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やはり『最近の若い者は・・・』と言わなければダメ その1
[日本の政治]
2023年1月22日 23時50分の記事

関東などで多発する若者による強盗・障害・殺人事件については、とても気になります。彼らの容姿をみていると、凶悪さが伝わってこないのですが、実はそこに問題の大変な深刻さと極めて大きな倫理観の喪失をみます。そして、このことは非常に大きな社会の崩壊現象がセットになっているように思えて仕方がありません。

・ 『千葉 強盗傷害事件で自衛官逮捕 東京 狛江事件発覚のきっかけ』(2023年1月20日 NHK)

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言うまでもなく昭和の時代、平成の時代、悪い若者はたくさんいました。ただ、若者で悪さをする人々は、大抵、見た目もワルであったのです。そこには、社会に対するメッセージがあるわけで、そこに社会との接点が実はあるのです。
しかし、現状、このような犯罪を犯す若者に、社会へのメッセージがないのです。それは社会との接点がないことを意味すると考えています。
昔のワルが悪さを行なっていても社会への反抗・アンチテーゼという社会との接点がある中でのことなので、場合によっては、時が経ってそのワルが良い人になったりすることがあるわけです。若いときにどうしようもない不良が、お坊さんになったりするケースです。こういうことは実は日本だけではありません。
このように悪から善への変化の原因は、社会との接点があるからなのです。時が経つにつれて、そのワルの心が社会との折り合いがついたり、人格が成長したとき、社会にとって良い方向に変わっていくということが起きるわけです。
でも、現状は、そのワルに社会との接点が見えないのです。だから、更生の余地がないのではないかと考えてしまいます。そして、彼らには、自分の快楽、利益のためには何でもして良いという信じられないようなかなり深刻な倫理観の崩壊があると考えます。この徴候は、放っておくとがん細胞のようにどんどん広がり、社会を破壊させていくことは間違いないと考えています。非常に深刻。
そして、社会との接点がないので、平気でウソをつくのも特徴と考えます。そこに罪悪感や躊躇がないのです。ですので、現状の若い者の凶悪化は、別の一面で詐欺師の様相をもっているわけです。最近、若者の詐欺事件が多いと思われる方も多いと考えます。
考えてみれば、すぐにウソをつくということでは、ウソが基本のアベ政治も同じでした。別々の問題と言うことではないだろうと考えます。
実は、若者が社会との接点を失っているという分析はオンラインセミナーで2年くらい前に、別の案件を題材にして行なっていますが、どうも分析通りに状況は進んでいると考えます。
そして、今回は上記の強盗・殺人事件に自衛官が関わっています。これはとてもショックでした。言い知れない、事態の深刻さを感じさせます。
東京狛江市で起きた90歳の高齢女性への強盗殺人事件では、被害者の手首を結束バンドで縛り、暴行をした上で殺害、強盗を働いています。20歳前後の男性複数人が、90歳の弱い老女を結束バンドで手首を縛り、暴行して、殺害するという、どう考えても鬼畜としか言えない犯行です。そこに人間性のかけらもなければ、生物としての『情』がまったく見えません。
しかし、彼らはそういうことをしても、良心の呵責はなかったのでしょう。だから、強盗を繰り返す。そこに倫理観はまったく見えません。むしろ楽しかったのでしょう。
そして、そういう犯行グループに自衛官が関わっていたことにとてもショックを受けたのです。何か、今までと違うことが起きていると感じました。自衛隊は、その規模20万人を超え、日本で最大規模の組織です。そう言う中には色々な人がいますが、しかし、今回のケースは、何か今までとは違う深刻さを感じてしまいます。
それは日本社会の深刻さであることは間違いありませんが、同時に自衛隊の深刻な変化があるかもしれないと危惧してしまうのです。
私は基本的に自衛隊を信頼しているからこう思ってしまうのです。


○ 私の自衛隊についてのスタンス
ご存じのように、私は自公政権や右翼の軍事政策を徹底的に批判していますが、だからと言って自衛隊に不信感を持っているわけではありません。それは私が若いときから自衛隊の方々と触れあってきて、彼ら・彼女らがどのような人々かを肌で知っているからです。何せ、政界で仕事を始めたときの上司は皆、元自衛官でしたから。
無論、中にはとても嫌いな人もいましたが、大抵は好感が持てる良い人々です。なんと言うか、自衛官の持つあの大雑把さは、自分としては自然体で付き合えるところがあるのです。笑いのセンスもとてもよくあう。自然に笑えるし、自然に笑わせられます。
そして、何よりも心から信頼する友もいます。
自衛隊について常日頃、根本的に考えていることは、自衛隊の方々を守るにはとにかく戦争をさせないことと考えています。国の軍事政策が悪ければ、それは彼らの命を消耗することになります。自衛隊がそういう悪しき政策でさえも身を委ねなくてはならない立場であることは忘れるべきではないと考えています。
一方で、かつてのように軍国主義という軍人が暴走してしまう事態は断固として阻止しなければならないと考えています。武装した自衛隊に対抗できる存在は基本的には日本にはないのです。日本では戦後、3回くらいはクーデター未遂事件があったと思います。
このような自衛隊が置かれている立場と言うことはしっかりと考える必要があると思っています。同時に、現状、自衛隊はしっかりと日本国民と日本のことを考えて行動していると考えています。

日露戦争の日本海海戦で名参謀と言われた秋山真之の『皇国の興廃この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ』や、山本五十六の『百年兵を養うは一日これを用いんがためなり』などの言葉をみると、やはりグッとくるものがあります。
そのような言葉には本能的とも言える緊張感をともなった高揚をおぼえますが、しかし、私は常に『百年兵を養って、百年平和であるのなら、それは政治の成功である』と考えています。そして、そのために政治家は主に外交において日夜粉骨砕身せよと考えています。今の日本の国会議員のほとんどはそんなことはしていません。外交は票にならないといつも言っているではありまえんか?
政治家が軍人を戦場に送り込むことが軍事、国防と思い始めれば、兵士の命は空気よりも軽くなり、その命は政治家や軍上層部、経済界の保身のためのものになっていきます。
そして、当たり前ですが、兵士の死、そして国民の死を『肯定』していくようになります。一度そうなると、あとは滅ぶまでそれは止まりません。先の大戦末期、終戦の御聖断までたどり着けなければ、『一億総玉砕』と日本人が全員死ぬまでになっていたわけです。まさに、それは日本人の生が肯定されず、死だけが肯定された『狂気』のなれの果てなのです。
そして、現在の日本、新しい戦前の日本もまさにその分岐点にいます。ほとんどの日本人は気がついていませんが、シビヤにその状況は私たちを覆おうとしています。倫理観の喪失。新型コロナウィルスで大変な数の高齢者が毎日犠牲になっています。
そして、若い人々は経済を動かすために、高齢者の命を省みてどうするのかと、きっと心の底から思っていることでしょう。要するに全体のため(若い人々のため)には、高齢者のような人々は犠牲となって仕方がないという思考が間違いなくそこにはある。間違いなく。
しかし、それって、はっきり言えば、上述した強盗犯と実は同じメンタリティーなのですよ。この脈略で言う全体の利益とは結局は、ある特定の個人の利益でしかないのです。
そして、このメンタリティーは、先の大戦で『神風特攻隊』が敵を殲滅し日本を救ってくれると日章旗をふって送り出す人々と、どこが違うのでしょうか? このように全体を救うために、ある特定の人々の死を肯定すると必ず、それは最後にはあなたを含めた全体が死ぬことに繋がっていくのです。それが『一億総玉砕』の狂気の本質です。
新型コロナウィルスで毎日400人、500人という方々、高齢者が亡くなっているのに、それが省みられないという社会がいかにヤバいかはもう一度考えるべきでしょう。この死を肯定する社会は、いずれ今の若い人たちに災いをもたらしていきます。これは200%そうなると考えています。
高齢者だからと省みられずに孤独と恐怖の中で死の淵に追いやられていく人々の気持を少しでも考えるべきでしょう。そう言う思考が『狂気』から救ってくれるはずです。最後は生物としての『情』が狂気に至った人間を救います。
しかし、この二十歳前後の強盗犯グループに関わった自衛官は、90歳の弱い老女を結束バンドで縛って、複数人で暴行して死に追いやることを何とも思わなかったわけです。自分のお金のために。鬼畜と言える完全な倫理観の喪失。最低のクズ。
そして、現在の社会を見れば、全体の経済という自己の利益のために、弱い高齢者が新型コロナウィルスによって死の淵に追いやられていくことに何とも思わないという思考がある。これはまったく同じ倫理観の喪失です。そして、この倫理観の喪失は本当に危険です。


『やはり『最近の若い者は・・・』と言わなければダメ その2』(2023年1月23日)へ続く。

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◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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