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五輪即刻中断・選手村をコロナ患者用に転換せよ 非人道的な大会にし、出場した意味がこれから問われる
[日本の政治]
2021年8月8日 19時58分の記事

昨日の本ブログ「フェーズは何も変わっていない 五輪即刻中断・選手村をコロナ患者用に転換せよ (3)」(2021年8月7日)の続きです。

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以下の記事は、8月5日、国会での質疑応答を報じるもので、その内容は、新型コロナウイルス感染者の入院が重症者に限定されるとの政府の新方針に対して、野党から見直しを求める声が上がり、そのことについて厚労相の田村氏が弁明しているものです。田村氏は以下のように答えています。


「東京だって医療に携わる方々のマンパワーは限界があるんです。無尽蔵に生まれてこないです。決められた資源の中でどうやって国民の皆様方の命を守るかということになって、今、現場も我々も必死になっていろんなことを検討させていただいております」(田村憲久厚労相)

 田村厚労大臣はこのように話した上で、「中等症は原則入院」「肺炎の症状があり息苦しい人は入院ができる」などと弁明に追われました。

「『入院は重症者などに限定』政府方針を野党追及 厚労相は弁明」(2021年8月5日 TBS)


パンデミックの状態でのオリンピック強行開催中に、感染爆発・オーバーシュートとなり、医療逼迫が生じていることを、この厚労相の田村氏は、国会答弁で認めています。オリンピック期間中に感染者が減っていれば、このような答弁の必要はないのです。
田村氏の答弁、東京には医療に携わる方々のマンパワーに限界があり、『決められた資源の中でどうやって国民の皆様方の命を守るか』というのは、治療の優先順位をつけざるを得ないということですから、それは『トリアージ』のことを言っているのです。トリアージですよ。トリアージとは『重要で最初に扱うべき者を選別(および決定)すること』です(ウィキペディアより)
これすなわち、この答弁の時点で、すでに医療崩壊状態ということなのです。こういう状態にオリンピック強行開催中にすでになっていて、その東京オリンピックに7000人も医療リソースを割いてきたというのが、この東京オリンピックの実像なのです。
医療崩壊はこれからのことではないのです。実際、すでに東京では3000人/日以上の新規確認感染者数が出ていて、全員がケアや対応を受けていないのですから、それはすでにオリンピック強行開催中の現在進行形の話しとしての、医療崩壊なのです。
以下の新型コロナウイルス対策ダッシュボードの集計で、東京都の対策病床数に対しての現在患者数が、オリンピック開催中の8月4日時点で378%になっています。すでに病院に入りきれず、医療的なケアを受けられないことが明白なのです。だから、政府が原則自宅療養という方針を言うわけですが、感染者が必要な医療を受けられないということは、完全に医療が崩壊しているということなのです。これが東京オリンピック開催中の東京の実態です。

「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」(2021年8月8日)

そして、以下の記事のようにPCR検査も十分に受けられないようになっている。要するに新規確認感染者数としてカウントされない方々が爆発的に増えていると言うことなのです。さらに言えば、新型コロナウイルスに感染していても、その感染の有無もわからず、入院もできず、治療も受けられずという人々が爆発的に増えていると言うことです。4月のインドと同じになっているのです。

「都内クリニック PCR検査が急増『対処できる状態超えている』」(2021年8月7日 NHK)

また、8月5日の以下の記事では東京都で自宅療養者が119番できる基準が書かれています。


また、横になっていられず体を起こさないと息ができない場合や、唇が紫色になっている場合、それに体内に酸素をどの程度取り込めているかを示す「酸素飽和度」を「パルスオキシメーター」で測定して、90%以下になった場合などは、119番通報をしてほしいとしています。

「自宅療養者への電話控え 都の相談窓口つながりやすく運用」(2021年8月5日 NHK)


ここで書かれてる症状がどの程度のものか? それが以下の日本テレビの8月5日の記事に書かれています。


「着替えるときもフラフラして顔色も悪く、パルスオキシメーターで測定したところ数値が90%くらい。さすがにこれはまずいと思い、もう一度保健所に連絡を取り、何とか入院の手続きをしていただきました」 血中の酸素飽和度と脈拍数を測定するパルスオキシメーターの数値は、96~99%が標準値とされており、90%以下の場合、十分な量の酸素を臓器に送ることができない「呼吸不全」の状態に陥る可能性があるとされています。

■中等症だった夫と「二度と会えないかも」 頭をよぎる死
肩で呼吸しながら、足元もおぼつかない状態で、迎えに来た救急車に乗り込む夫の後ろ姿を見て「もう二度と会えないかもしれない」という恐怖を覚えたという女性。最悪の場合、自身と子供たちだけで生きていかなければならないと、覚悟をしたこともあったといいます。 急きょ入院した夫について、病院は「重度の肺炎、あと1歩で人工呼吸器が必要な中等症の状態だった」と説明。予断を許さない状況が続いてはいたものの、最悪の事態を免れたことに、少し安堵したと打ち明けます。

「自宅療養で“一家全滅”の危機 過酷すぎる実態」(2021年8月5日 日本テレビ)


東京は感染爆発・オーバーシュートで医療逼迫し、家族のものが死を覚悟するほどに悪化しないと医療を受けられない、入院できないということが、オリンピック開催期間中の8月5日の日本テレビの記事に書かれているのです。これが東京オリンピック開催期間中の実態なのです。

非人道性で成り立つ五輪
昨日の本ブログ「フェーズは何も変わっていない 五輪即刻中断・選手村をコロナ患者用に転換せよ (3)」(2021年8月7日)で書いたように、東京はこのような状態であるのに、オリンピックに7000人の医療リソースを使い、都民・国民は満足なPCR検査、診察、診療も受けられず、「都のコロナ療養施設がこっそり『五輪選手用』に差し出されていた」わけです。これは都民が五輪のために捨てられていることを示し、今回の五輪はこのような許されざる非人道性の上に成り立っているわけです。
このような自国民の命の犠牲を強いる非人道性の上に成り立つ大会において、金メダルを何個獲得しようと、そんなものは名誉にはなりません。意味はまったくありません。むしろ、不名誉なことです。これだけははっきりと申し上げて起きます。さらにもう一言申し上げるのなら、来年に再延期しておけば、このようなことは絶対に起きませんでした。今年に開催して、まったくもって目茶苦茶で、非人道的で、不名誉な負のレガシーにさせられてしまったのです。
このような東京大会中の東京の実態、東京大会自体の非人道性を如実に示しているのが、上記の厚労相の国会での答弁なのです。厚労相は『現場も我々も必死になって』いると述べているわけですが、それはそうでしょう。
なら、田村氏に聞きます。厚労相の田村氏は、このオリンピック開催期間中に、ゆっくりと競技を観戦することができたのでしょうか? この答弁を聞く限り、そんな余裕はなかったでしょう。それはすなわち、この東京大会が、安心・安全の大会ではなかったということなのです。このオリンピックが安心・安全な大会なら、厚労相はくつろいで日本選手を心ゆくまで応援できたはずです。来年に再延期していれば、ゆっくりと楽しめる五輪になっていたでしょうが、今年は競技をテレビ観戦する時間すらなかったでしょう。つまり、安心・安全ではまったくなかったということなのです。
それはそうです。パンデミックの状態でオリンピックの強行開催をしたのですから、感染爆発・オーバーシュートが生じ、医療における『トリアージ』をせざるを得ない。これのどこが安心・安全の大会なのか? 安心・安全の大会というのは、大会そのもについてのことはもとより、大会を行う社会の安心・安全も当然含まれるのです。そんなことは当たり前です。
つまり、この厚労相の国会答弁は、この東京オリンピックが完全なる失敗であったことを示しているのです。まさにスガ自公政権・日本政府と小池都政が、五輪を滅茶苦茶な状況にしたのです。
まさか、スガ自公政権・日本政府及び小池都政は、都民・国民の安心・安全を考えていなかったということなのでしょうか? ただ、多くの人々は、都民・国民の安心・安全を、スガ自公政権・日本政府及び小池都政が、考えていなかったと答えるでしょう。『ご懸念』が出て、国民の半数以上が反対をした今年の大会開催を、パンデミックの状態での強行開催し、東京では7000人の医療リソースが大会に使われ、都民・国民は満足な診療も受けられずに、政府はトリアージを叫び、「都のコロナ療養施設がこっそり『五輪選手用』に差し出されていた」わけです。それでは、スガ自公政権・日本政府及び小池都政が、都民・国民の安心・安全を考えていなかったことは一目瞭然なのです。
このような滅茶苦茶な状況になっている東京大会に参加したことは、まったくの不名誉なことになるのです。まさに負のレガシー。そういうトンデモナイものを、スガ自公政権・日本政府と小池都政は作り上げたのです。
そして、このことを雄弁に実証したのが、上記の厚労相の国会での答弁であり、大会期間中の感染者数の爆発的拡大なのです。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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