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元号
[日本の政治]
2019年3月31日 22時30分の記事

昨年暮れから平成最後という言葉がキャッチフレーズのように使われています。それはまさに一つの時代が終わり、新しい時代に移行するのですから、感慨として、そのような言葉が心の琴線に触れるのは間違いないでしょう。

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平成の御代はまだ1ヶ月ありますが、この約30年間を思い返してみれば、平成の御代はあっという間という感じがします。そう感じるのは歳をとったためなのかもしれません。
平成の御代は今上陛下のお言葉にもあるように、ベルリンの壁が崩壊、東西冷戦終結から始まりました。今、想うとこのことは大変なことだと考えていますが、当時、私は大学生でした。その当時、最も懸念し、心配していたことは日本に再びファシズム、軍国主義、ウルトラ・ナショナリズムが生じることでした。学生であった私は平成の元号が発表されたとき、平和が成るというのは随分と皮肉なものだなと友人に感想を語っていました。それほど予感としてあったのです。
今でもファシズム、軍国主義、ウルトラ・ナショナリズムへの日本の再帰についての強烈な懸念は変りませんが、大学時代のそのような強烈な予感に比べれば、現在はそのようなものが発生する構造に関してはるかに理解していると想います。戦前も現在もそのようなファシズム、軍国主義、ウルトラ・ナショナリズムを主導している勢力は一つです。
平成の約30年間はそのような非常に難しい時代であったのだと改めて思います。そして、そのような本当に難しい時代であったからこそ、昨年の今上陛下のお誕生日にさいしての「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに,心から安堵しています」というお言葉は本当に重い意味をお持ちになっているとやはり存じます。その難しい時代を日本の近現代史においてはじめて戦争がない御代と成したことは、本当にすごいこと、素晴らしいことと改めて心から存じます。平和が成ると読むことができる「平成」は、今後、末永く続くわが国にとって極めて大きな大きな意味を持つと存じます。私にとって大学時代に始まった平成の御代、その約30年を通して、この御代の真の意味を、今、本当によくわかったと存じています。それは日本の本当の歴史を知ったと言うことだと存じます。
そのような時代分析を28日の講演の準備をしていて改めて考えました。

先日、ある作家の方からメールをいただき、文面に「平成最後の◎◎」と書かれていました。この言葉を見て、平成最後というフレーズがやはり巷では良く使われているのだと改めて実感しました。
実は私はこのフレーズは使っていません。その理由はその実感がないからです。日本と世界の分析をしているとそのような実感がわかないのですが、もう一つのさらに大きな理由は、現在、世界で生じている人類史的な変化において、平成の御代があると考えているからです。
そして、さらにさらに大きな理由は、平和が成るという平成の御代の大御心は、これからも引き継がれていくと固く信じているからです。同時に、その大御心を引き継いでいかないといけないと私自信、固く思っているからです。このことが何よりも大事であると考えています。

平成最後という言葉の本質は、その元号という二文字の漢字が、人々の意識に大きく作用しているということと考えます。それは、この二文字が意味することが大きく人々の意識に作用するということで、それがとりもなおさず社会の意味となっていくということです。これはまさしく政の本義・根幹でしょう。そのような政の本義・根幹において、元号に関する懇談会のメンバーが適切であったのかどうか、私には疑問です。そうニュースを観ていて率直に思いました。

「元号懇メンバー候補に山中教授 意見聴取、林真理子さんらも」(2019年3月5日 中日新聞)

昔は、災害や疫病、社会に問題が発生すると元号を変えていました。この二文字の影響力はやはり大きいわけです。少なくとも大きいと考えられていたわけです。そう考えれば、元号懇のメンバーもそうですが、以下の記事にあるように、安倍首相の一線をはるかに超えた動きと思惑が語られているのは大変に大きな問題をはらむわけです。下の方のリテラでは、元号と安倍首相の一線を越えた動きと思惑に関する記事が多数です。安倍首相は何か勘違いされているように思わざるを得ませんが、いずれにせよ、このような指摘は以下の記事だけではもろんありません。

「新元号の有力候補やはり『安』が? すでに皇太子に提示か」(2019年3月25日 日刊ゲンダイ)

リテラの元号に関する記事(2019年3月31日)

かように新しい御代の元号が選定され発表される前の状況は、様々な安倍首相の一線を越えた動きや思惑が表面化、指摘され、選定に関わる人々に疑問が生じているということは確実に言えると考えます。
当然、この状況はかなり大きな問題をはらんでいます。それは御代が変って、その時代において大きな問題などが生じれば、この選定に関わった人々やその元号選定の中心にいた安倍首相が悪い、諸悪の根源と言われると言うことです。あの人のせいだと言われるのは当然、安倍首相です。もちろん、それはお覚悟のことと考えます。
一方、とても良い時代、平和な時代、豊かな時代となれば、それは安倍首相のおかげと言うことには、実はなりません。右翼の頭目の安倍首相ご自身が、陛下を飛び越えて私のおかげで良くなったとは言われないでしょう。また、上記のように安倍首相の一線を越えた動きや思惑があると言う中で、良い時代になったのは、むしろ陛下のおためと普通は考えられるでしょう。まあ、それほど戦後最長に近づく第二次安倍政権発足後の問題点が山積し、失敗も目に見えてきていると言うことです。
元号選定とはことほど左様に大変な役目であるわけです。そのお役目において、上述のように一線を越えた安倍首相の動きや思惑が言われるのですから、大変なことをされているのだな率直に思います。戦後最長に近づいている第二次安倍政権の結果を安倍首相ご自身がこれから引き受けて行かなくてはならないのに、さらにその上のはるかに大きな結果を未来、引き受けなくてはならないのですから、それは前代未聞の大変なことでしかないのです。本当に大変なことです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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