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アベ氏はやはり意気軒昂 (2)
[日本の政治]
2020年9月15日 23時55分の記事

昨日の本ブログ「アベ氏はやはり意気軒昂 (1)」(2020年9月14日)の続きです。

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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無責任にもほどがある
9月12日の朝日新聞は、アベ氏が同日に慶応大病院に入り、受診したことを報じています。ただ、上述のように観てくると、どうにもアリバイづくりのように見えて仕方がありません。また、記事には、慶応大病院に行ったのは新しい病気ではないとありますが、仮に政界において潰瘍性大腸炎がないということが常識だとすれば、新しい病気ではないということの意味は、健康をアピールしていることになるのは論理的帰結なのです。
しかし、それ以上に問題があることがあります。それは、8月28日に健康問題で辞任を発表し、さらにその後、このように病院にも行っているのに、この2週間あまりのアベ首相と政権は、あまりにも激しく施策を進め、そしてあまりにも無責任であることです。

「首相、慶応大病院へ『持病の治療、新しい病気ではない』」(2020年9月12日 朝日新聞)

アベ氏が辞任を発表してから、アベ政権は大きく言って3つのことを大いに進めています。病気で辞任するといって、辞任まで2週間強の状況で、緊急事態への対処以外で行って良いものはありません。逆に言えば、大きな施策を進めることは、その責任をとることができませんから、やるべきではまったくありませんし、また政権交代での混乱期の状態で施策がうやむやになって進められてしまうことは極めて問題あることなのです。
しかし、それをやるというのですから、相変わらずアベ政権は最後の最後までまったく国民無視、無責任であるわけです。
それでは、何を進めようとしてるのか? 一つは以下の記事にあるように新たな安全保証戦略です。このことはミサイル防衛、北朝鮮などが含まれます。新たな安全保障については、末期の政権が進めるような問題ではないのです。2週間待って新たな政権に託すことなのです。それを強引に進めているわけで、これは極めて大きな問題なのです。
もちろん、そのようにするのはしっかりとした理由があるのです。簡単に言えば、このことがアベ政権が最長期政権になった理由であり、同時に今、辞める理由であり、さらに菅政権になる理由なのです。このことの詳細については近日公開予定のオンライン勉強会用に内容をまとめています。

「ミサイル防衛含む新たな安全保障戦略 安倍首相の談話発表へ」(2020年9月11日 NHK)

もう一つは日英EPAです。EPAとは経済連携協定のことですが、FTAよりもEPAの方がより緊密なのです。そのようなものをどうして末期の政権が進める必要があるのか、極めて理解に苦しみます。以下の記事にも書かれていますが、英国のEU離脱にともなうEU・英間の交渉は難航しており決まっていないのです。そのようなときに、どうしてEU離脱後の英国との関係を考えた日英EPAを末期の政権が締結することが許されるのか、甚だおかしいわけです。EUと英国とのEU離脱にともなう交渉が決まってから、日英での交渉を進めれば良いわけです。EPAを急ぐ必要はまったくないのです。
この日英EPAは英連邦が中心のTPPと関わるわけで、それがTPPを進めた新自由主義のアベ政権の狙いであるのは明らかですが、国民に対する責任問題として、政権末期にこのような外交的な施策を進めるのは明らかに間違っています。アベ氏は国民完全無視、国民を舐めすぎているのです。
同時に、英国はもともとの日本の宗主国であるわけで、そこにアベ氏の本質もあるわけです。そして、米国以上に東アジアで問題なのは実は英国なのです。香港も含めて東アジアでの黒歴史はイギリスが作ってきたのです。そのような国との関係についてのことが、政権末期、政権への注目度が低くなり、政権交代の慌ただしい時期に強引に進められるているのは明らかに問題があります。この日英EPAについては、今後、徹底的に追求されるべきことです。

「日英EPAで大筋合意 自動車・鉄道部品の関税即時撤廃」(2020年9月11日 日本経済新聞)

その次は新型コロナウイルス防疫対策についてです。アベ政権・日本政府は新型コロナウイルス防疫対策を失敗しています。これは日本がある東アジアの中国、韓国、台湾の防疫実績を観れば一目瞭然です。ですので、この新型コロナウイルス防疫対策の失敗だけでも、一刻も早くアベ政権は退陣しなくてはならなかったのです。
しかし、以下の記事のように、政権の最終日になっても以下のように防疫政策ではなく、新型コロナウイルス感染者が依然確認されている中で、リスクを抱えている需要喚起政策を進めているのです。今、やるべきは中国などのように新規確認感染者をほぼゼロの状態にすることです。そのような状態にして、需要喚起政策を徹底的に進めるべきですが、現状ではまだそうなっていないのです。感染拡大防止なくして、経済は成り立たないのです。しかし、アベ氏は失敗した政策をどうしても進めたいのでしょう。単なる意固地なのです。よほど新型コロナウイルス防疫対策でしたという本質を言われるのが嫌なのでしょう。

「GoTo宿泊1339万人 東京発着も18日から販売」(2020年9月15日 日本経済新聞)

「『GoToイート』の予約 オンラインで10月1日開始」(2020年9月15日 テレビ朝日)

8月28日のアベ辞任会見では、以下のように述べています。


現下の最大の課題であるコロナ対応に障害が生じるようなことはできる限り避けなければならない。この1か月程度、その一心でありました。悩みに悩みましたが、この足元において、7月以降の感染拡大が減少傾向へと転じたこと、そして、冬を見据えて実施すべき対応策を取りまとめることができたことから、新体制に移行するのであればこのタイミングしかないと判断いたしました。

「安倍内閣総理大臣記者会見」(2020年8月28日 首相官邸)


7月以降の感染拡大というのは、アベ政権・日本政府が防疫に再度失敗したことなのです。そして、再拡大が減少傾向へと転じたのは、明らかに国民が行動に注意し、抑制をしたからでしょう。GOTOトラベルキャンペーンを行ったアベ政権・日本政府の力量によって減少したのではまったくありません。なぜなら、それは防疫対策ではなく、需要喚起政策だからです。
しかし、政権が末期状況であり、なおかつこれまで新型コロナウイルス防疫対策を成功させていない中で、いまだに多くの新規確認感染者が毎日出ているのに、新型コロナウイルス防疫対策ではなく、リスクがあるGOTOキャンペーンなどの需要喚起政策をアベ政権はさらに進めているのですから、明らかにおかしいわけです。まったく話しになりません。
またここ最近、新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方々の1日の数は10名前後から20名の間を推移しています。この数字は、北海道、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に緊急事態宣言が引き続き発令されていた5月中旬から下旬と大体同じです。また、現時点で観ると、これまで多大な犠牲者を出してきたイギリス、フランス、イタリア、イスラエルなどと大体同じ数字なのです。これらのどの国よりも日本の方が圧倒的に人口が多いですから、人口比で考えれば、日本の犠牲者数はそれらの国々よりも比較的少ないと言えます。
しかし、問題なのは、これらの国々での1日の新規確認感染者数は概ね日本の2倍以上あるということなのです。つまり、日本は新規確認感染者数に対する犠牲者の割合がものすごい高いということなのです。これは極めて問題があります。このことが意味すると考えられることは二つで、一つは依然、日本ではPCR検査の実数が少ないということ、もう一つは重症化対策が出きていないということなのです。
8月28日のアベ辞任会見では、以下のように述べています。


他方、お亡くなりになった方の半分以上は80代以上の世代です。重症化リスクが高いのは高齢者や基礎疾患のある方々であり、一人でも多くの命を守るためには、こうした皆さんへの対策が最大の鍵となります。
 冬に向けてはコロナに加え、インフルエンザなどの流行で発熱患者の増加が予想されます。医療の負担軽減のため、重症化リスクの高い方々に重点を置いた対策へ今から転換する必要があります。まずは検査能力を抜本的に拡充することです。冬までにインフルエンザとの同時検査が可能となるよう、1日20万件の検査体制を目指します。特に重症化リスクの高い方がおられる高齢者施設や病院では、地域の感染状況などを考慮し、職員の皆さんに対して定期的に一斉検査を行うようにし、高齢者や基礎疾患のある方々への集団感染を防止します。医療支援も高齢者の方々など、重症化リスクの高い皆さんに重点化する方針です。

「安倍内閣総理大臣記者会見」(2020年8月28日 首相官邸)


日本でPCR検査の実数が少なくないということなら、重症化への対策がまったく出きていないことは明白なのです。やはりアベ政権では新型コロナウイルス防疫対策は出きていないことが、まったく明らかであるわけです。いずれにせよ、このような状態でリスクのあるGOTOキャンペーンなどの需要喚起政策を進めるべきでないのは明らかです。現状、アベ政権によって重症化対策がまったく出きていませんし、感染者の重症化・死亡率は他国に比べて非常に高い状態にありますから、感染者数が増えれば大変な事態になるのは目に見えているのです。
新型コロナウイルス感染よる重症者と死亡者を減らすには、そもそもの感染者を減らすしかないのです。その基本をアベ政権はまったくしてこなかったのです。だから、政権最末期において、新規確認感染者数がまだ多い状況にあるのに、リスクのあるGOTOキャンペーンなどの需要喚起政策を進めるわけなのです。とにかくアベ政権ならこのような目茶苦茶は珍しくありませんでしたが、それにしても最後の最後まで本当にどうしようもない政権です。

マスコミの体たらく
次の総理は菅氏、アベ氏は終わる人ということで、菅氏に注目が集まり、自民党総裁選が注目されたわけです。しかし、総裁選とは自民党内の選挙であるわけです。そこで選ばれた総裁が、次の総理になるとは言え、やはり総裁選はあくまでも自民党内という特定の人々の間での選挙なのです。
国家の役職と責任で観れば、辞任するまでアベ氏は日本国の首相であり、菅氏は官房長官なのです。菅氏、岸田氏、石破氏は自民党内選挙の候補者にすぎないわけです。一方、公的な意味で一番責任があるのは、辞任するまでアベ氏なのです。日本国民と日本にとって、問題なのはこの首相が何をするかなのです。そして、アベ氏が辞任するまではこのことが、日本の政治で一番大切なことなのです。
しかし、日本のマスコミはそのような意味で、しっかりとアベ政権のやることを最後まで検証しようとしてきませんでした。今までもそうでしたが、特に8月28日の辞任会見以降、もう総理ではなくなったといわんばかりで、しっかりとした報道をしていないのです。
しかし、そのようなときに、上述のようにアベ氏はまったく無責任な施策をどんどん進めているわけです。これは本当に問題があることで、それを許しているのは日本のマスコミなのです。病気で何もできないので辞任をするというのなら、辞任の日まで何もしなければ良いのです。2週間ほどの期間です。問題ありません。そのような国のトップはいくらでもいます。 
しかし、病気でやめると言って、どんどん重要施策を政権末期に進めるのは明らかに無責任でやってはならないことです。そして、そのことを批判するマスコミがないというのも明らかに日本の劣化です。
8月28日、アベ辞任会見では以下のように言っています。


政治においては、最も重要なことは結果を出すことである。私は、政権発足以来、そう申し上げ、この7年8か月、結果を出すために全身全霊を傾けてまいりました。病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません。国民の皆様の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断いたしました。
総理大臣の職を辞することといたします。

「安倍内閣総理大臣記者会見」(2020年8月28日 首相官邸)


この言葉とその後2週間強のアベ氏とアベ政権の動きはまったく乖離しています。辞任を決断した理由として「大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません」ということであるのなら、その後の辞任までの2週間強は何もしてはならないはずです。まさに嘘つきです。最後の最後までやることは同じなのです。そして、マスコミはこの重大な問題に批判をすることはなかったのです。それもまた日本にとって大変な重大問題なのです。
ことの本質は、アベ政権が追いつめられて、それで道半ばで病気でやめると言ったから、政権の末期にこのような無責任な行動が生まれるのです。基本的にこの政権末期のアベ氏の行動を観れば、アベ氏はいたって意気軒昂なのです。そして、この政権末期のアベ氏の行動は、菅政権とアベ政権に継続性がないということをアベ氏自ら示しているということなのです。このようにアベ氏がすることが、実はアベ政権が最長になり、同時に今、辞めなくてはならない本当の理由なのです。その理由は近日公開予定のオンライン勉強会でお話しをします。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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