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イギリスというキーワード
[日本の政治]
2020年1月13日 23時40分の記事

以下のイランのメディア・PARS TODAYの記事では、11日夜、マケアー駐イラン英大使がテヘランのアミールキャビール大学前で一時拘束されたことを報じています。そして、その下のリンクは同じことについてのイギリスのメディア・BBCの報道です。この二つを見比べることは、プロパガンダやミスリードを考える上で非常に役立つと考えますが、イランにおける反政府デモは、香港で行われている反政府デモと基本的に同じと考えます。どちらもかつて英国の影響が非常に強い地域でした(もちろん今もです)。そして、どちらも学生(青年)によってなされていますが、これも実は良く使われる手です(明治維新も無名な青年によってなされました)。また、トランプ大統領のスタンスも基本的に同じと考えます。

「イラン政府報道官、『イギリスは、イラン内政への干渉を一切止めるべき』」(2020年1月13日 PARS TODAY)

「イランで2日連続の反政府デモ 旅客機撃墜を受け」(2020年1月13日 BBC)

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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これまでザ・フナイの連載などで世界の2極対立についてお話しをし、世界は国単位で観てもその実相はわからないと申し上げてきました。そして、イランについてもそのような2極対立があると指摘してきましたが、昨今の動きはまさにそれを裏づけるものと考えています。
そして、イギリスはその2極対立で非常に重要なキーワードで、日本も含め、イラン、中東、南アジア、東アジアにおいて非常に重要であり、その起源は近代にあります。しかしながら、それは昔のお話しなどではまったくなく、現在進行形の問題であるのです。これらのことを現在、毎月の勉強会でその回ごとに深めています。伊藤博文暗殺も実はこのイギリスというキーワードの中にあるわけです。

さて、上記のPARS TODAYの記事のポイントは、見出しにあるように「イギリスは、イラン内政への干渉を一切止めるべき」ということにあります。そして、記事中には以下のように書かれています。このことは香港問題も同じでしょう。


また、「英国は、過去にイランに内政干渉した黒い経歴の持ち主だ。英政府はわが国の内政への干渉を一切避けるべきだ」と強調しました。


ここに、イランや中東の近代以降の歴史上もっとも重要なことがまさに述べられているわけです。そして、もちろん上記のBBCの記事ではこのようなことは書かれていないわけです。BBCの記事ではあくまでも反政府に力点が置かれているわけですが、このような論調で国際世論を形成しイランを追い込んでいく、まさに内政干渉と考えます。そして、これは香港についても同じと考えます。
現状、世界的なキーワードは米国ではなくイギリスに移っていると考えます。昨年の10月からその動きがはじまったと、まさに10月の勉強会で指摘をしました。そのような状況においては、かつてのイギリス帝国がどのようなことをしてきたのかを知ることは、現在と未来を知る非常に重要なポイントになります。
しかし、日本ではいまだ米国を中心に観る、反米などのキーワードが色々な意味で支持を得たりすることがあり、そのようなキーワードが使われることがありますが、そのようになるのは時代の変遷を捉えていないか、もしくはイギリスの筋のプロパガンダやミスリードと考えます。
イランへの内政干渉は、イランだけではないことは明らかです。本ブログ「本質は何か?」(2020年1月11日)で取り上げたオマーンについては、以下のように、英国の支援によってなされた半世紀前の宮廷クーデターでの体制が、いまだに続いていることを取り上げました。つまりイギリス傀儡の王政ということです。こう観ると、ペルシャ湾への入り口となるオマーン湾の両岸であるイランとオマーンは非常にイギリスの干渉が激しかったことがわかります。当然、その一つの理由は石油利権で、もう一つはグレートゲームです。そして、この戦略は現在も有効なのです。なぜなら地政学的状況は、100年経ってもほとんど変わらないからです。


1940年、南部サラーラ生まれ。皇太子だった70年、父親のサイド国王を宮廷クーデターで追放して即位。英国の支援を受けたとされる。
「オマーン国王死去、79歳 全方位外交、イラン仲介役」(2020年1月11日 時事通信)


また、日本の近代の出発点についても本ブログ「ものの見方を変えると見えてくるものがある」(2020年1月10日)で書きました。そこでは1868年の明治維新の5年も前の1863年に英国艦隊が横浜に入港し、英仏の軍隊1500名(英1200名〔主力部隊はインド軍〕、仏300名)が横浜山手に駐屯し、同じ頃、長州ファイブ(伊藤博文や井上馨など)が清国経由でロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジへ密留学をし、その世話役はグラバー商会の親会社であるジャーディン・マセソンのヒュー・マセソンと書きました。
明治維新は無名な若者(青年)によってなされました。それは背景がいるからできるわけです。香港やイランでの出来事もまた同じと考えます。いつものやり方なのです。
このような日本の近代の出発点についてのことはすでに常識の範疇のことと考えますが、この常識が物語っていることは、上述のオマーンと同じく、仕掛けられたクーデターと植民地エリート教育によってはじまったのが日本の近代であると言うことです。それがまさしく維新の正体なのです。
そして、このことはいまだに変わらないと考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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