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大変に良い記事?
[日本の政治]
2019年1月31日 5時7分の記事

昨日の本ブログ「大変に良い記事?」(2019年1月30日)の続きです。

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このような日韓の情勢の中で、日本の右翼と韓国の保守勢力は、当然、その存立基盤を脅かす南北融和、そしてそれを推進する文在寅政権に対して攻撃をするのは必然となるわけです。ただ、日韓における極めて大きな違いは、韓国の保守勢力は今や野党になっていると言うことで、この立場は日本の右翼が圧倒的与党の地位いることとは違います。そうなるとこの日本の右翼と韓国の保守勢力の動きは、日本がイニシアチブをとって先導するということに当然なります。
また、もう一つの違いは、韓国では文在寅政権となりましたが、日本にはこの朝鮮戦争の構造からの脱却を考える政治勢力がいないと言うことです。日本にはそのような勢力どころか、認識もなく、がっちりと固まってしまっているわけです。それは、日本の戦後を規定してきた朝鮮戦争の構造が、日本における政治、経済、マスコミにおいてがっちりと構築されていることに理由がありますが、もう一つの理由はそもそも戦後、日本が置かれてきた実情に単に認識がないと言うことです。
2017年4月に、数名の野党国会議員を前に、2018年に朝鮮戦争は終わると申し上げましたが、全く聞く耳を持ってもらうことはできませんでした。それどころか、侮蔑の表情を見せられました。その時に聞く耳を持って頂ければ、今や少なからず力を得ていたと思いますが、同席された政治家のその後を見れば、反対に動き、立場を一律に失っています。

無視するという内政干渉
このような日韓の政治情勢で、1月28日の通常国会冒頭での安倍首相の施政方針演説において韓国についての言及がほとんどなかったことを、産経新聞と朝鮮日報が以下のように報じています。

「『安倍、韓国外し』『韓国を丸ごと省く』 施政方針演説で言及なしに韓国各紙」(2019年1月29日 産経新聞)

「(朝鮮日報日本語版) 『安倍首相の施政演説、韓国外したのは韓国が未来志向でないため』」(2019年1月29日 朝鮮日報)

安倍首相の施政方針演説で韓国についての言及がなかったことは、韓国が未来志向ではないためと言うメッセージがありありと朝鮮日報に出ています。朴槿恵前大統領のように慰安婦問題に決着をつけたのは素晴らしく、未来志向で、文在寅政権のような対応をとっているからダメで韓国の国益を損なうと言わんばかりです。ただ、そもそも朴正煕元大統領の娘である朴槿恵前大統領と安倍首相とは、上述の日本の右翼と韓国の保守派のメインストリームであるわけです。そう言う中での慰安婦合意であるわけです。朴槿恵前大統領が韓国の人々のために本当に動いたかは、私にとっては非常に疑問です。そして、このような方策は日韓の未来に資することはないと考えます。このようなことではいつまでも両国間での感情の溝が消えることはありませんし、戦争と言うことに対して間違った認識を生み出すことになると考えます。
この朝鮮日報の記事は、当然、安倍首相の演説での言及のなさを利用した文在寅政権批判であるわけで、日本の右翼と韓国の保守派との繋がりを考えれば、連携していると考えるのが自然です。つまり、安倍首相の韓国無視ということの実相は、韓国に対する内政干渉というわけです。
朝鮮日報が報じた「安倍首相の施政演説、韓国外したのは韓国が未来志向でないため」というのは、朝日新聞が報じたものと記事には書かれています。以下のリンクがその記事ですが、朝鮮日報としては日本のリベラルがこのように報じているから事態は韓国にとって深刻で、文在寅政権はダメだと言いたいのでしょうか? しかし、これまで本ブログ「ひょんなことから二つは繋がる?」(2019年1月18日)「戦前と何も変わっていない?」(2019年1月16日)などで書いてきたように、朝日新聞の本質を考えれば、このような記事を同紙が書くのは不思議でも何でもありません。朝日新聞と右翼は、戦前や特に戦後の朝鮮戦争の構造を支える上では表裏一体ですので、このようなことは当然、生じるわけです。
朝日新聞が沖縄の米軍基地に批判的に書いて、このように朝鮮戦争終結の方向性について後ろ向きなことを書くというのは、本当に矛盾したことをしているのです。そのような大変な矛盾が起るのは、朝日ならではのレベルの低さか、それとも戦後支配層の一角であるためなのか、多分両方でしょう。

「首相、日韓関係触れず 昨年は『未来志向で』 施政方針演説 有料記事」(2019年1月29日 朝日新聞)

この朝日新聞の記事にある上記発言をした人物が、首相周辺とあって政府高官とは書かれていませんから、恐らく以下の記事にあるような自民党の国防部会の関係ではないかと推測します。

「レーダー問題『徹底抗戦せよ!』 “弱腰”防衛相に自民から非難 国防部会は怒り爆発『制裁を実行すべきだ』」(2019年1月24日 夕刊フジ)

ただ、施政方針演説で韓国の言及がほとんどなかったことについて韓国は気にする必要はないでしょう。上述のような日韓における右翼・保守勢力の連携という理由がありますし、以下の日刊ゲンダイの記事のように、韓国だけではなく沖縄にも同じ対応をとっていますので、基本的にそういう手法なのだと考えた方が良いでしょう。しかし、沖縄は日本ですから、首相が寄り添わないのは大変に問題があることです。一方、韓国は国が違いますから、上記紹介したハンギョレのコラムのように冷静に毅然と対処すれば良いでしょう。そのような姿勢を切り崩そうとするのが、上記の朝鮮日報の記事であるわけです。

「首相演説「沖縄に寄り添う」消え…辺野古新工事を強行着手」(2019年1月29日 日刊ゲンダイ)

「大変に良い記事?」(2019年2月1日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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