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大変に良い記事?
[日本の政治]
2019年1月29日 23時54分の記事

以下のように韓国紙・ハンギョレが大変に良いコラム記事を出しています。

「[コラム]安倍首相の弱点」(2019年1月27日 ハンギョレ)

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このコラムの歴史や国際情勢についての分析がとても良く、特に最後の段落が秀逸です。ちょっと長いですが、以下のように書かれています。


それでは安倍首相の“弱点”は何か?安倍首相の戦略的計算を逆利用してみよう。まず、日本の挑発には毅然と対応するものの、興奮したり偶発的衝突が起きれば罠にはまるということを肝に銘じよう。次に、南北関係を発展させ非核化と朝米和解を進展させ、北東アジア平和体制を推進することだ。安倍首相が韓日間の民族主義的憎悪を煽り立てようとしていることに対抗し、日本国内にも安倍首相の政策と改憲に反対する多くの市民がいることを記憶し、反日感情に巻きこまれず平和体制と非核地帯に向けた連帯の空間を作ることも重要だ。南北が共存・繁栄し、東アジア平和体制が強固になれば、韓国と日本の冷戦保守勢力の立つ瀬がなくなることを覚えておこう。(同上)


まず、「日本の挑発には毅然と対応するものの、興奮したり偶発的衝突が起きれば罠にはまるということを肝に銘じよう」というのは、正にその通りでしょう。日本でも反韓感情を煽る政治家やマス・メディアの論調が最近、非常に多くありますが、このようなものに何の意味があるか私には理解できません。単に感情的になることに意味があり、その内実は空虚、生産性を微塵も感じません。
むしろ、このハンギョレの記事のように事態をしっかりと捉え、冷静に見つめる姿勢は賞賛に値します。戦争と言うのは偶発を装った事件によって引き起こされるのが常で、その最たる好例がトンキン湾事件でしょう。現状、東アジアはこれまでの構造が崩れ、新しい構造へと移行していますが、その歴史の境界で平和ではなく、戦争を欲している勢力(日本では右翼、韓国では保守勢力)がいるとこれまでザ・フナイや本ブログで何度も指摘してきました。まさにトンキン湾事件が起る可能性が非常に高いのが現在の東アジアであるわけです。この文章を見て、さすが韓国は戦争をよくわかっているなと思いました。

次に「南北関係を発展させ非核化と朝米和解を進展させ、北東アジア平和体制を推進することだ」というのも秀逸です。南北関係を発展させ朝鮮半島から戦争を追い出すのが、韓国にとっても北朝鮮にとっても最高の選択肢であるわけです。もちろん、日本にとっても最高のことなのですが、日本(安倍政権)はそのことに真っ向から反対してきました。それはまさに朝鮮戦争という東アジアにおける第二次世界大戦後(冷戦期)の構造が壊れることを阻止するためであるとこれまで指摘してきました。そしてこのような行動とともにあるのが韓国の保守勢力ですが、この日韓の勢力は戦争によって成立つ勢力で、平和とは全く反対の勢力です。これでは、朝鮮半島、そして日本にとっては不幸の元、宿痾でしかないのです。このことは戦前から続いています。

そして、「安倍首相が韓日間の民族主義的憎悪を煽り立てようとしていることに対抗し、日本国内にも安倍首相の政策と改憲に反対する多くの市民がいることを記憶し、反日感情に巻きこまれず平和体制と非核地帯に向けた連帯の空間を作ることも重要だ」というのは非常に意味ある言葉です。この「平和体制と非核地帯に向けた連帯の空間を作る」という言葉を日本人が見ると北朝鮮・朝鮮半島の非核化と見えるでしょうが、これはそう言うことではないと考えます。本ブログ「日本の原発問題は世界の核兵器問題?」(2019年1月21日)で書いたように日本の核というのは北朝鮮よりもはるかに大きな問題なのです。そのことを日本のメディアは触れず、日本人には全く認識がないのですが、世界においては明らかに極めて大きな問題として存在します。現在、それが北朝鮮の非核化問題とリンクしているわけですが、東アジアの平和においては、まず東アジア諸国の非核化が達成されることが第一であるわけです。このコラムで「非核化地帯」という言葉を用いる認識の深さは、残念ながら日本のメディアにはないリアリティーと物事を直視する大変に優れた見識があります。

そして、最後の「南北が共存・繁栄し、東アジア平和体制が強固になれば、韓国と日本の冷戦保守勢力の立つ瀬がなくなることを覚えておこう」という言葉は本当に良く、大変に素晴らしい言葉です。これはこれまで私が言ってきたことと全く重なりますが、朝鮮半島から戦争がなくなり、融和が進めば、日韓の冷戦によって成立つ勢力が力を失うと言うことです。そして、この言葉が示すことは、日韓に連なる戦争を維持しようとする勢力が、韓国から見てもあると言うことなのです。
これまで国単位で世界を見たらわからなくなる、各国に通じる勢力で見ないとわからないと述べてきましたが、それが東アジアにおいては上述の日本における右翼・韓国における保守という勢力で、このコラムの表現なら日韓の冷戦保守勢力ということになるのです。このような見識があるというのは、本当に素晴らしいことだと考えます。そして、日韓の間の本当の問題は、この戦争によって成立つ勢力以外に日韓を結ぶ本当の意味での繋がりがこれまでなかったことです。そのような繋がりができないようにこの戦争で成立つ日韓の系譜は、憎悪をお互いにかき立ててきたわけですが、これからは戦争によって成立つのではなく、平和をつくりだし、そのことによって成立つ新しい日韓における架け橋をつくらなくてはならないのです。それはこのコラムで言う「平和体制と非核地帯に向けた連帯の空間」ということなのです。
「大変に良い記事?」(2019年1月30日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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