NHK 『新映像の世紀』第4集は秀作 | |
[日本の政治] | |
2016年1月25日 23時50分の記事 | |
1月24日夜、NHKの『新映像の世紀』が放映され、今回は「世界は秘密と嘘(うそ)に覆われた」と米ソ冷戦期のことが扱われ、特に冷戦期に暗躍した諜報機関(CIA、FBI、KGBなど)に焦点が当てられた内容になっていました。内容は大変に良いもので、見ていてとても勉強になりました。 「新・映像の世紀 第4集 世界は秘密と嘘(うそ)に覆われた」(2016年1月24日 NHK)
番組の中では、米国でマッカーシー旋風が吹き荒れていた頃、レーガン元大統領が、FBIのスパイとしてハリウッドの赤狩りに携わったり、議会で証言などをしていることが言われていました。なるほどと思いましたが、これが彼の政治的キャリアの最初であったのでしょう。そのような方が大統領になるのですから、KGBから大統領になったプーチンロシア大統領と同じだなとも思いました。 他に、番組では、ベトナム戦争の頃のベトナムに対するCIAの工作についても描かれていました。ベトナム人がCIAの工作に加わるのですが、CIAなどがベトナム人に対して過酷な仕打ちをすることで、忠誠心を失っていく様が語られていました。これもあまり知られていないことではないかと思います。 イランの歴史 また、番組では冷戦期のイランの歴史の変遷についても触れられていました。もともとイギリスの強い影響を受けていたイランは、石油産業もその英国などの支配下に置かれていました。しかし、イランのモサデク首相はその状態から脱しようとし、石油会社の国営化を果たします。しかし、英国は米国を誘い、石油権益を取り戻そうとし、そこでCIAやMI6の工作が行われます。CIAの工作は民衆を扇動し、最終的にクーデターを完成させ、モサデク首相を捕らえ、失脚させます。 番組でのこの場面を見ていて簡単に民衆を扇動しクーデターなどができ、またこれまでしてきたのだなと改めて思いました。アラブの春なども純粋な民主化運動とは見ずに、まずそのような動きで誰が得をするか、ありうる国際的な思惑などは何か、そういう視点で考えなくてはならないと改めて思いました。 工作でモサデク首相を失脚させた後、米国などの影響下でパーレビ国王が復権し、独裁体制が26年間続きますが、1979年のイラン革命が生じ、パーレビ国王は亡命します。このイラン革命の時に、CIAの工作で失脚させられたモサデク首相の肖像画が民衆によって掲げられていたことは、この革命の本質に何があるのかが、非常に良くわかる象徴的なものです。 1979年のイラン革命時、テヘランで米国大使館占拠事件が生じ、このことを題材にした『ラルゴ』という映画が近年、放映されました。この米国大使館占拠事件だけを見るとイランが悪者になりますが、歴史の経過を見れば英国、米国の石油権益のために虐げられてきたイランの姿がそこにあるわけです。同時にそのようにイランを虐げていたのがパーレビ国王でもあったわけで、最後は亡命という形で祖国を追われるのは当然で、国を裏切ったものの末路であったと言って良いでしょう。 昨年、イランと米国は和解をしました。このような歴史的経過があるにもかかわらず、よくイランは我慢して和平への道を選んだものと思いました。数年前はイランと米国は一触即発のところまで行きましたが、それも乗り越え、よく和平を実現したと思います。イランもさることながら、米国もよく方向転換ができたものと思います。そして、このことは人類にとって最大の福音でしょう。 日本も例外ではない 今回のNHKの放送を見て、KGBもそうですが、CIAがいかに大規模にまた世界的に工作を行ってきたかがよくわかります。 そして、このことは日本も例外ではありません。先日、本ブログ「CIAから自民党への資金提供に関する特大スクープの意味? 」(2016年1月17日)などで触れましたが、ここで扱った西日本新聞のスクープ記事は明らかに日本でCIAの工作があったことを示しています。日本もまた昨年のイランと同様、これから平和の道を選ぶか否かという岐路に立たされています。それが現在の日本の実相でしょう。 「『外務省が機密解除に反対』 CIAの自民政治家へ資金 米元諮問委員が証言」2016年1月6日 西日本新聞) かつての日本において、ソ連のKGBの工作は確かにあったでしょうが、同時にCIAの工作もあったわけです。どちらが大きいかと言えば、それは間違いなくCIAの工作の方が大きかったわけです。そして、またその影響は絶大であったでしょう。それは、西日本新聞がスクープしたように、CIAから資金を得ていたと証言されている自民党が、戦後、ほぼ一貫して現在までも政権の座で健在であることが何よりもそのことを如実に示していることと考えます。 番組ではベトナム反戦運動や公民権運動についても放映されていました。それらが行われた当時は、それらの運動について様々な批判があったでしょうが、現在からそれらを見ると正しい動きであったと思います。むしろ、それらの運動が時代のバランスをとっていますし、社会にある多くの問題点も解決したと思います。 戦後、日本では自民党政権下で日米同盟が進められ、その同盟関係が日本に恩恵をもたらしたと言われています。そのことは、私は否定しません。しかし、それだけが要因かと言えば、それは違うものと考えます。むしろ、平和憲法があったから日米同盟下において日本が参加する戦争を回避できたと考えます。そういう意味では、平和憲法の意味は大いにあったものと思いますし、これからもそれは変わらないものと考えます。一面的思考ではなく、総合的に物事を考えることが何よりも大事であると考えます。 | |
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