スーダンへの武器輸出は禁止されず、戦闘が拡大し、戦争犯罪の可能性が言われているわけで、そのお先棒を担いでいる存在の一つは明らかに日本ということです。まさに日本が起こす戦争です。そして、そこに自衛隊が派遣されているのです。

自衛隊を南スーダンに派遣し、駆けつけ警護という任務を実現し、同時に南スーダンへの武器輸出ということは、何があってもやるという結論先にありきというのが現政権の実相と考えます。まるで原発と同じように現実は無視なのですが、このような結論・計画が何を意味するかは良く考える必要があります。それは昨日書きました。
昨年、稲田防衛相の夫名義で重工各社の株を保持していることが報じられました。このような利害関係は資本の論理・戦争の構造そのものと考えます。そして、このような重工各社は、武器・装備品を作ってもいますが、原発にも関わっています。決して全てが無関係と言うことは全くないと考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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