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ユリノミクス
[日本の政治]
2017年10月7日 5時7分の記事

小池新党が、公約を発表し、以下の記事のように経済政策を「ユリノミクス」と名付けています。

「ユリノミクスとは? 『希望の党』小池百合子氏が公約発表 アベノミクスに加える経済政策を掲げた」(2017年10月6日 ハフィントンポスト)

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このネーミングについては本ブログ「これでは“希望”は見いだせない」(2017年10月2日)で書きました。
上記記事で、経済政策はマクロ経済政策を続けると書かれています。それは良いことです。ただ、多分、小池新党はマクロ経済政策を続けるという意味はわかっていないと考えます。マクロ経済政策を行うということには、実は二つの陥穽があります。一つは資金の配分において恣意性が生まれること、もう一つが公共事業の最たるものとしての戦争経済にシフトする可能性があることです。このことは、ザ・フナイ2017年10月号の巻頭鼎談で申し上げました(33ページ)。だから、実際、マクロ経済政策を行う安倍政権において、まさにこのことが起きたわけです。それが加計学園問題や森友学園問題の本質であり、安倍政権の安全保障政策の本質です。この両学園問題は、マクロ経済政策の悪しき象徴の最たるものなのです。
マクロ経済政策では、資金の恣意的配分が生じる、つまり「しがらみ」ができるわけです。だから、そのような恣意性は疑惑でもあってはならず、この政策を行うなら徹底的に追求し、清潔さを保たなくてはならないわけです。しかし、なぜ、小池新党はこの加計学園問題や森友学園問題を追求することを第一に掲げて声を最大限にして言わないのか? そして、なぜ、加計学園問題の国家戦略特区で名前が出てきた竹中平蔵氏の名前が、小池新党にちらつくのか? 明らかにそこに欺瞞があると考えます。私からは豊洲問題についての小池氏の対応と同じものを感じます。つまり、ごまかしと上記二つの陥穽の本質は変えるつもりがないと言うことです。だから、この小池新党のマクロ経済政策は確実にしがらみと資金の恣意的配分という問題が生じると考えます。安全保障問題もまた同じです。

小泉・竹中改革で地方の疲弊は加速度的に進みました。だから、マクロ経済政策を行い、地方へ再分配をして、地方を活性化させていかないと日本は衰退すると言ったのが国民新党であったわけです。そのような政策の中での郵政民営化反対であったわけで、単に郵便局を守るために反対をしたわけではないのです。そしてマクロ経済政策を掲げていたのは、当時唯一、国民新党だけです。つまり、たった10人の政治家しか、その当時、マクロ経済政策を理解していなかったわけです。
私は元々、激烈な新自由主義・トリクルダウン主義者です。国民新党に入ったときはまさにそうで、心の中では、その経済政策をあざ笑い、郵政民営化賛成、竹中平藏さん万歳万歳と言っていました。ただ、段々、日が経つにつれ、自分が間違っていたことに気がつきました。そして、政治においていかに経済を考えなくてはならないかもしっかりと国民新党の先生方に教わり、マクロ経済政策の必要性と意味がわかりました。それから早12年。今や自民党も小池新党もマクロ経済政策を言うようになっています。それは、当時の国民新党がいかに正しい判断をしていたかという明らかな証左でしょう。
そして、その政策を作り上げたのが亀井久興先生、亀井亜紀子さんとエコノミストの菊池英博先生、さらにそこに亀井静香さんが関わっていたわけです。いまだにこの三人の政治家が最もマクロ経済政策を熟知しています。ただ、その一人の亀井亜紀子さんを小池新党は拒否しましたから、はっきり言って小池新党のマクロ経済政策は普通に見てまやかしだと考えます。明らかに政策で言っていることと、実際が矛盾しています。亀井亜紀子さんは立憲民主党に行きましたから、同党は非常に良い経済政策をこれから出すでしょう。

竹中平蔵氏は、かつて東京などの大都市が活性化して、そのおこぼれが地方に回っていくというトリクルダウンを言っていました。もちろん、そんなことは起きなかったのですが、この発想は、以下の記事のように、竹中氏が仲介をしたと報じられた先日の小池氏、大阪府知事、愛知県知事の協定での三都物語にもうかがい知ることができます。大都市優先と言うことです。そして、それはそこに利益があるからということと考えるのが自然です。地方はどんなことがあっても切り捨てられると考えますし、あっても利権化する国家戦略特区のようなものと考えます。

「小池氏と維新、竹中平蔵氏が仲介 橋下氏も『密約を』」(2017年10月1日 朝日新聞)

そして、アベノミクスの内の成長戦略が、新自由主義というマクロ経済政策と真逆の方向性で矛盾をきたし、失敗し、それが国家戦略特区へとなるわけですが、この成長戦略がユリノミクスでの「さらに国民の皆さまの魂に突き刺さるようなきめの細かい経済政策、社会改革を行っていかなくてはならないのではないかと考えています」(2017年10月6日 ハフィントンポスト)という部分であるのは間違いないでしょう。

しかし、このユリノミクスを出したことによって、小池氏は衆院選への出馬をするしかなくなるでしょう。政権公約として自らの名前を付けて、党首は国政の表には立たず、所属の国会議員がその実現のために動くというのでは、どこぞの教祖様と同じです。まさに君臨する女王様という位置づけであり、小池氏はそんなにすごい人なのかという、ただそれだけがポイントになります。まさにカリスマと独裁と言うことになるだけです。ただ、その本質は無責任であって、それにつきあう政治家もまた国民に対して明らかに無責任なだけでしょう。
また、日本全体の経済政策を自分の名前を付けて出して、それで都知事の仕事に専念しますと言うことは既に許されません。無責任のそしりを必ず受けるでしょう。仮にそうなると小池新党の賞味期限は短くなりますし、都知事としても短命になります。リコール運動だって起こりえます。ただ、国政に出れば、都知事職を投げ出したと言われます。実は、既にどちらもいっても無責任ということなになっているのです。どちらの無責任をとるのかと言うことですが、普通ならこの時点で政治家失格です。ただ、「ユリノミクス」という言葉を出したことは、普通に考えれば、出馬をするという「無責任」を選択するということだろうと考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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