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キーワードは無責任
[日本の政治]
2017年6月24日 23時59分の記事

政権によってなされる現在の政治はめちゃくちゃですが、この本質は一体何なのでしょうか?

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6月23日のNHK『ニュース・ウォッチ9』では、沖縄の「慰霊の日」に関連して、ひめゆり学徒隊などの学徒隊について特集をしていました。先の大戦において、沖縄では21の学徒隊がり、2000名が動員され、半数が命を落としています。十代の少年少女が戦場にかり出されて、半数が命を落としていると言うことです。
この特集ではその学徒隊を引率した先生と学徒隊に従事していた方の言葉や資料を紹介していました。そこには、国を信じ、勝つことを信じ、懸命に過酷な任に携わった姿があります。
しかし、一方で、この学徒隊が米軍に追い詰められ、隊を解散するとき、引率した校長先生が以下のように言葉を発しています。

こんなことになるなら、皆をふるさとに帰しておくんだった。軍の命令に従うべくもなかった。申し訳なかった。

この言葉には、学徒隊解散時のように米軍に追い詰められた悲惨な状況になることがあらかじめわかっていたら、子ども達を軍の命令に背いてでもふるさとに帰すべきだった、という後悔の想いがあります。同時に戦争へと突き進む国において抗しきれなかった後悔があり、生徒の命をあずかり、その半数を死なせてしまった悔恨、その罪を生涯をかけて追わなくてはならない罪の意識があると思います。この想いは、この特集で紹介された「ひめゆり平和祈念資料館」に展示されている以下の言葉にも確認できます。


戦争へひきずられていった罪

あのときは、どうにもならなかったと、
どうして言えるであろうか。
戦争への歯車にはめこまれ、
ひきずられて、
戦争へと生徒を引率した
教師の責任である。
不明にして、さめた眼ももたず、
戦争へひきずられて行った罪である。
その根は深くおそろしい。
私は、今も
この重い負い目を負い続けている。

仲宗根政善『石に刻む』


上記の「こんなことになるなら」という校長先生の言葉には、もう一つ意味があると考えます。それは、時の政府はこんな状況になるなんて言っていなかったではないか、勝つと言っていたじゃないか、同胞を守ると言っていたじゃないか、そういう憔悴と怒りが混ざった重い想いが詰まっていると思います。だから軍の命令に従ったのだと。無責任ではないかと。そこには国や軍の発言の無責任さがあり、だからそれを信じて、多くの子どもを死なせてしまったと悔やんでいると受け止めます。
このことは、やはりこの特集で学徒隊に従事した女性の以下の言葉にもはっきりと表れています。


勝つものと思っているから、やらなくちゃいけない
「国のために」というのがあるから、そんなに怖いとも思わなかった
気持は国のためにと思って(戦場に)行ったはずだけど
結局は無駄死にじゃないですか


「気持は国のためにと思って(戦場に)行ったはずだけど、結局は無駄死にじゃないですか」。国のために戦場に行ったという気持が、無駄死になるということに、時の政府の「無責任さ」、「いい加減さ」が、にじみ出ていると思います。
明らかにそこには、軍も含めた時の政府の無責任、同胞・国民への無責任、国への無責任が非常に色濃くあります。この“無責任”や“いい加減さ”、“同胞への想いなさ”というのが、沖縄を筆頭に日本を覆い尽くしていた当時の政治の実相と考えます。


この日の『ニュース・ウォッチ9』では、沖縄の米軍基地についても特集をしていました。
基地というのは、自衛隊、米軍、安全保障という面がありますが、一方で経済的側面、社会的側面もあります。さらに基地というのは、国有地、公有地という側面があります。これは言うまでもなく、本ブログで指摘してきたように、利権の話にも直結するということでもあります。沖縄の基地については、よく地元利権の話を聞きます。建設会社のA社とB社が争っているなどの話は枚挙に暇がありません。
これは本土でも同じです。基地を新設するとなれば、そこに利権が絡みます。少なくともその可能性は考えなくてはいけません。そして、基地の跡地というのもやはり莫大な利害が関わります。基地の跡地に関してはあまり注目されていませんが、そこに大きな盲点があるのではないかと考えます。
昨今、問題となっている加計学園問題や森友学園問題での焦点は、この国有地の問題であり、一方で規制緩和に恣意的な要素があり、利権になっているのではないかと言うものです。それが政権・政府の疑惑となっているわけですが、それならこの基地に関することも例外ではないはずです。今やそういう眼で見なくてはならなくなったのが、白日の下にさらされたこの両学園問題の実相と考えます。
カジノも、規制緩和で行われるものですが、今後、そこに国民や公共の利益を無視した利権や恣意性がないかということも、しっかりとチェックすべきことであるのは言うまでもありません。
このようなものをしっかりとチェックする必要があるというのが、加計学園問題や森友学園問題の本質と考えます。
この両学園問題は、私からすると教育の名を借りての利権構造が透けて見えるわけです。しかし、このようなものは、教育を根底から歪めると考えます。それは、目的が教育ではないからで、だから疑惑が生じるわけです。
これは防衛問題においても同じで、やはり利権などが関わると防衛を根底から歪めます。それは、目的が防衛ではないからです。


加計学園問題や森友学園問題では、二転三転する大臣の答弁、政権の対応の悪さなどが目立ち、世論調査でも70%近くがこの両問題での説明が不十分と答えています。つまりそこにある政府の姿勢は“無責任”と判断されているわけです。
これらを見てきて本当にひどいの一言ですが、今頃になって、首相夫人が森友学園問題で報道機関は「こちら側の思い、きちんと伝えてほしい」(2017年6月23日 朝日新聞)という始末です。先の国会で森友学園問題が焦点となっていたとき、首相夫人は私人という驚くような閣議決定をしてまで、首相夫人の国会での発言を避けたわけです。そのとき、首相夫人が国会の場できちんと言えば、間違いなく報道機関はしっかりと正確に伝えていたことでしょう。本当に驚くような発言です。やはりそこには首相夫人としての“責任感”がありません。
このような政権・政府の姿勢や首相夫人の発言を見ていると、トンデモナイ状況に日本は今やあるなと改めて思います。このような独裁政治というか、国民への無責任な政治は、遠い国のお話しと思っていましたが、今や眼前でそれが起こっているという感覚を持ちます。
そして、このような国民への無責任さをさらけ出しておいて、憲法を改正するとよく言えると思います。その憲法は間違いなく国民に対して無責任なものでしょうし、そのことについて国民が聞きたいと質問しても、はぐらかしの答弁が頻発するでしょう。既に国会ではこのことが常態化しています。
このような政治を行っておいて、憲法を改正するというのは、あまりにも軽いのです。現憲法にどれだけの意味があるかわかっていないと言うことです。先の大戦での沖縄の惨状、日本の破滅がわかっていないと言うことです。
そして、一方で改正を推進する人にとっては、この改正が都合が良いものであることはよくわかります。憲法改正をいうなら、まず身をただせと多くの人々が考えているものと思います。国民に対する無責任な政治がどれだけの犠牲をもたらすか、先の大戦における沖縄の惨状、破滅に至った日本の行く末を見れば明らかです。国民へ無責任な対応をするというのは、このことがいまだにわかっていないことを明確に示しています。わかっているのなら、現政権や政府の無責任さをまずただすべきですが、実際には渦中の人、当事者であるわけです。そのような政権が、復古主義を標榜し、憲法を改正すると言っているのですから、かつて来た道をまたこりもせずに歩んでいるということは、何よりも明らかなのです。

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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