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選挙戦中の言葉としては群を抜くクォリティーの高さ?
[日本の政治]
2019年7月20日 2時35分の記事

本ブログ「選挙戦中の言葉としては群を抜くクォリティーの高さ?」(2019年7月20日)の続きです。

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また、6月13日のデイリー新潮の記事での徳川氏の発言も大変良いものです。記事では現憲法制定過程において「ダグラス・マッカーサー(1880〜1964)も、『日本の皆さんで、しっかり議論してください』と言いました」とあり、日本国憲法が明らかに自主憲法であることを明確に述べています。上述のことも含めて考えれば、日本国憲法は紛れもなく自主憲法であるのです。
デイリー新潮の記事での発言は以下の通りです。

 
――憲法改正には否定的という理解でよろしいでしょうか? 

徳川:安倍晋三首相(64)は憲法改正を既定路線のように語っておられますが、私は護憲を訴えたいと思っています。日本国憲法とは、進駐軍が資金力と軍事力にものをいわせ、日本人が嫌がる新憲法を無理矢理に呑みこませたということではありません。

 そもそも太平洋戦争で、日本人は全員が死ぬかというところまで追い詰められました。文字通りの一億玉砕です。そして、あの大戦を「自衛戦争」と呼ぶ人もおられますが、他国が日本の領土を侵略した事実はありません。

 1943(昭和18)年、大本営は絶対国防圏を設定しますが、44年7月にサイパンは陥落します。国防圏が破られたら停戦交渉を始めるはずだったのですが、政府は戦争を続行してしまいます。

 神風特攻隊だけでなく、桜花(航空特攻兵器)、回天(人間魚雷)、震洋(爆装特攻艇)、伏龍(人間機雷)といった特攻・自殺兵器を開発します。(註:マルカッコ内は編集部が補った)

 惨(むご)いのは開発段階のテストで多くの若い兵士が命を落としていることです。そして最後には竹槍が登場しました。

 45(昭和20)年8月15日、終戦を迎えます。日本は何とか、あそこで踏みとどまったわけです。それも自然に停戦が成立したわけではありません。陛下の御聖断があったわけですが、そこに持っていくまでに大変な苦労が、あまり語られない苦労があったわけですね。

 あの時の日本人は「あの戦争が、あともう少し続いたら、みんな死ぬところだった」と真摯に反省し、それが帝国議会における新憲法の議論に反映されます。憲法9条2項の冒頭に「前項の目的を達するため」という文言を挿入した「芦田修正(編註:日本政府憲法改正小委員会において委員長の芦田均[1887〜1959]が加えた修正)」は、その代表例です。

 ダグラス・マッカーサー(1880〜1964)も、「日本の皆さんで、しっかり議論してください」と言いました。貴族院も、自分たちの名誉と天皇陛下に対する忠誠心から、極めて真面目に議論しています。その上で日本国憲法が誕生し、陛下の御裁可をいただきました。これを“GHQの押し付け憲法”と評するのは無茶苦茶です。

 日本人が真摯に議論して作った憲法という事実を無視し、「もう憲法は時代に合っていない」とか「緊急事態条項を創設しよう」という指摘は、あまりに乱暴です。昨年7月に西日本を中心に大豪雨が発生しましたが、被害者の皆さんは改憲が必要だと指摘されたでしょうか? 

 敗戦における軍部の責任は否定できません。つまり憲法9条とは、「日本を敗戦に追い込んだ旧日本軍を復活させない」ことを主旨としたのです。警察予備隊、自衛隊を創った方々は、そのことを熟知していました。もっと言えば、自衛隊に入隊される方々も、同じです。
「徳川宗家『第19代目』が参院選に出馬 自民党ではなく立憲民主党を選んだ理由」(2019年6月13日 デイリー新潮)


占領期、GHQがありましたので、憲法制定過程でその内容についてGHQとのやり取りがあったのは間違いないでしょう。しかし、上述のように平和憲法は先人達の明らかな希求ですし、マッカーサーが日本人でしっかりと議論して下さいと言っているわけですから、間違いなく現憲法は自主憲法であるわけです。そして、このマッカーサーの言葉もまた、極めて重要な証言です。
徳川氏は、このデイリー新潮の記事で伊藤博文が日本で最高の首相と述べていますが、その見識も大変なものがあります。また他に記事では反原発、反アベノミクス、反新自由主義と述べていますから、極めてその見識は優れています。
反原発については、7月10日の日刊スポーツが、徳川氏の言葉を以下のように伝えています。


公約の最優先は浜岡原発の廃炉だ。「動いていないが核燃料が100トンほどあると聞いている。何か起きたら風評被害で漁業、農業は壊滅し生活も崩壊。静岡における生活防衛は経済より先に浜岡撤去。それが使命」。
「徳川家康末裔の家広氏VS佐山サトル氏応援の榛葉氏」(2019年7月10日 日刊スポーツ)


最近、安倍政権の方向性は、日本国民の安全や生存よりも国の方が優先という本末転倒が顕著と考えます。労働政策、税制、経済政策、防衛、外交などなど挙げればきりがありません。これは国民が玉砕しても、戦争に勝つことが優先という戦前・戦中の発想そのものです。国民がいなくなって戦争に勝てるはずもないという子どもでもわかる理屈が通らない狂気、国民がいなくなって国が成り立つはずもないということがわからないバカさ加減と同じことを現在もしているわけです。その一つが原発であり、その他、経済も、外交、政治もすべて同じ方向性を持っています。最近、安倍政権は日本を滅ぼそうとしているのではないかとすら本気で思います。
このような戦前・戦中の狂気と戦争の凄惨を観て、当時の人々は恒久平和を希求したのです。

徳川氏に関してたった三本の記事を見ただけでもこれだけの深みと意味があるのは、驚くべきことです。そして、徳川氏の発言を観て、今一度、先人達が日本国憲法を制定したときの想いと信念、未来への眼差しをしっかりと受け止めなくてはならないと考えます。そして、そのように考えさせられる言葉が、選挙中に出てくると言うことは、まさに空前絶後、その質は最高峰のものです。果たしてこのような最高峰の見識と精神に国民はいかなる反応を示すのでしょうか?

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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