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《日本の政治》 やはり岸田政権の言動はおかしい
[日本の政治]
2021年11月9日 0時0分の記事

岸田氏は、自民党総裁選当初、『分配なくして成長なし』と確か言っていました。しかし、いつの間にか、それが『成長してから分配します』とまったく順序が逆になってしまっています。分配と成長は、順序が違うとまるで意味が違うのです。岸田自民党政権のように『成長してから分配』というのは、単なるトリクルダウン、新自由主義政策でしかないのです。確か岸田氏は、自民党総裁選当初、これまでの新自由主義政策から脱却するとかなんとかと言っていましたが、まったく逆のことになっています。
すでにトリクルダウン岸田と呼んでも良いでしょう。
9月以降の数十日ではっきりしたことは、岸田氏は発言をすぐに変える、平気で嘘をつくと言うことと考えます。今後、『トリプルダウン岸田』と言うことになる可能性は十分にあると考えます。

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実際、今回の選挙でも与党への票数よりも、反(非)与党への票の方が多いわけです。岸田政権は選挙後、信任されたと言っていますが、今回の選挙から見えてくる実相は、国民は岸田政権を信任していないということなのです。
実は、このことは2005年の郵政選挙でも同じでした。小泉タケナカ新自由主義政権への票数は小選挙区では、実は野党の方が多かったのです。実質、国民は小泉タケナカ新自由主義政権を信任したわけではなかったのです。
ですから、その次の衆議院総選挙で政権交代と言うことが起きたのです。民主党連立政権誕生の経緯にはこのようなことがあったのです。

◎ 岸田政権は・・・・・・
この岸田政権は非常に危険な内閣になると考えます。危険とはかつての軍国主義・国家神道への復古という意味です。日本の政治において最悪・最凶の政治状態が、この戦前・戦中期の時代です。この時代への復古を岸田政権で行なうと考えます。残念ながらこれから日本は暗黒の時代に突入します。
そして、当然、岸田政権は大政翼賛政権となると考えます。スガ政権が田中義一政権になぞらえるのなら、岸田政権は近衛大政翼賛会内閣でしょう。岸田政権の言う新しい資本主義とは国家独占資本主義のことで、それは当然、戦争経済と考えます。積極財政政策などは必要と考えますが、岸田政権はまったく違うと考えます。
フランクリン・ルーズヴェルトのニューディール政策が戦争経済になったように、同じことが起るでしょう。
積極財政政策などケインジアン的な政策を行なうときは、とにかく政治の腐敗を一掃する、そして平和主義を徹底して貫かなければならないのです。そうしなければ、国家から出るお金は容易に利権や公金横領につながり、また戦争と言う最大の公共事業になり、国民の命が犠牲にされるからです。
警鐘を鳴らしつづけていますが、多くの知識人やジャーナリスト、政治家は真剣には考えていないようです。恐らく、歴史を真剣に考えたことがないのでしょう。歴史を忘れた民族は必ず亡びます。

◎ それなら岸田政権はコロナ終息宣言を出すべき
話しは変わってコロナ問題。
以下の3つの記事は、政府のコロナ対策緩和についての記事です。新規感染者数の数値をなくし、外国人の入国の際の待機期間を短縮、そして分類を『ステージからレベル』に変更するというものです。

「宣言の新指標、感染者数の数値なくす方向 政府コロナ対策分科会」(2021年11月6日 朝日新聞)

「入国時の待機 きょうから3日間に短縮 外国人の入国も一部再開」(2021年11月8日 NHK)

「政府分科会、コロナ新指標で合意 ステージからレベルに分類変更」(2021年11月8日 時事通信)

現状、全国的に新規確認感染者は低レベルで非常に喜ばしいことです。ただ、以下の記事のように、世界的にはまだまだ収束傾向にはなっていません。

「欧州が再び感染の『震源地』に ペース加速のドイツ、他国との違いは」(2021年11月6日)

こういう状況で、政府は新規感染者数を発表しないようにしたり、外国人の入国を容易にしたり、分類や基準を変更するというのですが、これらは明らかにおかしなことです。
このようなことをするなら、まず岸田政権は新型コロナウイルス感染症の『終息宣言』をすべきです。そして、昨年の中国のように皆が喜んでマスクを取るパフォーマンスをすべきでしょう。
しかし、終息していないのであれば、上記のようなことや感染対策の緩和はすべきではありません。新規感染者数を公表しないとか、分類や基準を変更すると言うことは、これまでとの比較をできなくします。そういうものは、容易に政権の責任逃れの口述にされます。
また、国民も今までの指標や分類が変わると、感染状況について把握することができなくなります。考えて行動できなくなります。
あくまでも岸田政権が新型コロナウイルス感染症への注意を緩和して良いというのなら、責任をもって『終息宣言』を出すべきです。
ただ、岸田氏は言動をすぐに変える、責任感の希薄な方とお見受けします。それにアベ・麻生のクグツ(傀儡)と考えますので、責任ある態度はとらないでしょう。この方には背骨がありません。

◎ 岸田政権では経済の成長は100%見込めない
現状、岸田政権の最大のトピックは、18歳までの子供を対象にしての一律10万円の給付金やマイナンバーカードに関わる3万円分のポイント付与です。
コロナ禍などで生活に困っている方々への救済は早急にすべきです。それも10万円などと言わずにどんどんだすべきです。ただ、マイナンバーカード普及に3兆円もかける必要があるのかははっきりと疑問です。
いずれにせよ、この現金給付は『分配(再分配)』政策ではありません。そのことは改めて強調しておきます。
日本の分配政策の最重要ポイントは賃金の上昇にあります。2012年、アベ自民党が総選挙に勝利した翌日の12月17日、私は『チャンネル桜』の井尻先生の番組に出演させていただいて、労働環境の向上、分配(再分配)のことを何よりも強調しました。井尻先生も同じ意見であったと思いますが、このように申し上げたのは、それらが日本の将来に決定的なポイントになると考えたからです。
しかし、この約10年、まったく労働環境の向上、分配(再分配)への動きにはなりませんでした。
それから約10年、だからこそ、以下の記事のように日本人の賃金は国際的に低く、アベノミクスによりそれが世界5位から30位に転落したのです。

「日本人は国際的に低い給料の本質をわかってない アベノミクスにより世界5位から30位に転落した」(2021年10月3日 東洋経済)

この記事には「日本の賃金はアメリカの約半分で、韓国より低い」とあります。すでに韓国より下。それでそもそも日本人が豊かな生活を送れるとお考えになりますか? 電車に乗っていれば、わけのわからない人間が包丁を振り回す、火を付ける、治安が悪化する、それでいてさらに賃金は下がりつづける。
GDPの約6割が個人消費ですから、その個人消費の根幹である賃金が低くては、経済が伸びるはずはないのです。経済が伸びなければ、将来の日本があるはずはなのでしょう。非常に単純でわかりやすい話しなのです。
しかし、アベ政権では、賃金を上昇させる分配政策をまったくやりませんでした。せいぜい経団連に頼みにいくだけです。そんなことは国民新党でもやっていました。
話しを戻すと、分配、再分配とはこの給料を上げることなのです。企業の内部留保だけはどんどん上昇して、給料が上がらないという状態の解消は、法律や税制を徹底的に変えてやらなければならないことなのです。企業の内部留保を上げても何の役にも立ちません。
このような分配政策をこれまでの自民党政権ではやってこなかったから、日本の賃金がアメリカの約半分で、韓国より低く、世界5位から30位に転落したということになるのです。
上述の一律給付の一時的な問題ではないのです。生活困窮者への支援は即刻、それも十分にすべきですが、国として行なうことは、賃金水準を『先進国』並みにすることなのです。それが正常な国家観です。
しかし、それは自民党ではできないことなのです。なぜなら、そのようなビジョンは皆無ですし、現状に日本を落としたのが、何を隠そう自民党だからです。失敗の状態を作ったものに、問題は解決できない。
もちろん、この低い賃金水準の最大の責任者のもう一つは、『連合』です。連合が労働者のために動かなかったから、このようになったのです。今や連合は労働者の代表ではありません。使用者側の代弁者に過ぎないと考えます。でも、そういう『連合』の保身と見識のなさが、結局は自分たちのクビをしめて、日本の賃金がアメリカの約半分で、韓国より低く、世界5位から30位に転落したということになったと考えます。連合の責任は極めて重い。だから、こういう結果になっているのです。
このようなことを見ていると、報道の自由度と賃金の関係があるように思えてきます。報道の自由度が低い日本は、賃金も低い。岸田政権では、これから、どちらもさらに低くなることでしょう。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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