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8月15日だからこその苦言 その2
[日本の政治]
2021年8月16日 23時47分の記事

昨日の本ブログ「8月15日だからこその苦言」(2021年8月15日)の続きです。

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昨日は生命の平等と、それがまったくなかった戦前、戦中のわが国について書きました。もちろん、それは現在も日に日になくなりつつあります。
生命の平等とまったく反対の例として、戦前、戦中、部下に死を押しつけ、生を否定し、一方で自分は生きることを演技の自殺未遂まで画策した東条英機の例を、昨日は書きました。
この東条の反対の例としては、阿南惟幾陸軍大臣(陸軍大将)があげられると思います。彼は戦争終結ではなく本土決戦を最後まで主張しますが、昭和天皇の御聖断が下り、ポツダム宣言受諾、昭和20年8月14日、ポツダム宣言受諾、終戦が決定します。阿南陸相はその後、自宅で8月15日朝、玉音放送が流れる前に、自決します。
阿南陸相はこれで責任をとったわけです。昨日のブログで言うのなら、特攻に向う部下に対して上官が「最後の一機で必ずおまえたちの後を追う」(8月15日 共同通信)と述べて、戦争終結が決まって、最後に自決して、指揮した責任をとったということです。そう言う意味で、阿南陸相は東条英機とは違って責任をとったということになります。
ただ、この責任の取り方は、死を前提、中心にしたものです。これこそがこの滅亡に至った狂気の時代の根本・本質だと考えます。

◎ 阿南陸相は時代の本質をわかっていた
映画『日本のいちばん長い日』では、阿南陸相が自決する場面が出てきます。この映画の最大のメッセージがこの場面に込められていると考えますが、阿南陸相の自決に際して、一緒にいた若い部下が自決にお供したいと述べたことに対して、阿南陸相はものすごいビンタで大喝し、以下のような言葉を残します。


井田は咄嗟に阿南と殉死したいと思って「わたくしも、あとからお供いたします」と申し出たところ、阿南は目もくらむ激しさで井田の頬を殴り「何をバカなことをいうかっ」「おれ1人、死ねばいいのだ。いいか、死んではならんぞ」と温和な阿南には珍しく大喝している[220]。
そのあと、井田も加わって3人で酒を酌み交わした。その酒席で阿南は若い2人に「君たちは死んではならぬ、苦しいだろうが生き残って、日本の再建に努力してくれたまえ」と何回も言って聞かせている[221]。

(ウィキペディアより)


私が最も好きな場面です。阿南陸相は言うのです、どんなことがあっても生きろと、そして苦しいだろうが生きろと。私は、象徴的にこの時から戦後が始まったのだと思っています。
何があっても生きろと大喝し、生に焦点を当てたことが戦後の号令であったと。阿南陸相のビンタと大喝は、目を覚まして生に眼を向けろということであり、それが戦後へのメッセージなのです。
そして阿南陸相が責任を取って、死とともに一人、狂気の時代の幕を引いた、私にはそうとしか見えません。何とまともなのだろう、何とすごい人なのだろうかと、この映画を観る度にいつも思います。
戦後の日本の高度成長などの大きな飛躍の社会的源泉は、ただただ一つ、生がすべての中心になっていたことであり、生をあくまでも肯定したことにあると考えます。これにつきます。
上記の阿南陸相の言葉を観れば、彼は死を中心に考える狂気の時代を終わらせ、次の時代は生を中心にする正気の時代になる、もしくはそうしなくてはならないと言っているのです。それは明らかに時代の本質がわかっていたことの証左だです。
ですので、彼は終戦反対、徹底抗戦を主張していましたが、本心はまったくその反対だったと考えます。そのことが上記の言葉にはっきりと出ていると考えます。逆に言えば、そうでなければ上記の言葉は絶対に出てこないと考えます。
以下のような記述もあります。


内閣書記官長であった迫水は、阿南は終戦を望む天皇の真意を汲み、暗黙裏に鈴木貫太郎首相と協力して終戦計画を遂行したと述べている。この説では、降伏に反発する軍の暴発を阻止するため、自身は強硬な言動をとって抗戦派を装っていたとする。そうした阿南の表裏は、鈴木が一番よく承知していたと迫水は推測している。

(ウィキペディアより)


◎ そして現在
日本は、戦前・戦中の死を中心に考える狂気の時代が滅亡し、戦後は生を中心にする正気の時代になって、大きく成長し、豊かになりました。実はこれは当たり前のことなのです。死は破壊であり、消費(享楽)で、その行き着くさきは滅亡。
一方、生は生産ですから成長し豊かになり、その行き着く先は繁栄なのです。生命の平等、人々を生かし、活かす時代は、生に焦点が当っていて、繁栄するのです。ことの本質とは、とてもシンプルな話しなのです。
しかし、時代はバブルという『享楽・消費(破壊)』の時代を経て、この戦後の時代の方向性が反転したのです。それが失われた30年の本質、現在の日本の凋落の社会的な原因はすべてそこにあります。そして、このことが様々なことに波及して悪循環になっているのです。日本が方向を見失っているのは、このとてもシンプルな時代の本質を理解できていないからです。
ですので、政治家も劣悪なのばかりがでてくる。
アベ・スガをみてください。日本の首相というのに、何一つ間違いを認めない。まさに北朝鮮の将軍様と同じの完全無欠さです。もちろん、まったく完全無欠ではなく、嘘をつくし、嘘をつくし、誤魔化すし。様々な疑惑があるのに、すべて否定して、権力を使って押さえつけてきたに他なりません。
もちろん、それに同調する太鼓持ちが反社会的名保身のために動き回ると言うことはあります。ようするに、完全無欠ではなく、劣悪な政治家が責任を認めようとしないだけなのです。
これでは、せいぜいフェイクの自殺未遂をした東条と同じレベルなのです。阿南陸相とは大いに違う。それが今の日本の政治家の隠しようのないレベルなのです。
無論、だからといって、私が阿南陸相と同じようにできるかと言えば、できません。ただ、私とアベ・スとの違いは、その人間としての不完全さを正直に認めているか、否かだけなのです。それに私には不完全さを糊塗する権力・資力もありませんし。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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