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感染拡大防止なくして経済は成り立たない?
[日本の政治]
2020年8月4日 3時42分の記事

昨日の本ブログ「感染拡大防止なくして経済は成り立たない?」(2020年8月3日)の続きです。

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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防疫に失敗している国は経済も散々
今度は防疫に失敗している国を観てみましょう。世界最悪の感染国は米国です。約半年間の内に少なくとも15万7千人以上がなくなっています(感染者は470万人以上)。以下のナショナルジオグラフィックによるとベトナム戦争の11年間(1964-75年)で米国人の犠牲者は58220人です。新型コロナウイルスでは半年間で15万7千人。米国は完全に防疫に失敗しています。

「米国の新型コロナ死者数、ベトナム戦争を上回る」(2020年5月1日 ナショナルジオグラフィック)

この惨憺たる状況で経済はどうなっているのか? 以下のNHKの記事によると、米国の第2四半期(2020年4〜6月)の国内総生産の伸び率は、“前期比、年率換算”でマイナス32.9%、前期比でマイナス9.5%です。この数字は1947年の統計開始以来の最悪の数字と報じられています。中国は前期比ではプラス11.5%、年率換算ではプラス54.5%です。前年同期比でプラス3.2%です。
中国はリセッションを回避してV字回復、米国はリセッションで奈落の底です(日本も確実にリセッションですけどね)。
この数ヶ月で、防疫に成功したか否かで、これほどまでに経済に差がついているのです。米国が防疫で成果を上げて、感染拡大を収束させることがこのままできないでいると、東アジアで韓国と台湾は、経済的に中国への結びつきをさらに強めるのが間違いなく合理的な選択になっていきます。そして、東アジアで確実に日本は孤立化していくことでしょう。
そして、以下の記事のように、ロシアがワクチン開発に一歩先んじていると報じられています。これが確実なものなら新型コロナウイルスだけでも東アジア及びアジア全体は完全に変わっていきます。極めてドラスティックに変わる可能性があります。そして今の日本にとっては極めて厳しい状況になります。

「アメリカ 4−6月GDP 年率ー32.9% 統計開始以来最悪の水準」(2020年7月30日 NHK)

「米GDP、4〜6月期は32.9%減 過去最悪の落ち込み」(2020年7月31日 CNN)

「スプートニク・ショック再来?ロシアが新型コロナワクチンの接種を10月に開始すると発表」(2020年8月3日 ニューズウィークジャパン)


一種のテロ

それにしても、アメリカで言われた、新型コロナウイルスは風邪、マスクはつけなくて大丈夫、マスクをつけずに直に呼吸する権利がある、新型コロナウイルスを気にせずに経済を回せと言った結果、アメリカは経済が奈落の底に落ちたのです。本当にバカげた話しです。本当にバカなアメリカ人です。心からそう思います。
しかし、よく観るとアメリカで大々的に言われたこれらのことは、人々がマスクをつけないように、つけないようにさせる方向になっているのです。そして、それが経済を回すというロジックと結びついていたわけです。これで約15万人が犠牲になったわけです。もちろん、上述のように経済にはまったく結びついていません。むしろ経済を破壊しました。
アメリカ人はマスクをつけているか、いないかで思想がある程度判断できます。つけている人はリベラル系、つけていない人は保守系。私からするとつけている人は利口な人、つけていない人は単なるバカな人にどうしても見えてしまいます。
以下の記事のようにトランプ集会にマスク無しで参加した実業家のケイン氏は、新型コロナウイルスに感染、なくなったと報じられています。まさに米保守層の典型的な事例に見えます。ケイン氏は有能な方だったと思いますが、何かが見えなかったのでしょう。そして、命を落としてしまったわけです。

「米実業家ハーマン・ケイン氏死去 トランプ集会参加後、コロナ感染」(2020年7月31日 時事通信)

マスクを外せ、経済を回せ、コロナは風邪と、新型コロナウイルスが流行っている時にマスクを外すようにバカを仕向ければ、それは当然、マスクを外し、外出し、人と接触し、その結果、感染はどんどん拡大していきます。それで約15万人の犠牲者。私にはこれが誘導によるテロに見えて仕方がないのです。21世紀のハーメルンの笛吹き男ともいえる、意図的なテロです。
経済優先とはまったく反対に動くエセ経済優先のロジックに絡め取られてこれまで約15万人がなくなった。21世紀のハーメルンの笛吹き男ともいえるこの米国での現象における犠牲者は、テロとしては戦争級の最大級のものでしょう。そして、このテロは誰かが必ず仕掛けていると考えます。なぜなら、ブラジルや日本でもまったく同じロジックが流布されているからです。こんなことは偶然では起きません。偶然と考える方がおろかというものです。そこには必ず共通の背景があるのです。それがまた対中国で敵対的感情を煽って仕向けているわけです。

防疫に成功するしか経済を成り立たせることはできないことがこの8月に完全に証明された
上述の防疫達成度と経済の関係について、中国をはじめ東アジアと米国を比べれば、防疫に成功するしか経済を成り立たせることができないことは、一目瞭然です。そして、第2四半期のGDPの数値がある程度出そろったこの8月、このことが完全に証明されました。
上述のハンギョレの記事には、以下のように各国の第2四半期のGDPの前期比の数値が出ています。


チェコ(-8.4%)、米国(-9.5%)、ドイツ(-10.1%)、オーストリア(-10.7%)、カナダ(-12.0%)、ベルギー(-12.2%)、イタリア(-12.4%)、フランス・フィンランド(各-13.8%)、ポルトガル(-14.1%)、スペイン(-18.5%)より減少幅は小さかった。メキシコ(-17.3%)のような新興国の成長率も振るわなかった。

「韓国、4〜6月GDP成長率 −3.3%、14カ国中、中国に次いで二番目」(2020年8月2日 ハンギョレ)


年率に治すとチェコ(-8.4%⇒-29.5%)、米国(-9.5%⇒-32.9%)、ドイツ(-10.1%⇒-34.6%)、オーストリア(-10.7%⇒36.4%)、カナダ(-12.0%⇒-40.0%)、ベルギー(-12.2%⇒-40.5%)、イタリア(-12.4%⇒-41.1%)、フランス・フィンランド(各-13.8%)、ポルトガル(-14.1%⇒-44.7%)、スペイン(-18.5%⇒-55.8%)、メキシコ(-17.3%⇒-53.2%)となります。
このように観ると中国、韓国、台湾の数値はものすごく良いのです。


それでは日本はどうなのか?

日本の第2四半期のGDP数値はまだ出ていません。8月17日に一次速報値が出ると報じられています。
ただ、以下のように予想は出ています。大和総研は前期比年率マイナス27.3%、前期比マイナス7.7%と予想しています。みずほ総合研究所は年率マイナス26.8%、前期比マイナス7.5%と予想しています。やはり、防疫で東アジア最下位の日本は、経済でもまったくの最下位です。感染拡大防止なくして経済は成り立たないを見事に証明しているのが、何をあろう、この日本であるのです。これが、アベ政権・日本政府の成果です。防疫を疎かにしている政府は、経済の足を引っ張る政府ということなのです。ただ、一言注意を申し上げるとアベ政権は平気で数字を改ざんします。とんでもない良いGDPの数値が出てきたりします、もしくは計算の内容を変えるとか。これはすでに一度やっています。PCR検査数も同じ寸法です。

「2020年4-6月期GDP(1次速報)予測〜前期比年率▲27.3%予想」(2020年8月3日 大和総研)

「年率▲26.8%の大幅マイナス 成長を予想(4〜6 月期 1 次QE)」(2020年7月31日 みずほ総合研究所)

ジム・ロジャースは、アベ政権は失敗し、日本は最悪と指摘
すでに取り上げましたが、三大投資家の一人ジム・ロジャースは、アベ氏はコロナ対策失敗、アジア最悪と述べています。もちろん、それが経済にもはっきりと出ているわけです。投資家にとって、経済の行く末を判断するのに新型コロナウイルス対策がどれだけ出きているかが、そのポイントになると考えるのは当然でしょう。それが普通の見方なのです。そして、6月5日の記事ですが、ジム・ロジャースは以下のように述べています。


ロジャーズ氏は、アジアはいまや西洋国家よりも経済的に成功し、コロナ対策でも西洋より速やかに国を開け始めた(経済活動の再開)、としてアジアを称賛した。
しかし「安倍首相はその指導力を発揮できないまま、日本国内の状況は悪化した」と批判した。
国際統計サイトによると、5日現在日本の人口100万人当たりの新型コロナによる死者は7人で、中国(3人)、韓国(5人)、台湾(0.3人)より多い。

「ジム・ロジャーズ「安倍首相、コロナ対策失敗…アジア最悪」=韓国報道」(2020年6月6日 WoW Korea)


街中を歩いているとほとんどの人はマスクを着用しています。ただ、若者がつけていないことがとても多く、あと、ちょっと抜けた感じの人がつけていない印象を持ちます。要するにこれらの人々は新型コロナウイルスに対して無策であり、また人々に対しても何の配慮もしていないということなのです。
実は、アベ政権・日本政府もこれと同じなのです。まったくの無策です。そして、明らかに感染が拡大し、経済はまったくふるっていません。これはアベ政権・日本政府なら必然的な帰結なのです。
韓国は早期のPCR検査と早期の隔離を行って、防疫に成功しています。世界から賞賛されました。アベ政権・日本政府はPCR検査を受けさせないようにして、ゴミと言われたアベノマスクを配っただけです。
中国は、突貫工事で巨大な隔離病棟をつくり、武漢の住民全員にPCR検査をやって、感染拡大を押さえ込みました。そして、今や経済はプラス成長になっているのです。アベ政権・日本政府はただただ何もせずに“状況を緊張感をもって注視する”とだけ言い続けているのです。それでいて、GOTOキャンペーンのようなことは大きな批判を浴びているのに、杜撰なまま進めています。明らかに頭が狂っています。これでは、東アジアで日本が防疫も経済も一人負けするのは必然なのです。
日本の100万人あたりのPCR検査数がせめて先進国並みになり、他の東アジア諸国と同じように感染を押さえ込むことができれば、経済は上向きの可能性が出てきます。ただ、可能性としているのは、アベ政権では経済運営ができるとは到底思えないからです。明らかに政権交代が必要なのです。
現在の日本には、経済が防疫に先行するという明らかに間違った認識が存在するので、米国と同じように防疫も経済も上手くいかないのです。そうやって、日本は新型コロナウイルスに対する遺伝的・人種的アドバンテージをいかせなかったのです。東アジアの他の国々はしっかりとそのアドバンテージを生かしています。このようになるのも、米国と同じように経済を回せと言っているバカな首相とその取り巻きが、防疫を疎かにして、感染拡大、防疫に失敗し、日本の経済の足を明らかに引っ張っているからなのです。

繰り返し言います。感染拡大防止なくして経済は成り立たないのです。しかし、アベ政権・日本政府は完全にその反対の方向に走ってきましたから、現状、感染が拡大し、紛れもなく経済を潰す穀潰しとなっているのです。まさに政権交代が必要なのです。ウィズコロナの時代とか、コロナと共存とか、新しい日常とか、ニューノーマルとかとバカげたことを言っている内は感染拡大はとまりませんし、その結果、経済を潰していくことになるのです。これらは感染拡大防止と経済の両立という間違った認識の枠組みから出された言葉です。両立ではないのです。明らかに感染拡大防止・防疫が優先順位のトップで、そうすることが、経済を成り立たせるのです。ですから、はっきりと感染拡大防止の生活と言い、政府は先手先手で感染拡大防止策を積極的に打たなくてはならないのです。とにかく、それだけが経済が成り立つ唯一の方法なのです。
そして、もう一つ大事なこと。それは命を大切にすることだけが、経済・社会の活性化・成長に繋がるということです。これが、現在生じている時代の変遷のまさに核心なのです。

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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