鹿をおうものは山を見ず | ||
[日本の政治] | ||
2021年8月26日 21時28分の記事 | ||
『鹿をおうものは山を見ず』ということわざがあります。意味は、目先の利益に囚われて道理を忘れてしまうことや、『木を見て森を見ず』と同じように細事に拘泥して全体像を忘れてしまうこと、そして深追いしすぎて道を見失うことなどです。言うまでもなく、現状のスガ自公政権・日本政府とコイケ都政は、このことわざにぴったりはまります。
昨晩のスガ氏の記者会見は、何のために開かれたかと言えば、それは新型コロナウイルス感染状況がさらに悪化し、以下の記事のように緊急事態宣言をさらに8道県に拡大して発令するためです。 「【詳報】菅首相会見 緊急事態宣言 8道県を追加」(2021年8月25日 NHK) 以下の記事は今日開かれた東京都のモニタリング会議についての記事ですが、明らかに医療崩壊であると言われています。
「医療提供体制は深刻な機能不全に陥っており」というのは、すでに医療崩壊しているということです。医療崩壊という言葉を使わずに『機能不全』という言葉に置き換えて表現を和らげているだけなのです。もちろん、意識的に誤魔化しているだけとも言えます。 そして、この状況が、今後、感染状況が好転しなければ、さらに悪化、すなわち、さらに医療崩壊すると言うことなのです。これが現在の東京都の実情です。すでに医療崩壊しているのです。 そして、この医療崩壊が、今度は家庭崩壊を起こす。そういう事例が、ここ2週間で山ほど報道されています。東京都に限ったことではありませんが、感染爆発は、医療を破壊を招き、家庭を破壊し、社会を破壊していくわけで、それが現在の日本の実相であるわけです。 ◎ 『明かりはハッキリ見え始めた』と言ってしまうバカさ加減 しかし、スガ氏は昨晩の記者会見で、感染状況が悪化しているので緊急事態宣言地域を拡大すると言い、東京都の状況は上述のようにガタガタであるのに、『明かりはハッキリ見え始めた』と言ってしまうわけです。 「首相『明かりはハッキリ見え始めた』…ワクチンはデルタ株にも有効と強調」(2021年8月26日 読売新聞) どこに明かりが見え始めたのか? 感染状況が悪化しているので緊急事態宣言地域を拡大することを発表する記者会見で、どこに明かりがあるのでしょうか? スガ氏はワクチンがデルタ株にも有効だから明かりが見えて『もう大丈夫』と言ってるわけです。 しかし、そもそも医療体制の構築や行動制限などの感染防止策の策定を去年から行っていないから、現状、真っ暗な状況になっているわけです。現在、酸素ステーションや野戦病院が言われていますが、私でさえ昨年の5月から本ブログで「新型コロナウイルス専門集中施設の必要性」とずっと言っています。東京の砧公園や光が丘公園にプレハブでもよいから施設をつくれと。 本ブログ「洞察がすべて とにかく安倍政権を観ることが最初の一歩(1)」(2020年5月24日) 1年以上前からしっかりと対策を打っていれば、現状はすでに明るかったはずなのです。 結局、現状の大変な状況は、アベ・スガ自公政権・日本政府とコイケ都政の無策で生じているわけです。行動制限も現憲法下で十分可能なのです。日本に行動制限や私権の制限をする法律はいくらでもあります。現憲法下で行動制限・私権制限ができないというのはデマに過ぎません。 このように現状の『災害級』の状況をつくったのは、アベ・スガ自公政権・日本政府とコイケ都政なのです。世界には中国・台湾のように感染を抑えこんで経済成長をしている国もちゃんとあるのです。それが、日本では政治の無策で出来ていない、経済・社会が閉塞・停滞している、ただそれだけの話しなのです。 だから、スガ氏はワクチンが進んでいるので明かりが見えたと、現在の状況を完全に無視して、実績だけを強調するのです。まさに『鹿をおう者は山を見ず』で、『一事』(鹿)だけを追って全体像がまったくガタガタというのが現在の政治の本質なのです。 「小池百合子知事、コロナ感染状況は『災害級』もパラリンピック開催意義を強調」(2021年8月21日 日刊スポーツ) その『一事』とはなにか? それは、政権維持=自己保身です。『明かり』=『希望』を協調するのは、当然、政権維持のための正当化に過ぎません。そこに国民はいないのです。自分本位。このレトリックはコイケ都政も同じくよく使います。 もう一つの意味は、『山』が見えていない、つまり政府が社会状況を把握できていないということです。極めて危険な状況があるということです。だから、現在の政府には問題解決能力が無い。現在の政権は自分で考えていない、誰かに指図されてやっているようにしか見えません。それほどひどいということです。 「鹿をおうものは山を見ず (2)」(2021年8月27日)へ続く。 | ||
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