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ちょっとした異変
[日本の政治]
2018年9月15日 1時10分の記事

昨日(14日)の日経平均株価は終値が237円高の23,094円でした。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』では7ヶ月ぶりに23,000円台の高値を回復したと報じていました。以下の日経の記事でも同じように報じています。

「日経平均、2万3000円台回復 約7カ月ぶり高値 業績堅調で株価に割安感、買い戻し広がる」(2018年9月14日 日本経済新聞)

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テレビのニュースなどでは、株価動向についての短い解説がなされますが、基本的に私はそういう解説を聞いてもほとんど意味のないもといつも思っています。そういう私が株価の動向について言うのはどうかとも思うのですが、昨日の株価の動きを見ていて少しおかしいなと思うことがありました。それは日経平均の現物と先物の乖離です。いつもテレビ・ニュースで報じられる値は現物で、昨日はそれが7ヶ月ぶりの高値になったと報じられていたわけです。しかし、先物はずっと現物より100円から200円低い値になっていました。後場はずっとそういう傾向で現物の終値時でもそのようになっています。このような動きを見て最初は表示がおかしいのかなと思っていまいしたが、そうではなかったわけです。
これはどうことかと考えて、ひとつ思い浮かぶストーリーは、今日の株価の実相は売り先行で推移し、特に外国人が売り逃げたのではないかというものです。昨日の売買高は1,732,433,100株で、13日は1,346,750,000株で、14日は売買高が大きく跳ね上がっています。ここ最近の傾向は13日のものと同レベルです。そして、14日の日中はドル高、ユーロ高で推移しています。つまり、外国人が売り抜け、日本円をドルなどに換金する動きがあって円安に振れていると考えられます。そこには日本からお金が出ていく状況があるものと考えます。
ただ、そうなると普通は株価は下がりますので、高くなったと言うことは誰かが買っているということです。それが誰かといえば、本ブログで何度も指摘しているように公的資金と言われるGPIFや日銀ということが十分考えられるわけです。
実際、昨日は自民党総裁選の公開討論会がありましたから、公的資金において株価が落ちないように、さらに高値が印象的になるように23,000円台を目指すという“オペレーション”があったと十分考えられるわけです。政治は日曜日に動くと言われますが、それは日曜日に報道番組などが多く、また新聞などをゆっくり読む時間があり、これらが世論を動かすからです。そうなると明日の日曜日に話題となるのは、この23,000円という値になり、そうなると経済問題については、安倍政権は優位に立てますし、なんといっても総裁選前に最後の日曜日ですから、そのような“オペレーション”するのは十分に価値があることとみることができます。
このストーリーが正しければ、かなりの高値圏で“公的資金”は株を買っていることになりますので、実質、非常に大きな穴がまたあいた可能性があります。それは国民の老後がさらに厳しくなるということですが、その可能性は非常に大きいものと考えます。

以下のロイターの記事ではアナリストが「自民党総裁選の公開討論会で安倍首相が金融緩和の出口について言及したにも関わらず、日本株は大きく反応せず、意外感もある」といっていますが、その指摘は正しいでしょう。ただ実相は現実には反応していて、それが見えないように買い支えられたと考えます。

「日経平均は2万3000円台回復、貿易戦争・トルコ懸念後退で7カ月ぶり高値」(2018年9月14日 ロイター)

とは言え、このこと以上に、実際の日本経済の状況は深刻ということがあるように考えます。このことはこれまでも指摘してきましたが、以下のように8月における首都圏の新築マンション販売が前年同月比でマイナス28.5%と大幅に落ち込んでいます。7月も前年同月比でマイナス12.8%減で、7月としては1992年以来、26年ぶりに3000戸を下回っています。

「8月の首都圏マンション発売戸数、28.5%減 集客苦戦で発売後ろ倒し」(2018年9月13日)

9月12日の東京新聞では「アベノミクス成果大げさ? 計算方法変更 GDP急伸」と2016年末に政府がGDPの計算方法を変更してGDPが急伸したと報じ、一方で同じ日の西日本新聞では「統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 専門家からは批判も」と今年に入って政府が所得関連統計の作成手法を見直した結果、統計上の所得が高めに出ていると指摘しています。どちらもとても良い記事ですが、これらは安倍政権ではおなじみとなったごまかしと言えるものです。計算方法を変えることによって数字が落ちるのなら、ごまかしなどとはいいませんが、どちらも政権に都合良く上がるのならそう思われても仕方がないでしょうし、このようなことは上述の公的資金による買い支えという可能性と同じものと考えます。
西日本新聞が指摘した所得関連統計での作成手法見直しでは、対象としていた全国約3万3千の事業所の半分を入れ替えていますが、入れ替えていない半分で計算すると発表された公式統計を大きく下回る月が目立つと記事には書かれています。この結果は全く予想の範囲ですし、だから対象の事業所を入れ替えたと普通に考えます。
この統計を集計しているのは厚労省ですが、同省は先の通常国会で労働統計で同じくいい加減な数字を国会に平然と出していました。また厚労省かよと思いますが、今回の所得関連統計の件を考えると、先の通常国会に出されたいい加減な数字も政権の意向を汲んで、政権維持のためになされたものと考えるのが自然でしょう。
いずれにせよ、政府が計算するGDPや所得関連統計は、いくらでも政府が数字を変えられますが、新築マンションの販売件数はそうはいきません。こういう所に実態が色濃く鮮明にでるわけです。実態はかなり悪い、そしてそういう日本からお金が出ていっている状況があるものと考えます。先行きはかなり暗いというのは、相当の可能性を持っています。もちろん、安倍政権は、その原因をつくってきているわけですし、状況の好転化は発表する数字以外はこれまで何もできなかったわけですから、今後、安倍政権で状況を打開できると考えるのは単に無謀というものでしょう。今後、経済において大きな動きがあるかもしれません。そう考えるのが自然の状態なのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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