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《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その1
[日本の政治]
2021年11月1日 23時55分の記事

◎ 実と虚像
今回の総選挙で最も印象的、象徴的であったのは、街頭演説のために街宣車上にいる石原伸晃氏の前を、自転車を引いた女性が歩きながら『何にも役に立ってないじゃないか!!』と怒鳴った場面です。テレビで流していました。
そして、石原氏は落選しました。政治家に『実』を求める。これが今回の選挙の最大の特徴です。当たり前と言えば当たり前のことですが、これがものすごく大きな変化と考えます。

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実と言えば、今回の各党の獲得議席の最終結果には『実』はありません。まったくの虚像です。その虚像は維新によってつくり出されています。東京の選挙区においては、反自民票が圧倒的に多いと考えますが、維新によってその反自民票は膨大な死票となっています。その数は犯罪的とすら考えますが、維新の存在は非常に民意を曲げるものでした。
しかし、1日のフジテレビ『バイキングMORE』では、このようなことも分析できておらず、簡単な選挙区分析もしていないのではないかと思わせるものでした。その内容は、かなりイメージで語っていて、さすがに閉口しました。これでは世の中の人々は本当のことを知ることはできないと率直に思いました。番組(フジテレビ)では実質的に維新と自民を後押ししているものと考えます。
今回の選挙結果はあくまでも虚像ですが、それでは自民党はその本当の『実』に対応するつもりはあるのか? 恐らくないだろうと考えます。そうなると、虚像と実とのギャップと言うことが、今後、極めて大きな政治テーマになると考えます。実は、ものすごい巨大なうねりになる可能性があります。
したがって、野党はその実に対応すれば、当然、その見返りは相当大きいのです。

◎ 初めて小選挙区が政治の活性化、浄化のために機能した
『実』と言えば、今回、神奈川13区で自民党幹事長・甘利氏が落選したのは、まさに今回の選挙の実像を現わしたものになりました。
立民と自民ががっぷりよつになり、自民党の選挙の責任者である幹事長が落選すると言うことが起きたのです。このことは、自民党の政治家としては最悪の恥辱と考えますが、これまでは考えられなかったことが起きたのです。まさに前代未聞。
この一件は、小選挙区制が二大政党制を前提としてあることを、見事に示したと考えます。どんなに大物でも、問題があれば、落選することがあるという小選挙区制と二大政党制の特徴を鮮明に証明したのです。
もちろん、これは選挙区で、自民党と立憲民主党(+共産党などの野党共闘)の一種の2大政党制になったからこそ起きたことです。こういう所に、のこのこと維新の候補者が反自民を掲げて出てくれば、必然、立憲民主党の票を喰いますから、甘利氏は楽勝できたのです。こういうことが東京ではものすごい数の選挙区で起きたわけです。
結局、甘利氏には『実』がなかったのだと考えます。以下のように自分では「私がいなければ日本は立ちゆかない」と豪語しても、有権者には単に利権に甘いだけの甘利氏と思われただけと考えます。もちろん、甘利氏がいなくとも日本は立ちゆきますし、単に『実』がない政治家と有権者に思われただけと考えます。実際、経済において実力があるとは思いません。
また、甘利氏が幹事長としてもっと前から自民党の選挙態勢を築いていたら自民党は負けていたと考えます。それを神奈川13区の結果は如実に示しています。


自民・甘利幹事長「4年前に経済安全保障政策が大事と訴えた。戦略を練って対応してきた。私は日本を率いているという自負がある。私がいなければ日本は立ちゆかない。経済界は全員わかっている。関係官界、優秀な教授陣はわかっている。でも世の中の人がほとんどがわかっていない」(神奈川県綾瀬市での街頭演説で)

「[衆院選2021・発言録]『私がいなければ日本は立ちゆかない。経済界は全員わかっている』」(2021年10月29日 読売新聞)


今回、神奈川13区で初めて小選挙区制の『実』が実りましたが、この選挙区制を作ったのが岩手3区の小沢氏であったわけです。その小沢氏が、選挙区で落選したというのも、実に時代の移り変わりを象徴しているように思います。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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