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オーバーシュート・医療崩壊する東京とスガ氏の失敗の告白
[日本の政治]
2021年8月19日 23時34分の記事

今日のNHK7時のニュースを夕食をとりながら観ているほんの30分の間、現状の新型コロナウイルス問題状況を示す象徴的なことが二つありました。一つは30分という短い間に、外を走る救急車のサイレンの音を2回聞いたこと、もう一つはNHKのニュースですでに『医療崩壊』ということをはっきりと言っていることです。明らかに『オーバーシュート』の状況ですが、いまだこの言葉を使おうとせず、しかし、その結果、事態は深刻化する一方です。

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◎ すでに医療崩壊から家庭崩壊になっている
17日の朝、近所の小さな内科医院でワクチン接種をしましたが、院内にいる40分ほどの間に、受付の看護師さんが2回、新型コロナウイルス感染者とみられる方からの電話への応対をしていました。そして、小さな町のお医者さんなので話しの内容がよく聞こえてしまうのです。
一人は体温が40度、パルスオキシメーターの血中酸素飽和度が90%という方でしたが、どうしたら良いのかとその内科医に問い合わせをしてきたものと思います。
医院の対応としては、こちらでは何もできないので、保健所に連絡してほしいとのこと。恐らく、その感染者の方は、保健所に何度も連絡しても繋がらず、打開策としてかかりつけのその医院に連絡をしてきたのでしょう。しかし、どうにもならない。
もう一つの電話も同じような内容です。それにしても体温が40度、血中酸素飽和度が90%であるのに、なんのケアも受けられない国というものもひどいものです。普通、かぜでそのような数値が出たら間違いなく大騒ぎになって医療を受けることができ、入院することになるでしょう。しかし、現状は入院患者が一杯で、どうにもならず、完全に医療が崩壊しているので医療のケアも受けられず、自宅待機、入院すらできず、入院はいつになるかわからない順番待ち。そして毎日、感染者がうなぎ上りで増えていく。
このような状態だから、目の前で現実として上記のようなやり取りがなされていたわけです。これが現在の日本の現実。これまではテレビなどの報道でしか観なかった現実がそこにあるわけです。
そして、状況は日に日に悪化、完全なる医療崩壊に至っています。だから、以下の記事のように、親子3人コロナ感染して、自宅療養中に40代の母親が急変死亡したり、コロナ感染で自宅療養中の妊婦が出産、赤ちゃんが死亡するなどのケースが起きるのです。すでに医療崩壊によって家庭崩壊へと進んでいるのが現状なのです。

「東京都内 親子3人全員が感染し自宅療養中 40代母親が死亡」(2021年8月18日 NHK)

「自宅療養の妊婦 受け入れ先見つからず出産 赤ちゃん死亡」(2021年8月19日 NHK)

はっきりと『医療崩壊』と政府、そして東京都は認めなければなりません。その現状認識をしない限り、状況は改善しない。
しかし、現状はその政府・都政の失策を糊塗しよう、隠そうとするから酸素ステーションがどうとかこうとか、抗体カクテル療法がどうとかこうとか、と言うのです。とは言え、スガ氏がそう言い始めてかなりの時間が経っていますが、まったく状況は好転せず、むしろ被害者が続発しているわけです。まずは、その責任をスガ、コイケはどうとるのでしょうか? これ、許されませんよ。責任追及はずっと続きます。
たとえが悪いかもしれませんが、現状をわかりやすく言うと、そのポイントは、昔のテレビCMで『臭いニオイは、もとから絶たなきゃダメ』というキャッチフレーズだと考えます。現状は、まさに臭いニオイが充満して、さらにものすごい勢いで臭気が発生している状態です。そういう状態で、芳香剤をまいてニオイを誤魔化そうとしているのが、酸素ステーションがどうとかこうとか、抗体カクテル療法なのです。そういうことで、少し誤魔化されるかもしれませんが、臭気がどんどん発生している状況では焼け石に水なのです。

◎ 積極的疫学調査縮小ならロックダウンしかない
現状すべきことは、元を絶つことです。それは感染拡大を止めること。これ以外に問題を解決する方法はありません。したがってロックダウンが視野に入っていることは間違いありません。
8月15日、東京新聞は、東京都が積極的疫学調査を縮小すると以下のように報じています。毎日新聞も同様に報じています。これではすでに感染経路を特定して元を絶つことはできません。それなら物理的にロックダウンするしか方法はないのです。

「東京都、積極的疫学調査の規模縮小 コロナ急拡大で保健所に通知」(2021年8月15日 東京新聞)

「東京都、積極的疫学調査を見直し 保健所業務の逼迫で 新型コロナ」(2021年8月16日 毎日新聞)

ただ、以下のように、都知事のコイケ氏は積極的疫学調査を縮小するのではなく、実効性を向上させるものと述べています。はっきり言いましょう。こんなのはウソです。ウソ八百。どうしてそう言いきれるのか? そもそも、ここまで感染爆発・オーバーシュートしているのは、これまでの積極的疫学調査が何の役にも立っていなかったからです。
ですから、その低レベルの調査を、保健所の体制がこれだけ逼迫しているのに、これから実効性を高めることなんぞは到底不可能なのです。明らかにコイケ氏の悪質なウソ、デマです。これは極めて政治的に問題です。バブル時代に培ったコイケ氏のこれまでの感覚で政治をやってもらっては困るのです。

「都の積極的疫学調査、小池知事は『縮小するものではありません』 実効性向上を強調」(2021年8月16日 東京新聞)

実際、積極的疫学調査が機能していないからここまで感染爆発・オーバーシュートしているのですから、今後はその調査どう観ても機能しません。期待する方が誤っています。したがって、現状は積極的疫学調査が事実上ない状況ですから、感染収束へ向わせるにはロックダウンしか、もはやないのです。これが現状の東京都の結論です。そうしないとさらなる医療崩壊になります。
このロックダウンをして、それにPCR検査の社会的検査と隔離を併用して、同時に政治が医療崩壊していることを認め、本気で対応しなければ問題はこの1ヶ月から2ヶ月、どんどん悪化していきます。

「オーバーシュート・医療崩壊する東京とスガ氏の失敗の告白 (2)」(2021年8月20日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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