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二階派、安倍派、岸田派の解散の意味を考える その2
[日本の政治]
2024年1月23日 23時6分の記事

昨日の本ブログ『二階派、安倍派、岸田派の解散の意味を考える その1』(2024年1月22日)の続きです。

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今年になって、二階派、安倍派、岸田派の解散という『目に見えて』国内的な冷戦・朝鮮戦争の構造のひとつが崩れた。それも首相のキシダは冷戦・朝鮮戦争の構造である自らの派閥・宏池会を解散させた。このような『冷戦・朝鮮戦争の構造の変化(終焉)』という視点で観た場合、キシダは他にも、このことに繋がる動きをしてはいないだろうか?
当然、その動きは朝鮮半島、特に北朝鮮に対する動きとなっているはずです。そして、実は昨年3月からキシダ政権の対北朝鮮の動きが報じられ、昨年7月には『キシダ電撃訪朝』という報道が出ています。実は冷戦・朝鮮戦争の構造の変化(終焉)についての国外的な動きを、キシダはすでにしているのです。
恐らく、この動きは、北朝鮮との国交正常化の動きと考えられますが、それは当然、冷戦・朝鮮戦争の構造の変化(終焉)の動きです。キシダ政権の対北朝鮮の関わる昨年からの報道を時系列で簡単に観てみましょう。
まず、キシダは、2023年5月27日に都内で開かれた『北朝鮮による拉致問題の解決を訴える国民大集会』で、日朝首脳会談の実現へ『私直轄のハイレベルで協議を行っていく』(2023年5月27日 産経新聞)と発言します。

・ 『首相、日朝首脳会談に意欲 「直轄ハイレベルで協議」 』(2023年5月27日 産経新聞)


このときの発言のポイントは、やはり『日朝首脳会談』と言ったことにあり、さらにそれを首相直轄で進めていくと言っていることです。この発言ではっきりしていることは、このとき、すでにキシダは『日朝首脳会談』を『決断』していることです。できるかできないかは別として、キシダとしてはそう決断しているからこのような発言になるわけです。
このキシダ発言の二日後の5月29日、北朝鮮側はパク・サンギル外務次官の談話で「日本が新しい決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会えない理由はない」 (2023年5月30日 朝日新聞)とメッセージをだします。

・ 『日朝会談めぐり北朝鮮側が談話 「会えない理由ない」 』(2023年5月30日 朝日新聞)

・ 『北朝鮮と再交渉探る 岸田首相「首脳会談を早期実現」 中朝境界の封鎖解除にらむ 』(2023年6月8日 日本経済新聞)


その後、2023年7月3日、以下のNHKの記事にあるように、韓国紙・東亜日報が日本と北朝鮮の実務者が前月の6月に中国やシンガポールなどの第三国で複数回にわたって水面下の接触をしたと報じています。キシダが5月27日に北朝鮮との『首相直轄のハイレベル協議』と打ち上げて、翌月の6月にはこの『首相直轄のハイレベル協議』が動き始めていると観るのが自然でしょう。すでに具体的に動いている。

・ 『“日本と北朝鮮の実務者 複数回 水面下で接触” 韓国有力紙 』(2023年7月3日 NHK)

・ 『韓国をしりめに日本に接近する北朝鮮の策略、それでも対話チャンネルは開かなければ 』(2023年7月3日 東亜日報)


上記の2023年7月3日のNHKの記事の最後に面白い記述があります。当時の官房長官である松野は、この日朝接触については否定しているのですが、記事には以下のようにあります。


また、記者団が「今回の報道に限らず日朝間の接触はあるのか」と質問したのに対し、「北朝鮮への働きかけに関する具体的な内容は、今後の交渉に影響を及ぼす恐れがあるため、明らかにすることは差し控えたい」と述べました。




日朝間の接触について明らかにすることは、『今後の交渉に影響を及ぼす恐れがある』と言っています。つまり、『今後の交渉』ということが前提で話しているわけです。これは、接触についての否定ではなく、『接触』があると言っていると私には見えます。
そして、その後の2023年7月には、以下のように、2023年10月に解散・総選挙、その前にキシダ電撃訪朝の記事が各紙から出てきます。


・ 『岸田首相が「電撃訪朝」で狙う10月解散・総選挙 拉致被害者奪還など外交の成果で選挙に弾み 』(2024年7月16日 東洋経済)

・ 『マイナンバー、息子の不始末…「問題だらけ」の岸田総理、ここにきて「北朝鮮への電撃訪問説」が急浮上している裏事情 』(2023年7月16日 現代ビジネス)

・ 『岸田首相が支持率ダダ下がりでも自信の根拠? ささやかれる「9月電撃訪朝」首脳会談計画 』(2023年7月27日 日刊ゲンダイ)


そして、2023年9月に朝日新聞が、3月と5月に東南アジアで日朝の秘密接触があったことを以下のように伝えています。


北朝鮮による拉致問題の解決に向け、日本政府関係者が今年3月と5月の2回、東南アジアで北朝鮮の朝鮮労働党関係者と秘密接触していた、と複数の日朝関係筋が証言した。岸田文雄首相は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記との首脳会談に向けた環境整備を進められるとみて、今秋にも平壌に政府高官を派遣することを一時検討していた。

・ 『日朝、東南アジアで今春に2回秘密接触 高官の平壌派遣も一時検討 』(2023年9月29日 朝日新聞)




『3月と5月に東南アジアで日朝の秘密接触』があった上で、5月27日に日朝首脳会談の実現へ向けてキシダ直轄のハイレベルで協議を行っていくと言っているわけです。つまり、この5月27日のキシダ発言時には、キシダは当然、北朝鮮側の反応を知っているわけで、その上での発言をしているわけです。つまり、昨年5月27日の時点で、間違いなくキシダは『日朝首脳会談』を『決断』しているのです。この日本側の意思が前提で、少なくとも昨年5月以降、日朝間で接触が進んでいるわけです。
ただ、上記2023年9月29日の朝日新聞の記事には以下のようにも書かれています。


だが、日本政府が拉致被害者全員の早期帰国を求めるのに対し、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」という立場を堅持。さらに、ウクライナと戦争を続けるロシアが北朝鮮に接近するなど国際情勢の変化もあり、首脳会談の実現に向けた交渉は現在停滞している。




事実、キシダはアベ政権の外務大臣時代から親ウクライナの姿勢を一貫して持っています。そういうキシダの北朝鮮への接近は、当然、ロシアにとっての安全保障上の問題になります。

また、この朝日新聞の記事には『一連の日朝間のやりとりは、首相や松野博一官房長官に報告された』とありますから、上述のように2023年7月の段階で当時の官房長官・松野が、日朝間の接触について明らかにすることは『今後の交渉に影響を及ぼす恐れがある』と言って、接触について否定しているようで否定はしていないということを裏づけています。

さらに時が進んで、年末、新官房長官の林は読売新聞などのインタビューで、以下のように語っています。


北朝鮮による日本人拉致問題に関しては、早期解決に向けて、「北朝鮮には様々なルートで働きかけを絶えず行っており、働きかけを一層強める」と説明した。

・ 『林官房長官、首相就任への「志持ち続けたい」…北朝鮮には「働きかけ一層強める」 』(2023年12月27日 読売新聞)




昨年末の時点で、日本側は『北朝鮮には様々なルートで働きかけを絶えず行って』いるわけです。そして『働きかけを一層強める』と言っているわけです。

そして、年明け、1月1日の能登半島地震の被災について『北朝鮮キム総書記 岸田首相宛てに見舞いの電報』と報じられます。

・ 『北朝鮮キム総書記 岸田首相宛てに見舞いの電報 能登の地震受け 』(2024年1月6日 NHK)


そして、1月18日、キシダは『目に見えて』国内的な冷戦・朝鮮戦争の構造であるキシダ派・宏池会の解散を表明、それに二階派、安倍派も続きました。

また、1月になって、以下のようにキシダ電撃訪朝についての記事が再び出ます。この記事は『北朝鮮キム総書記 岸田首相宛てに見舞いの電報』とキシダ電撃訪朝について、良くないという論調で書かれています。あくまでも北朝鮮は日米韓の連携を崩すことが目的と書かれています。キシダ電撃訪朝を止めようとする論調です。

・ 『岸田首相を「閣下」と称した金正恩の見舞い電報に隠された真の狙い。水面下で画策される“岸田電撃訪朝”と待ち受ける「カックン理論」の罠 』(2024年1月18日 集英社オンライン)


一方で1月20日には、以下の記事のように、北朝鮮は無理に南北統一するのではなく、『国交正常化』という現実路線も良いのではないかと書かれています。

・ 『「韓国は無理!」北朝鮮・金正恩の“衝撃発言”の巨大インパクト…! 2024年、日本・韓国・北朝鮮を襲った「急転直下」のウラで、北朝鮮「国交正常化」への“意外なシナリオ” 』(2024年1月20日 現代ビジネス)


このような昨年初旬からのキシダ政権の対北朝鮮の一連の動きがあって、さらに今年になって、二階派、安倍派、岸田派の解散という『目に見えて』国内的な冷戦・朝鮮戦争の構造のひとつが崩れ、首相のキシダは冷戦・朝鮮戦争の構造である自らの派閥を解散させたわけです。
キシダの北朝鮮へのアプローチと、冷戦・朝鮮戦争の構造の派閥を解散させることとは、同じ方向性のものであり、長年、冷戦・朝鮮戦争の構造の終焉を指摘してきた私には、これらが無関係には見えません。むしろ、キシダによってなされているこれらのふたつことは、繋がっていると考えるのが自然と考えます。
今後、キシダ電撃訪朝、日朝首脳会談ということになれば、その最大の焦点は日朝国交正常化だろうと考えます。その意味することは当然、冷戦・朝鮮戦争の終焉です。

(つづく)

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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