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ナルシシズムという病理
[日本の政治]
2019年5月23日 1時11分の記事

以下の記事のように丸山議員についての報道があります。

「“戦争暴言”丸山穂高議員 国後島で『女を買いたい』と外出を試みる」(2019年5月30日号 週刊文春)

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この記事にあるように、国後島で丸山議員が「女を買いたい」と外出を試みるというのは、さすがに驚きです。しかし、丸山氏の戦争発言より、この外出行為の方が重いという記事内の佐藤優氏の論評はいささかおかしいのではないかと考えます。丸山氏の戦争発言は、国を代表する一員である国会議員の発言ですから、日本にとってもロシアにとっても、そして東アジアの歴史においても非常に重いものです。その発言より外出を試みた方が重いというのは、内外における国会議員の職責・影響力の重さを理解していないためと考えますが、それでは国会議員として様々な無責任な言動に走る丸山氏と同列ではないかと考えてしまいます。恐らく、佐藤氏の言葉は、丸山氏の戦争発言から論点をずらすことが目的ではないかと考えます。

それはさておき、本ブログ「丸山氏はまず国民に対しての責任を示すべき?」(2019年5月20日)では、丸山氏は、かつて自民党の衆議院議員だった武藤貴也氏の発言や人物像と似ているのではないかと書きました。そのポイントは異常なほどの快楽主義と強烈な自己肯定のナルシシズムです。快楽主義に関しては、武藤氏の場合は未成年男性買春問題で、丸山氏の場合はこの記事にある通り女性を買いたいと試みてもみ合いになったということです。よりによって政治・外交的に焦点となっている地に国会議員として赴いて、女性を買いたいという発想というか、性根は信じられないものがあります。よほど欲求が強いのでしょう。
いずれにせよ、5月20日にブログで書いた人物像は期せずして、この記事にて証明されたと考えます。性的欲求は、一般的にあり、自然の営みですから、それは人として恥ずかしいことではありません。ただ、快楽主義者という場合、その意味することは、その度合いが度を超しているということであり、病的であるということです。上記記事の内容はそれを示しています。
政界には時折、大変に性的欲求が強い方がいます。そのような方の場合、大抵、永田町にいれば、噂として耳にします。もちろん、政界と言っても政治家だけの話ではありません。丸山氏もこの部類に入ると考えますが、同氏の場合、異常なまでに欲求や快楽性向が強く、見境がないので、政治的・外交的に焦点となっている地で、国会議員という職責にありながら、欲求を抑えられないのだろうと考えます。国会議員という職責より性的欲求が優っていると言うことです。
以前にも飲酒で問題を起こし、禁酒を誓い、また禁を破って飲酒をして暴言をはく、さらにこのような一件があったというのは、人として少し壊れているのではないかと考えます。もちろん、政治家として国民の命を背負う存在としては当然、危ういというか、不適任であることは間違いないでしょう。
丸山氏の一件を観ていると、永田町で若手議員によく言われる「楽しい議員生活」という言葉を思い出します。まさにすべてが遊びのレベルなのです。そのような本質が、これまで若さと華麗なる経歴などで隠されてきたのでしょう。これからの選挙ではこのようなまやかしには、本当に注意しなくてはなりません。国民の命に確実にかかわります。

丸山氏や武藤氏について観れば、そこには強烈な快楽主義が間違いなくあると考えますが、それは同時に異常なナルシシズムがあることを示しています。快楽主義とナルシシズムは基本的に同根のものです。誰でもその傾向はあるのですが、問題なのはその程度で、今回の場合はそれが異常なレベルと考えます。
しかし、丸山氏や武藤氏もそうですが、右翼にはナルシシストが多い傾向にあると考えます。頭の中で国士様を気取るというナルシシズムがそうさせるのかもしれません。もちろん、社会的な風潮が相まっているのかもしれません。もちろん右翼だけではありません。過去には左翼がそうだったでしょうが、現在は明らかに右翼にその傾向が見られると考えます。
ただ、ひとつだけ、絶対に忘れてはいけないことは、政治家で国民に負担や犠牲を強いることを言うものは、確実に強烈なナルシシストであるということです。政治家が国民に負担や犠牲を強いるということは、実際には政治家として能力がないということの証明ですから、普通の人間ならそれを恥じて、職を辞するか、後進に道を譲るかするでしょう。それが責任の取り方です。
しかし、そうではなく、自らの能力のなさには目もくれず、国民に負担や犠牲を強いるのですから、当然、自己中心的なのです。増税をする、戦争をするというのも例外なくそうです。増税をするに至った責任には自覚がなく、戦争をするに至った能力のなさは不問にふしているということです。また、先の大戦で勇んで始めた戦争が配色濃厚となると、軍部や指導者が無能と無謀を棚に上げて、志願という形で犠牲を強いる特攻などを始めるのも同じことです。そして、最後まで一億総玉砕と安全な場所で叫ぶわけです。
さらにそのような政治家は下々の国民に負担や犠牲を命じるとことに悦にいるという心のプロセスがあると考えます。それはまさに自らが権力者であることに酔うということです。もっとも危険な存在なのですが、かのヒトラーもそうだったでしょう。チャップリンの映画『独裁者』で、ヒトラーを模した人物が権力者である自分に酔う場面がでてきますが、その脚色・表現は正鵠を得ているでしょう。そういう自分に酔うのが、最大の快楽主義・ナルシシズムなのです。そして言うまでもなく、そのような指導者が現われれば、必ず国は亡びます。

現在の日本を観てみると、そのような快楽主義者・ナルシシストを日本人はなぜか許しています。これが現在の日本人の最大の問題点・社会病理と考えます。政治家に限らず、アイドルという存在もまた典型的なナルシシズムなのですが、そのような存在に振り回されています。実相は、そのようなナルシシストに振り回されて、自分を見失っている人が多いのではないかと考えます。もしかしたら、同様な病的なナルシシストが増えているのかもしれません。だから右傾化しているのかもしれません。
そして、日本の社会的病理はどんどん深刻化するのではないかと考えます。そのような病的なナルシシストに振り回されている日本人はもっと自信をもって、自己をしっかりと保ち、他者を利用するのではなく協力して豊かな社会やを作ることを考えるべきでしょう。病的なナルシシストにはもっと厳しい目を向けるべきです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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