《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その2 | ||||
[日本の政治] | ||||
2021年11月2日 23時51分の記事 | ||||
今回の総選挙で、もっとも象徴的な選挙区は神奈川13区です。自民党幹事長の甘利氏が敗北した選挙区です。この選挙区で生じたことは、今回の選挙においてのポイントをすべて内包しています。簡単に観てみましょう。
まず、今回のデータを観てみます。データはウィキペディアのものです。 神奈川13区の有権者数は47万1671人、今回の最終投票率は55.77%(前回比+5.15%)(全国投票率:55.93%(前回比+2.25%))です。
候補者は二人で票差は5529票、2.18%の差です。まさに僅差で勝敗が決しました。 それでは、過去の2回の選挙を観てみましょう。 ◎ 2017年の選挙 まず2017年10月22日の第48回衆議院議員総選挙です。アベ政権下での選挙です。有権者数は46万572人で、最終投票率は50.62%(前回比マイナス1.67%) (全国投票率:53.68%(前回比プラス1.02%))です。
甘利氏は12万7千票で、今回当選の太氏は6万2千票、甘利氏の圧勝であるわけです。 共産党の岡崎氏の票を太氏の票に足しても、甘利氏の票に追いつかないわけです。まさに自民党順風の選挙で、さらに甘利氏の強さが出て、甘利氏が圧勝している選挙なのです。 ◎ 2014年の選挙 この傾向は、以下の2014年の選挙でも変わりません。観てみましょう。 2014年12月14日の第47回衆議院議員総選挙です。アベ政権下での選挙です。有権者数は46万3907人で、最終投票率:52.29%(前回比マイナス5.68%) (全国投票率:52.66%(前回比マイナス6.66%))です。
この選挙も2017年の選挙と同様に、甘利氏の圧勝で、野党である共産党と維新の党をあわせても、甘利氏の票に届きません。まさに自民党順風の選挙で、さらに甘利氏の強さが出て、甘利が圧勝しています。 そして、この2014年と17年の選挙とあわせて考えると、もう一つの特徴が浮かび上がってきます。それが共産党の票数です。大体3万票中盤の票数が出ています。この票数が非常にポイントになるわけです。 ◎ 見えてくる今回の選挙の特徴 2014年と17年の選挙を観てみると、確実に言えることは2つあります。 ・ 明らかな反自民の風 一つ目は、今回の選挙は完全に反自民の風が吹いていたということです。 今回の選挙での甘利氏への票は17年とあまり変わりませんが、立民が大きく票を伸ばしています。これは、明らかにこの反自民の風を現わしています。 この反自民の風は、アベ・スガ体制への批判と新型コロナウイルス対策の失敗への批判が主要と考えます。 そして、この選挙区では甘利氏に関わる疑惑の問題もあります。ただ、甘利氏への票数が17年とほぼ同じですから、意外とこの甘利氏への疑惑という要素は少なかったと考えます。 この反自民、反甘利の風が吹いていなければ、過去の2回の選挙を観ても明らかなように、今回の選挙で立民の太氏が勝利することはあり得なかったのです。今回の選挙でも太氏の勝利は僅差です。 ・ 立民・共産を中心とする野党共闘の成功 だからこそ、もう一つのことが言えます。それは、立民・共産を中心とする野党共闘が成立していなかったら、やはり立民の太氏は当選できなかったことです。 過去の2回の選挙を考えれば、今回の選挙に共産党が出ていれば、太氏の票は約3万5千票減ります。そうなると甘利氏に約3万票の差をつけられて、惨敗していたことは間違いありません。今回の選挙で生じた自民党幹事長落選という前代未聞のことは、起ることはなかったのです。 まさに立民・共産を中心とする野党共闘の成果が極めて色濃く、この選挙区で出ているのです。もちろん、他の選挙区でも出ています。 立民・共産を中心に国会などでも自民党を追及して、風をつくり、その風にのって選挙区でもこのように勝利をおさめたということが、立民・共産を中心とする野党共闘で生じたのです。この神奈川13区でのパターンを、パターンAと名付けます。 ◎ 逆に言えば・・・・・・ このようなことを逆に観れば、立民・共産を中心とする野党共闘がなくなれば、甘利氏にとっては有利となるのです。これは甘利氏だけに限ったことではなく、自民党の多くの政治家にとって言えることなのです。ですから、当然、この立民・共産を中心とする野党共闘を自民党は崩そうとするわけです。それ以外の理由はありません。 この立民・共産を中心とする野党共闘を壊そうとする論調は、テレビなどのマスメディアでも非常に色濃く出ています。当然、それは国民のためのものではなく、自民党のためのものなのです。そして、そういう人が実は野党にいたりもするわけです。 選挙区を簡単に観るだけで、実は色々なことがわかってくるのです。テレビのコメンテーターがどんな思惑や背景で語っているかまで、簡単にはっきりとわかるのです。 | ||||
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