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鹿をおうものは山を見ず (2)
[日本の政治]
2021年8月27日 0時0分の記事

昨日の本ブログ「鹿をおうものは山を見ず」(2021年8月26日)の続きです。

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◎ 収束傾向をつくるまで高らかに言えることは一つもない
政治は実績です。特に新型コロナウイルス問題のように疫病・感染症の問題は、伝染病ですから、感染を抑えられているか、それとも抑えられないかのどちらかしかないのです。伝染病は抑えられていないのと、現在の日本のように爆発的に感染拡大となるので、この二つのどちらかということになるのです。
だから、現在の状況において、希望の明かりが見えてきたなんていう生やさしい『自己保身・自己正当化』は通用しないのです。感染を終息させたとき、政権はその実績を高らかに言えるのであって、何も実現していないときに『明かりはハッキリ見え始めた』と言ってもまったく意味がないのです。課せられていることは、唯一、終息を実現できたか、それだけなのです。
結局、中国・台湾のように収束傾向をつくり出さない限り、経済・社会活動の正常化はあり得ませんし、必然、経済の本格的な安定と成長はあり得ません。これは世界的に見ての常識の話しです。ですから、収束傾向をつくり出し、終息するまでしっかりと防疫対策を行わなければならないのです。終息が実現するまでの楽観論はまったく意味がありません。そういう楽観論はかえって状況を悪化させます。
現在の楽観論は、渋谷などの繁華街や行楽地での人流を増やすだけなのです。『明かりはハッキリ見え始めた』というと、実情を暗くするだけの話なのです。
昨年5月に東京上空を飛んだブルーインパルスを覚えていますでしょうか? 緊急事態宣言が解除されての飛行でしたが、あれは何だったのか今さらに思います。今や東京では感染爆発・オーバーシュート、医療崩壊、家庭崩壊が起きているのです。この1年間、アベ・スガ自公政権・日本政府とコイケ都政がまったく何もしていなかったからこうなったのです。
終息まできちっとやってこその意味があり、それができるまでの楽観論は意味はほとんどありません。アベ・スガ自公政権・日本政府は、これまで何度も『明かりはハッキリ見え始めた』などと楽観論を吹聴してきましたが、結局、感染の終息は出来ていません。まさに、このような楽観論が、保身・政権維持のために国民を欺す常套手段になっています。そして、事態を悪化させている。
また、以下の毎日新聞の記事では、東京や大阪で発生しているデパートなどでのクラスターの原因がわかっていないと報じています。これは、まだまだこの新型コロナウイルスが未知のウイルスであることを示しています。五類格下げなんていうレベルではないのです。

「百貨店を襲う従業員クラスター 業界にショック『対策どうすれば…』」(2021年8月20日 毎日新聞)

この五類格下げの話しは去年からありましたが、去年はまだワクチンすら出来ていなかったのです。そのような中で、世界中でトンデモナイ数の人々が犠牲になっていたわけです。であるのに、それをインフルエンザと同じというのは、明らかに頭がおかしい。ただ、それだけです。お話しにならないレベル。カルトのレベル。
以下の日刊ゲンダイの記事には、新型コロナウイルスは、単純計算で死亡率が季節性インフルエンザの60倍とあります。であるのに、新型コロナウイルスがインフルエンザと同じと考える人の頭はやはりおかしい。そうとしか言えません。

「新型コロナ死亡率『0.12%』の落し穴 累計はアメリカ、インドに次ぐ高さ」(2021年8月23日 日刊ゲンダイ)

◎ 考え方がおかしい
スガ氏の25日夜の記者会見を報じる以下の記事に、スガ氏は「経験したことのない感染拡大が継続しているとして、医療提供体制の確保などに万全を期す考えを強調しました」とあります。

「【詳報】菅首相会見 緊急事態宣言 8道県を追加」(2021年8月25日 NHK)

まあ、このスガ氏の思考は論理的思考として正しくありません。まず、感染の収束をはからない限り、医療体制はもたないと東京都のモニタリング会議でも言われているわけです。これまで医療体制を拡充してこなかったので、現状の感染爆発に医療体制が対応できず、医療崩壊となり、その結果、家庭崩壊も生じているわけです。
それなら、早期の感染収束策を徹底することこそが必要なのは子どもでもわかること。そして、この『経験したことのない感染拡大』において、スガ自公政権・日本政府とコイケ都政がまったくの無策であることが最大の問題なのです。だから、経験したことのない感染拡大をしているわけです。極めて明確なことなのです。責任と原因が自分たちにあることがわかっていない。
経験したことのない感染拡大。新型コロナウイルス問題自体が、最初から経験したことのないことですから、そんなことは当たり前のこと。だから、しっかりと準備し、行政は全力で対応しなくてはならないわけです。
であるのに、どうしてオリ・パラを強行開催したのか? オリ・パラをやりながら、片手間で新型コロナウイルス対策をしているから、現状の感染爆発・オーバーシュート、医療崩壊になったわけです。
そもそも、『ご懸念』通り、オリ・パラをやる余裕はなかったのです。そのことを端的に示すのが、現状の感染爆発・オーバーシュートと医療崩壊、昨日25日の緊急事態宣言拡大を発表したスガ氏の記者会見そのものなのです。
やってはいけないときにオリ・パラを強行開催してしまったわけです。本当はオリ・パラを再延期して、防疫に専念しなくてはならなかったのに、中途半端なことばかりをするから、現状のように感染状況がどんどん悪化しているわけです。スガ自公政権・日本政府とコイケ都政は、オリ・パラよりもまず社会の安心・安全を実現しなくてはならないのです。
そのためには、繰り返しになりますが、オリ・パラの再延期という選択肢しかなかったのです。それは経済・社会のためにも、何よりもオリ・パラのために必要な措置であったのです。それを昨年中に決めて、実行しておかなければならなかったのです。そのくらいの見通しを持つのは為政者としては当然のことです。
今回のパラリンピック中の緊急事態宣言の拡大は、必然、スガ自公政権・日本政府とコイケ都政の防疫失敗とオリ・パラ強行開催の失敗を確定させたものなのです。

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐勇治(政治評論家) さん
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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