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当たり前のようにかなりの問題発言をしている
[日本の政治]
2021年3月16日 23時45分の記事

3月15日、参議院予算委員会にNTT社長の澤田氏が参考人として出席、国会議員らとの会食について答えました。同氏は会食において「業務上の要請や便宜を図るような依頼はしていない」(21年3月15日 ブルームバーグ)と弁明しています。参院予算委員会に国会議員らとの会食についての問題で参考人として招致されているのに、自分から贈収賄に関わるような『業務上の要請や便宜を図るような依頼をした』と言うはずはありません。この種の応答については、当たり前のように嘘をつくということは前提として考えておかなければなりません。


「NTT社長『便宜受ける話はしていない』参院審議で釈明」(2021年3月15日 朝日新聞)

「NTT澤田社長、業務上の要請や便宜依頼はない−議員と会食問題」(2021年3月15日 ブルームバーグ)

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とは言え、仮にウソをついていたとしても、しっかりとした証拠がなければ、自分から告白することはありえません。しかし、このような答弁をして、あとから何らかの証拠が突きつけられれば、その時点でNTTは大きなダメージを被りますし、一緒に会食した政治家は終わりになります。
現状は会食をしたという事実以外は、話された内容についての証拠はありませんので、NTT社長の澤田氏が私は悪いことをしていませんという応答は、ウソ、ホントのどちらの意味としても、必然として出てくるわけです。
しかし、澤田氏の答弁を聞いていると、実は大変な問題発言をしています。それは以下の部分です。


その上で、「私ども日頃より、例えばマスコミ、あるいは与野党の国会議員の方々をはじめとする各界の有識者の方々と懇談を行い、将来の社会や国際情勢全般について意見交換をさせていただく、そのような場を設けている」と述べた。
この日の最初の質疑者となった自民党の大家敏志氏の「NTTが国会議員と会食を行ってきたのは事実か」との質問に対する答弁。
澤田社長は、国会議員と会食する目的について「(国会議員は)見識、知識が幅広い方。私どもにとっては非常に刺激になる勉強になる場を提供していただいている。業務上の要請や、逆に便宜を受けるような話はいたしていない」と語った。自民党の大家敏志氏への答弁。

「NTT社長『便宜受ける話はしていない』参院審議で釈明」(2021年3月15日 朝日新聞)


澤田氏は『将来の社会や国際情勢全般について意見交換』と情報交換をしていると言っているわけです。水と情報はタダという感覚が日本にはあると言われていますが、その感覚だとこの答弁は大した問題ではないように聞こえてしまいます。
しかし、その会食で話し合われているのは、テレビのワイドショーで垂れ流されているようなレベルではないことは、少し考えればわかる話です。方や大臣という日本の国家機関トップ、方やNTTという日本の超大企業のトップ。その両者共、意見といえども極めて希少価値が高く、その意見に様々な情報が含まれているわけです。一般的レベルなら、その会食で話されたことは、そのまま売り物になるはずで、それだけの価値を持っているわけです。だから、国家機関トップと超大企業のトップが時間を作って2時間前後の会食をするわけです。
テレビのワイドショーで垂れ流されているようなレベルの話しや馬鹿話でしたということなら、情報はタダということになりますが、『私どもにとっては非常に刺激になる勉強になる』情報であれば、それは間違いなく利益供与になります。これ、国家機関トップとしては極めて問題で、個別に話しをすること自体が特別扱い、癒着ということになるわけです。
また国家機関トップや超大企業のトップが、例えば、私は○○したいとか、○○と考えているという意見を開陳しても、それはそのままインサイダー情報になる可能性を秘めているのです。国家に関わる先行的な話しをすれば、それは間違いなく利益供与の可能性が出てくるのです。ですので、今回のNTTの澤田氏が、「意見交換」といった瞬間、実は利益供与の可能性がでているわけで、したがって、それが利益供与にあたらない情報であることを澤田氏は証明する必要がでてきているわけです。これが、この澤田氏の参考人招致の結果であり、実は焦点なのです。
この証明ができなければ、利益供与をしたということになり大問題になるわけです。澤田氏は、会食しても問題ないと言っている割に、実はかなりの問題発言をしているのです。
とにかく、国家機関トップの情報交換は基本的に公の場で行うのが公平さ、公正さというものです。

企業が国家に優先する新自由主義の真骨頂
この澤田氏の答弁でもう一つの問題点は、以下の部分です。


また、澤田社長は菅義偉首相や武田良太総務相との会食事実の有無を立憲民主党の福山哲郎幹事長に問われ、上場会社の社長が誰と会食したかを公にすることは事業に影響を与えるとし、「個別の会食については控えさせていただく」と述べた。

「NTT澤田社長、業務上の要請や便宜依頼はない−議員と会食問題」(2021年3月15日 ブルームバーグ)


首相や総務相が誰と会食をしたかということは、国民にとって極めて重要な情報であり問題なのです。なぜなら、それが民主主義の根幹に関わる話しで、主権者・国民が政治を判断する問題だからです。国民はあくまでも公正性・公平性、さらに贈収賄などの問題をしっかりと見極めてなくてはならないのです。
しかし、この澤田氏の答弁は、国家・国民より上場会社の事情が優先し、国民に対して情報は言えないと言っているわけです。まさにあり得ないものなのです。では、NTTと限定をしなくとも、例えば、上場会社が贈収賄などの問題を起こしていた場合、国民・民主主義というわが国の根幹よりその会社の事業が優先されるのでしょうか? 澤田氏の発言は、会社の事業が優先し、国民・民主主義は二の次と言っているわけですが、この会食問題は国民、民主主義にとって大きな問題だからこそ、国会に参考人として招致されているわけです。そこで、NTTの事業に関係するという理由で答えないということは、明らかに通らないことなのです。なぜなら、国民、民主主義の問題が上位に来るからです。
これで、NTTがSDGs、サステイナブルと言っていたら、それは欺瞞でしかないでしょう。なぜなら、民主主義より事業の方が大事と言っているわけで、それでは、この企業はいくらでも民主主義を蹂躙する可能性があるということになるわけです。まさに国家・民主主義を無視し、蹂躙する新自由主義そのものの言動であり、企業人・経済人から公が喪失している象徴的な発言なのです。
政治を忘れた企業人・経済人は、単なる金の亡者に過ぎません。それが公の喪失を招き、さらにモラルの喪失をもたらします。そして、このことの本質にあるのが新自由主義であるわけで、90年代以降の新自由主義の跋扈によって、公の喪失、モラルの喪失というまさにサステイナブルではないものに日本の社会、経済が変わっているのです。それでいて、そういう日本の企業人がサステイナブルというのが、いかにも胡散臭く、偽善的にしか聞こえないのです。
公・モラルを喪失した経済が、経済の衰退をもたらすのです。どうしてだかわかりますか? その理由は端的に、公・モラルを喪失した経済が社会を破壊するからです。社会が破壊されて経済が伸びるわけがないではないですか。こんなことは子どもでもわかることです。
公・モラルを喪失した経済の象徴が非非正規雇用者の異常なまでの増大なのです。新自由主義の跋扈によって、社会が脆弱性と不安定さを帯びて、結果、経済を衰退させてきたわけですが、その日本経済の脚を引っ張っているのは、実は、新自由主義者であり、それを信奉する企業人・経済人であるわけです。そして、この澤田氏の言葉はまさにその日本経済と日本社会の脚を引っ張る象徴的なものであるのです。澤田氏は、社会や政治より事業の方が大事と言っているわけですから、同氏にとっては間違いなく社会や政治は二の次と言うことなのです。当然、そういう感覚は、社会や政治を破壊します。だからこそ、その結果が、今の日本の経済・社会、そして政治の体たらくなのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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