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なぜか同じことをやり続けるアベ政権?
 
2020年8月13日 23時51分の記事

7月29日から羽田・成田空港での入国者に対して、アベ政権・日本政府は新型コロナウイルス感染について唾液を使う抗原検査だけでスクリーニング検査を実施しています。果たして、この施策は本当に正しいのでしょうか? そして、この検査実施を観るとアベ政権によって一貫して行われてきた防疫とはまったく反対の施策が見えてきます。

「羽田入国時に抗原検査 1時間で結果判明」(2020年7月29日 日本経済新聞)

「唾液使う抗原検査、羽田・成田で開始 新型コロナ」(2020年7月30日 朝日新聞)


「唾液使う抗原検査、羽田・成田で開始 新型コロナ」(2020年7月30日 朝日新聞)

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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そもそもこの抗原検査とは何か? そのことを少し観てみましょう。以下の東京新聞の記事では、PCR検査、抗原検査、抗体検査について整理されています。まず、はじめに、今回の話題とは関係の無い抗体検査を観てみましょう。抗体検査とは、血液を採取して、その血液中の抗体の有無を調べて、これまでに感染したのか否かを調べるものです。つまり、感染したことによって生じる血液中の抗体の有無を調べることによって、過去の感染の有無を調べるわけです。しかし、新型コロナウイルスでは抗体がなくなる例も多数報告されていますから、偽陰性ということは当然、生じるわけです。

抗原検査が空港でのスクリーニング検査には向いていないのは明らか
次に、PCR検査と抗原検査。これら2つは、現在、感染してるかを調べるためのものです。まず、ここが、抗体検査とは明らかに違うことですが、この2つの検査とも、検査のために採取するものも、血液ではなく、鼻や喉の粘液・唾液です。
一方、この2つの検査の違いは、採取した検体から検出するもので、PCR検査はウイルスを特徴づける遺伝子配列を検出し、抗原検査はウイルスを特徴付けるタンパク質を検出します。これらの有無をそれぞれ調べることによって、感染の有無を検出するわけです。

「新型コロナの検査法 精度や特徴を知ろう」(2020年7月14日 東京新聞)

さらに、日経メディカルでは、以下のようにPCR検査と抗原検査についてその特徴を書いています。


抗原検査は特別な機器が必要なく、外来で検体を採取してから約30分で陽性・陰性を判定できる。PCR検査と比較した陽性一致率は66.7%、陰性一致率は100%とされている。抗原検査は感度がやや劣るが、迅速性に優れ偽陽性が少ないという特徴を挙げ、陽性であればCOVID-19の確定診断が可能とするアルゴリズムを示した。この場合、入院措置もしくは宿泊施設・自宅待機での療養を指示する。

 一方、抗原検査で陰性の場合には感染を否定できない。この場合は経過観察や抗原検査の再検査となるが、陰性でもCOVID-19を強く疑う場合には、医師の判断でPCR検査の実施を考慮すると位置付けた。なお、抗原検査もPCR検査と同様、鼻咽頭ぬぐい液を検体とすることから、検体採取には十分な感染対策を行う必要がある。

「PCR・抗原・抗体検査をどう使い分ける?」(2020年5月28日 日経メディカル)


抗原検査は検体採取から約30分で判定ができることが特徴で、このことが空港においてのスクリーニング検査には向いていると言えるわけです。PCR検査では判定までおよそ1日と言われていますので、その間、入国者は足止めを余儀なくされ、宿泊施設を用意する必要も出てくるわけです。
しかし、抗原検査のもう一つの特徴はPCR検査に比べて感度が劣り、検体のウイルス量が少ないと検知されないことです。このことは極めて重要で、上記のように「抗原検査で陰性の場合には感染を否定できない」(5月28日 日経メディカル)とうことになるわけです。つまり、抗原検査で陰性の判定がでても、それは信頼に足るものではないということです。だから、確認のためにPCR検査を行うわけです。抗原検査は、本質的に陽性判定だけが信頼に足るものということなのです。
日経メディカルの他の記事「コロナ抗原検査が使用可能に、陽性のみ確定診断」(5月15日 日経メディカル)にも、「抗原検査は感度が低く偽陰性となる可能性があるため、陰性の場合に確定診断を下すには別途PCR検査を行う必要がある」となるわけです。当たり前です。
つまり、抗原検査は偽陰性の可能性がPCR検査よりも明らかに大きいので、空港での入国者に対するスクリーニング検査にはまったく向いていないと言うことなのです。言ってみれば抗原検査は目の粗いざるであるわけで、アベ政権・日本政府のように空港で抗原検査を行えば、その目の粗いざるをすり抜けた、検知されない感染者がどんどん日本に入ってくると言うことなのです。まさにアベ政権・日本政府によって陰性の太鼓判を押された陽性者が、日本中にばら撒かれるわけです。これが論理的な帰結です。本当に恐ろしい。
一般社団法人 日本腎臓学会のサイトには以下のように書かれたページがあります。


なお、抗原法ではウイルス量が少ないと陽性率が低く無症状者に対するスクリーニング検査目的の使用には向きませんので、 新型コロナウイルス感染症を疑う症状があると判断した者に対して、必要性を認めた時に使用することになります。

「新型コロナウイルス抗原検査について」(一般社団法人 日本腎臓学会)


この記述は当然ですし、当たり前の抗原検査使用法なのです。無症状感染者は抗原検査では検出されないのです。このことはとても大事な指摘です。
このように観ると、空港などでの入国者に対するスクリーニング検査に抗原検査は明らかに向いていないのです。PCR検査の精度も100%ではありませんが、どんなに時間的に制約があっても抗原検査より精度が高いPCR検査を行うのが最善の防疫策であるのは、子どもでもわかることです。しかし、それをアベ政権・日本政府はやらずに、目の粗いざるで検査をしているのです。どうしてなのでしょうか?
6月16日に厚労省は、発症から2〜9日はウイルス量が多いので、PCR検査と抗原検査の結果の一致率が高いので、抗原検査で陰性となっても追加のPCR検査は必要ないとガイドラインを改定しています。

「新型コロナ抗原検査、発症2〜9日は陰性でもPCR不要に/厚労省」(2020年6月19日 ケアネット)

このことによって、空港でPCR検査をやらずに抗原検査だけで問題ないとしているのでしょう。
しかし、海外から来る人が、発症から2〜9日ということを、どうやって見分けるのでしょうか? 問診なのでしょうか? それでは、問診でウソをついたらどうするのでしょうか? 世界的な感染爆発が生じているこの時期に、敢えて日本に来る人は、感染について真面目に考えていない可能性は極めて高いわけですから、当然、ウソを言ってでも入国しようとする可能性は非常に高いと考えます。
また、本人が発症をしっかりと認識していない可能性もあります。発症から10日間過ぎている感染者も間違いなく存在するでしょう。それとウイルスの量に個人差があったりもするでしょう。要するに明らかにこの抗原検査による入国者に対するスクリーニング検査はざるなのです。たやすく感染者がそのざるをする抜けて入国するのです。
さらに、新型コロナウイルスの大変大きな問題は、無症状感染者の存在ですが、上記の日本腎臓学会の記述にある通り、無症状者はウイルス量も少ないので、そもそも抗原検査によるスクリーニング検査には向かないのです。したがって、厚労省がこのようにガイドラインを改定しても、空港などでの入国者に対して、目の粗いざるでスクリーニング検査することを単に肯定しているだけにすぎないのです。防疫においてはまったく意味がない、バカ政策なのです。日本にとっては単に害でしかなないのです。
つまり、アベ政権・日本政府は目の粗いざるをどうしても使いたくて仕方がない、そしてそのようにするためにありとあらゆることをしているのです。明らかにそのためにガイドラインを書き換えたと考えます。
しかし、なぜ、このようなことをアベ政権・日本政府はやり続けるのでしょうか?

「なぜか同じことをやり続けるアベ政権?」(2020年8月14日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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