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約一ヶ月前の全面支持の意味
[日本の政治]
2019年7月1日 23時56分の記事

約一ヶ月前、トランプ大統領が来日したときのことを思いだしてみください。5月27日の日米首脳会談後の共同記者会見でトランプ大統領は、安倍首相の前提条件つけずに日朝首脳会談ということについて全面的支持を表明しています。実はこのことには非常に意味があります。

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6月30日の米朝首脳会談以前は、2月28日にベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談は失敗・決裂という評価一色でした。しかし、よく考えて見てください。2月の会談が失敗・決裂していたなら、5月の日米共同会見で、トランプ大統領は、日朝首脳会談について全面支持はしないでしょう。このことは6月初旬に書いたザ・フナイ8月号でも取り上げています。またこのトランプ大統領の発言以前に同じ支持をボルトン氏もしています。
普通に考えて、2月の米朝首脳会談は失敗・決裂していないから、日朝首脳会談を全面的に支持していると言うことです。もちろん、米朝間の関係を日本に取り持ってほしいと言うことでも間違いなくありません。このことは6月30日の米朝首脳会談をみれば一目瞭然です。トランプ大統領の全面支持発言の実相は、日本が北朝鮮と前向きに話すことが東アジア和平にとって必要と言うことであり、それは即ち、日本が朝鮮半島和平・東アジア和平に前向きに取り組むことが東アジアの平和にとって必要と言うことなのです。それは日本が和平に極めて後ろ向きであるからというのは言うまでもありません。

明らかなプロパガンダ
しかし、日本のマスメディアのほとんどは、5月の日米共同記者会見後も引き続き2月の米朝首脳会談を失敗・決裂と言い続け、本ブログ「本当に孤立しているのはだれか??」(2019年6月30日)で書いたように文在寅大統領が外交的に孤立していると書き続けてきたわけです。明らかに大本営発表のプロパガンダかマスメディアの分析力の欠如、もしくはそれらの両方でしかないでしょう。
2月の米朝首脳会談から6月30日の同会談に至っていない時点で最低限言えることは以下のことです。

? 2月28日の米朝首脳会談は決裂でも、失敗でもない
? この会談後も米朝両国は良好な関係を保っている→実際、トランプ大統領はそのようにツィッターなどで述べている
? そのような状態で、トランプ大統領は日朝首脳会談を全面支持したと言うことは、日本が米朝和平、南北朝鮮半島和平などの東アジア和平の阻害要因になっていることを明確に示す

?にていては間違いなく、日本による韓国への制裁の発表や安倍首脳のイラン訪問に現われていると考えます。イラン訪問についてはいずれ書きます。

2月28日の米朝首脳会談について『ノーディールというプロセス』と私は分析してきました。プロセスとは和平への過程という意味です。2月28日のノーディールというプロセスを経て、6月30日の米朝首脳会談に至ったのは明らかと考えます。

蚊帳の外どころか逆走する日本
この6月30日の米朝首脳会談ではトランプ大統領が軍事境界線を越えて北朝鮮側に入っていきました。それもシークレットサービスなしの単独で北朝鮮側に目測で20メートルほど、もしくはそれ以上入っています。つまり、完全に北朝鮮側に入ったと言うことです。
映像には映ってはいないものの、周囲は相当の警備だったことは間違いないでしょう。しかし、世界最高の警護をされている米国大統領がこのようにしたということは、北朝鮮に対して相当の信頼があることを示し、同時に既に戦争が終わっていることを意味しています。
3月以降、米中露の3者で朝鮮半島和平などをずっと話し合ってきていることをザ・フナイで追ってきました。この3者で徐々に6月30日の会談に向けて調整や話し合いがなされているのですが、そこに当然、韓国、北朝鮮も入っています。
実はこの5カ国の連携の中に入っていないのは日本(安倍政権)だけなのです。だから、上述のような日朝首脳会談を全面的に支持するというトランプ大統領の発言になるわけです。今や日本(安倍政権)は、東アジア和平において蚊帳の外どころか、反対に走る最も危険な存在になっているわけです。
そして日本国民もそのような危険な存在として見られていることは忘れるべきではありません。このことに日本国民は明らかに気がついていませんが、それは日本のマスメディアのほとんどが実情を国民に知らせていないからです。
6月30日の米朝首脳会談について、米国の思惑は来年の大統領選挙の選挙対策という論評・分析をしているのを、6月1日などの日本のテレビの報道番組で多々見かけました。しかし、この米朝首脳会談がそのようなことを主軸として動いているとは考えません。この東アジア和平は既に何年も前から着実に動いていることですから、そんなレベルのお話しではありません。この東アジア和平、冷戦構造の終焉にあるのが、朝鮮半島と同時に日露平和条約締結など日露関係正常化ですが、そのことに安倍政権はことごとく後ろ向きに動いてきています。つまり、日本の朝鮮半島和平に対する姿勢と対露姿勢は全く同じ意味であると言うことです。
6月30日の米朝首脳会談の米国の思惑が、来年の大統領選挙の対策などというレベルの論評が日本で幅をきかせる実相は、目の前に迫る参議院選挙を見据えた政権擁護ではないかと考えます。日本はこのようなことを主軸に動くレベルと考えまし、目の前の参院選の方が明らかに日本の政権とマスコミの大半にとっては切実な問題でしょう。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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