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火事場泥棒は火を消さないで窃盗をする
[日本の政治]
2020年5月11日 23時54分の記事

ツイッターの「#検察庁法改正案に抗議します」で大変な話題となっている検察庁法改正案の審議。立憲民主党の枝野代表はこの法案と審議について「(新型コロナウイルス感染拡大の)どさくさ紛れに火事場泥棒のように決められることではない」と述べています。火事場泥棒とは、火事を目の前にしても火消しをせずに、火事で困っている人のものを盗み自分の利益にするということを言います。要するに火事場とは現状では新型コロナウイルスのことであり、ドロボウとは火消しに関係がまったくない安倍政権にとって都合の良い法案を通すということです。安倍政権は新型コロナウイルスの防疫に失敗し、その結果、緊急事態宣言発令となりした。そして、そのために極めて多くの人々が困っているわけで、その困っている人々のニュースが連日流れています。言ってみれば安倍政権は火事を起こした張本人であり、なおかつその火を消そうともせずに、自分の利益をはかっているというのが、この火事場泥棒という言葉の意味であるわけです。

「検察庁法の審議、枝野氏『火事場泥棒のよう』首相は反論」(2020年5月11日 朝日新聞)

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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本来なら安倍政権・日本政府は、そのような火事を起こさないようにすることが第一の任務でした。韓国や台湾などはそれをしっかりとやり遂げています。本当に優秀です。しかし、日本ではなんと、その出火させた張本人が、その火事で困っている人々、すなわち日本国民を最優先で救っていません。皆さん、アベノマスクはもう届きましたか? 私はまだです。この一事を見ても、安倍政権・日本政府は、マスク一つ本当にやっているのかやっていないかのか、まったくわからないわけで、他のこともまったく遅く、対応は的確ではなく、そして必要なことを何もしていないのです。
日本には莫大な数の国家公務員がいて、膨大な予算を割いて雇っているのに、国民にボロマスク2枚すらすぐに届けられない。これ、あまりにもひどいですし、今、どのような進捗になっているかもほとんど何もわからない状況なのです。ボロマスク2枚ですらこの体たらくですから、防疫対策や国民への事細かな支援策や福祉政策がまったく進まず、また何をやっているのかもわからないのは必然と言えば必然です。ただ、それは莫大な人件費のムダ遣いになっているわけです。もっと優秀な人を雇い直した方が良いでしょう。
緊急事態宣言発令期間を約1ヶ月延ばしたのなら、普通は新たな生活支援策、経済対策を即刻、打ち出しますが、安倍政権・日本政府はいまだに何もしていません。そのような必要喫緊なことについて、何もしていないのに、それよりも先にこの検察庁法改正案の審議を強行にやっているわけです。そして、内容について大批判され大きな問題となっているわけです。
この法案は10年前から議論されていたことと言われてますが、実際、その程度の話しなら来年やれば良いだけのレベルです。必要喫緊なことではないのです。必要喫緊の課題は新型コロナウイルス対策とこの問題によって困っている国民への救済と支援であって、そのことについて不眠不休で日本政府はやらなければならないのです。国民はそれを一番求めています。これは断言します。しかし、たったマスク2枚すら届かないのです。そのような中で、このような法案の審議をするのは明らかにおかしいのです。本当に明らかにおかしい。
これでは安倍政権・日本政府の存在そのものが、多くの日本国民にとって、新型コロナウイルス問題やそのことに関わる経済問題で、生存にとってのリスク、命を脅かす存在に映るのは当然でしょう。このようなことが新型コロナウイルス問題や経済問題で、日本国民の生存にとってリスク、命を脅かす存在に映る人々への反感から生まれる自粛警察をよりエスカレートさせるのです。安倍政権・日本政府が韓国のように成功していれば、日本国民も韓国国民と同じように政権を支持し、そのような優秀な政権の元で国が運営されていることに満足し、安心し、心に余裕ができます。むしろ、そのような優秀な政権であることを自慢し、さらに皆が協力的になります。好循環となるわけです。
しかし、日本政府は検察庁法改正が新型コロナウイル対策や国民の新たな生活支援策、経済支援よりもはるかに緊要、大切だと言っているわけですから、それでは国民の心は荒みます。自粛警察の最大の負の推進者は安倍政権・日本政府なのですが、その国民の心理を正義中毒と言ってのけた心理学者がいました。それは大きな間違いですし、その間違った認識は今後、大きな災いを社会にもたらすことでしょう。
とにかく、ここで一つだけ断言できることが浮上しています。それは、現在のような緊急時において、政権批判は政権の対応の足を引っ張るのですべきではないという論点そのものを、この検察庁法改正の審議を強行したことによって、正に安倍政権・日本政府が潰したということです。だから、これからはいくらでも政権・政府批判は、無制限で行って良いということなのです。これだけは、明確に安倍政権が証明してくれたことです。

この検察庁法の改正をなぜ行う必要があるのかは、以下の枝野氏の言葉がよく表しています。


「違法があれば総理大臣すら逮捕できる検察庁の幹部人事を、内閣が恣意(しい)的にコントロールできるという大問題」と指摘した。「自分の都合のいい法律をつくることを優先し、危機の状況を政治的に悪用しようとしているのではないか」
(2020年5月11日 朝日新聞)


自分の都合の良い法律とは何か? それは、以下のリテラの記事の一節が端的に表しています。


ようするに、これまでも数々の政権不祥事・事件を不起訴にしてきた“安倍首相の番犬”である黒川弘務・東京高検検事長を閣議決定で違法に定年延長させたことを正当化し、さらには今後も検察人事に介入できる道をつくろうとしているだけではないか。
「安倍首相が『#検察庁法改正案に抗議します』を無視して大ウソ答弁! 井浦新、宮本亜門の批判を突きつけられて唖然の一言…」(2020年5月11日 リテラ)


この認識は政界では常識です。醜聞や疑惑ばかりの安倍政権としてはこの黒川氏のような存在がどうしても必要で、その存在を肯定する必要があると考えるのは自然なのです。
検察庁や防衛省の定年延長を10年以上前の平成20年からずっと議論してきたのですから、1年くらい結論を先延ばしにしても、大勢に影響はまったくありません。そんなに大事な話しなら10年前に決めていなくてはならないものなのです。大した話しではないので、別に2年後に結論を出せば良い程度のものです。
火事場泥棒に、ドロボウをよせと言っても、家財道具を運び出してあげているだけだと言い訳をするだけでしょう。それが今の安倍政権・日本政府の数々の言い訳と考えます。それは自分でドロボウですというドロボウはいません。火事場泥棒とは、家財道具を運び出してあげているのだと言い訳をして、ドロボウをするのです。だから、その言い訳に目をとられ、そのドロボウしていることから目を離せば、何も見えなくなるのです。日本人は甘いので、そのドロボウの行為から目を離してしまうのですが、今回はそうはいかないかもしれません。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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