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問題なのは最低賃金の格差ではない?
[日本の政治]
2019年8月11日 23時55分の記事

昨日の本ブログ「問題なのは最低賃金の格差ではない?」(2019年8月10日)の続きです。

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超長期政権と機能不全
冒頭の実質賃金について、厚労省の発表と衆議院調査局の調査とが乖離したことは、いまだ現在進行形で問題が存在している可能性を示唆しています。この二つの結果が乖離していることのポイントは二つです。
まず、厚労省の統計にはお手盛り、信頼に値しないものがあり、現在もその可能性があることです。このようなことが厚労省だけではなく、政府全体であるのなら、取り返しのつかない結果を招くのは自明です。まず政府の発表は一度、何があっても疑うことをしなくてはならないでしょう。残念ながら日本はそうなってしまったのです。
もう一つは、自民党には自浄作用がないということです。衆議院調査局の調査結果が出たのは、野党の要請によるものです。つまり、自民党及び公明党だけでは、このような結果を国民が目にすることはなかったわけです。与党の議員は数多いますが、それだけいてもチェック能力はないということです。
与党に対する野党のチェック能力や対与党で反対をしていくことが、現状、非常に大事になっています。特に第二次安倍政権が長期政権になっていて、与党が圧倒的多数の状態で、チェック能力がないのですから、野党が反対のために反対するだけでも現状は価値が極めてあります。逆に言えば、野党が反対せず、チェック能力を発揮しなければ、大変なことになるということです。
自民党が政権に関わっている期間が、1955年以降の65年間で60年以上あり超長期政権になっているというのはそもそもいびつです。毎月勤労統計不正もかなり前からありましたが、チェックがされていませんし、この問題の責任は自民党政権にあります。すでに長すぎるのです。そして、この自民党の超長期政権の存在は、野党に流れる政府の情報が不十分となる結果を招き、与野党で情報格差が極めて大きくなっている状態を生み出し、それが恒常化していることも忘れるべきではありません。このことが野党が体たらくと言われる大きな要因の一つであるのです。
60年以上、政権に関わっているわけですから、党のスタッフも含めマンパワー、情報量、経験も与野党の格差は圧倒的です。政党助成金も格差がありますから、与党はスタッフも多くを雇えますし、官僚が自民党のスタッフのようになっている部分もありますから、大変な差があるわけです。それでいて、上述のように与党のチェック機能が疎かになっているわけですから、実は大変な状況がすでにあります。さらにこのような状態で、自民党寄りの野党というよくわからない存在があることによって、政治の自浄作用がほぼ失われている状況なのです。これはいざという時に、日本の政治が機能不全に陥ることを意味しています。
だから、上述のような問題が多発するわけです。野党の目が届かない問題も多数ある可能性があるのです。また、マスメディアもいまや政権に対するチェック機能が非常に低くなっています。やはり決めてはいけない政治であるのです。
「問題なのは最低賃金の格差ではない?」(2019年8月12日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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