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日本の行政力を示すスピーチの力量
[日本の政治]
2020年5月6日 1時15分の記事

よく見るブログサイトに『ネットゲリラ』というのがあります。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、とても面白いサイトです。このサイトに、緊急事態宣言延長などに関して4日に行われた首相の安倍氏による演説についてのブログ記事が以下のリンクのようにありました。曰く、新型コロナウイルスには心がないからスピーチで精神論を持ち出しても意味はないし、スピーチライターはくずだと。その通りでしょう。

「精神論を言うヤツは例外なく腐っている」(2020年5月5日 ネットゲリラ)

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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新型コロナウイルス問題で私たちに恐怖や不安を与えているのは、もちろんウイルスそのものです。しかし、そのウイルスに対して安倍政権・日本政府が的確な防疫政策を実行できず感染拡大を許したことで、国民にとって大きな恐怖・不安となっているのです。それが実相です。また、その安倍政権・日本政府の防疫失敗・緊急事態宣言発令により、社会・経済がダメージを受けているのに、安倍政権・日本政府が十分な国民生活を支える福祉政策や補償を早急に行っていないから、多くの人々が不安や恐怖を感じているのです。
一方で、これまで本ブログでご紹介したように、防疫に成功した韓国にいてよかったという日本人の声が載っている記事や、ドイツが国民に対して迅速に十分な支援策を打ち出し実行することに感心する日本人の声が書かれている記事があるのです。つまり、同じ新型コロナウイルス問題に直面していても、行政の力量と手腕によって、大きな違いが生まれるということなのです。
新型コロナウイルス問題で現在の不安と恐怖をつくり出しているのは、実は安倍政権・日本政府なのです。防疫に成功している台湾、韓国、中国では日本ほどの不安と恐怖はなく、経済や人々の動きがすでに活発になっています。そのような国では感染のリスクは日本のより当然低いですし、経済・社会のダメージも少なく、またすでに回復の方向で動いているわけです。
東アジアでは日本が一人負けの状態です。人口当たりの感染者数と死亡者数はすでに中国より日本の方が高く、感染率は湖北省以外の中国より日本の方が圧倒的に高いのです。だから、すでに9000万人がレジャーなどで大移動する状況に中国はなっているではありませんか? また東京よりも人口密度が高い人口970万人のソウルでの感染者数はダイヤモンド・プリンセス号での感染者よりもなんと少ないのです。このような違いが出るのは、韓国の文在寅政権、中国の習近平政権、台湾の蔡英文政権が防疫に成功したという事実のみに起因し、日本の安倍政権・政府が防疫に失敗したことにより日本とこれらの国々との間に大きな差となって現在、現われているのです。それが、緊急事態宣言延長ということなのです。このことは何があっても変わりません。
要するに防疫に失敗し、そのためにダメージを受けている国民の生活と経済に対して十分で迅速な支援と補償をしてない安倍政権・日本政府が恐怖と不安のほとんどの根源なのです。安倍政権・日本政府がもっとましなら、私たちは確実にもっと自信をもってこの難局を切る抜けられるはずです。実際、韓国や中国は切り抜けています。

バカげた議論が横行して傷を深めた
安倍政権は国民にただ行動制限を求めるだけで有効な防疫政策を実行せず、ただチンタラチンタラと同じクラスター対策だけをやり続けています。他国は十分なPCR検査をやり、迅速な感染確定の診断を行い、早期の隔離と治癒を行っているのですが、日本はそれをまったくといって良いほどやっていません。それもいまだに。PCR検査をして、感染の有無を識別しなければ、何もはじまっていかないのは素人でもわかることです。しかし、それをやらない。
感染の有無を識別しなければアビガンなどの新型コロナウイルスに有効と言われている薬だって投与できないではないでしょうか? アビガンは初期投与が有効と言われています。しかし、PCR検査をしないから、有効な薬の投与など何もできないで亡くなっていく方、重症化する方が極めて多いのです。実はアビガンを投与する段階にいまだになっていないのが、日本なのです。なぜなら、判別のためのPCR検査をしていないからです。
新型コロナウイルスに感染しているか、していなかをPCR検査をして判別しない限り、隔離などの防疫対策、そして医学的な治療へも進むことができないのに、PCR検査は不十分だとか、医療崩壊するとか色々な理由をつけて安倍政権・日本政府はPCR検査拡充をまったくやってこなかったわけです。だから、そのPCR検査数は先進国で異常なほど少ないわけです。韓国の10分の1です。今から考えれば、PCR検査についてこんなバカげた議論をしていたと心から思いますが、その結果、防疫に失敗、緊急事態宣言発令とその延長となったわけです。早期の十分なPCR検査をして隔離政策を行った韓国は、感染爆発があったテグ以外ではほとんど感染が広がっていませんし、そのテグも最近では新規感染者がゼロという日を記録しています。
また、以下の記事のように、韓国ではトイレットペーパーなどの買い占めも起きていません。東日本大震災で大変に評価を上げた日本ですが、明らかにこの新型コロナウイルス、それも各国政府の手腕が一斉に試されるこの問題で、日本は評価を落とし、韓国はものすごい評価を上げているのです。そして、この韓国の成果は間違いなく文在寅政権だからこそのもので、保守派の政権なら日本の安倍政権レベルの体たらくで終わっていたと考えます。それは背景が同じだからです。
買い占めがないということは、不安と恐怖がない、もしくは少ないということです。だから韓国の人々は落ち着いて行動しているわけです。同じ新型コロナウイルス問題に直面しているのに、どうしてこれほどまでの違いが生じるのでしょうか? それはまさに政権・政府の手腕・力量の違いが大きな差を生んでいるのです。それが安倍政権・日本政府の実力の実態です。早くかえる必要があるのです。このことが日本のすべてを考えるベースなのです。

「世界で“買い占め”のない国、韓国」(2020年3月22日 WoW!Korea)

「韓経:世界が驚いた『買い占めがない韓国』」(2020年4月2日 中央日報)

そういう体たらく、無能、無策の日本政府のトップである安倍氏の4日の演説は、時間20分以上、ただダラダラと長くて、中味がなく、余計な言葉が多い。このことは本ブログ「安倍政権の愚行」(2020年3月30日)などでも指摘しましたが、まったく変わっていません。とにかく緊急局面でのトップの演説としては絶望的に中味がありません。だから、結局、何を言っているのかわからないのです。これはコロナ相の西村も同じです。
とにかく、この演説では、緊急事態におけるリーダーとしていかに欠陥があるかということしか明らかになっていません。実際、上述のように防疫は失敗しているわけですから、本当に何もかも欠陥だらけです。そうであるのに、ただただ言葉が多いのは、やっている感の演出と言うことは間違いなくあります。安倍政権のいつものやつですが、結局、言葉多くてやっている感をだして、しかしその実は何も言わないというのが、この演説の目的と考えます。何もやるつもりがいないから、実質、何も言わないのです。
また、感動をさせるために言葉を駆使しているようにも見えるのですが、聞いていて私からしたら単なる独りよがりのオナニーにしか聞こえません。耳もとでハーハー言われているような、そんな底なしの気持ち悪さがあるのです。現在のような緊急時にそんなレトリックは通用しませんし、必要ありません。まさに国民は不安と恐怖を感じている緊張状態にあるのですから、小手先のレトリックなぞ、そもそも求めていないのです。そこに何か言葉を駆使して感動させようとするのは、本当に自分だけが逝ってしまっているオナニーにしか聞こえないのです。
真のリーダーならたとえ3分の演説でも、人々は熱狂し、感動し、涙を流すのです。そして、人々は生きる気力を取り戻すのです。それは国民と本当に対話ができているリーダーだからこそ、そのような短い演説で、的確に最高のタイミングで絶大な効果を発揮できるのです。安倍氏の場合は、国民と心が通じ合っていないことを本人が自覚しているので、言葉がとにかく多くなり、感動させようとするのですが、そもそも国民と対話ができていないので、独りよがりのオナニーになってしまうのです。これはこの演説を書いている人間の本質かもしれません。いずれにせよ、現状のような緊急時の演説で、言葉が多いのは国民と心が通っていないことを証明しているに過ぎないのです。
また、そもそも、防疫に失敗した責任者の言葉に感動できるはずはないのです。安倍氏は責任をとらなくてはならない当事者のトップです。だからこそ、この防疫の失敗を打ち消すことが、この演説の本当の目的でしょう。だから、言葉が多くなり、一方でまったく中身が無いのです。そして、これまでの失敗したやり方をただ踏襲し、新に何もやるつもりもないという、誠に不遜な姿勢を続けているのです。


スピーチライティングとして見ると、この演説のレベルは、本屋で売っている素晴らしいスピーチの書き方などという啓発本レベルです。マニュアル的な要素が多くて、欧米レベルの政治史に残るような名演説の要素がまったくありません。単に型どおりというレベルです。ただ、これは安倍氏の要望であるのかもしれません。その程度の政治家です。
安倍氏自身に、安倍政権がここまで長期政権になったのは、自分の演説のおかげと思っている部分があるのではないでしょうか? しかし、それはまったく正しくはありません。本当は、その安倍氏の演説を国民のほとんどが真剣にこれまで聞いてこなかったからこそ、ここまでの長期政権になったのです。間違いなく、そこを勘違いすべきではないでしょう。国民がしっかりとチェックしてこなかったツケが今の状態なのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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