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日韓での慰安婦問題合意について考える
[日本の政治]
2015年12月30日 23時44分の記事

年末になって突然でてきた慰安婦問題での日韓合意についてさまざまな反応が出ています。
この問題の実相は、日韓だけで考えるとわからなくなると考えます。空間と時間を大きく見て世界的に現在を見つめるなら、世界においてこれまでなかったことが多く報道されています。世界と時代は新しい位相に既に移っているのであって、このことと日韓、朝鮮半島、東アジアの問題は無関係ではありません。そのような視点からこの問題は見るべきであろうと考えます。

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実際、昨今、二つの重要なニュースが報道されていますが、国内においてはあまり話題にされませんでした。まず、12月18日、国連安保理でシリアの和平案が採択されています。このときは、米露の関係が進展したことが非常に印象的でした。また12月25日、インドのモディ首相は、カシミール地方の領有権などを巡って長年対立する隣国パキスタンを突如訪問し、パキスタンのシャリフ首相と会談しています。インドの首相がパキスタンを訪れるのはおよそ12年ぶりのことです。これらは大変に世界的には重要なことなのですが、日本ではその重要度が評価できないか、または認めたくないのか、いずれにせよ、報道はあまりなされませんでした。これは重大な見落としです。
この両者に共通することは米国です。今回の日韓合意でも米国の影響が言われています。当然、これらすべては同じ流れにあります。その米国は、今年、イラン、そしてキューバと和解しています。そして、これらのことはすべて共通しています。協調と和解です。そして、もう一つはロシアです。
また、11月7日には中国の習近平主席と台湾の馬英九総統がシンガポールで会談しています。これも協調と和解です。そして、これらすべてに共通することは第二次大戦後の構図の収束なのです。これが現在、世界的に生じているのです。
このことは朝鮮半島も例外ではありません。ここが最後に残った第二次大戦後の構図なのです。現在の朝鮮半島情勢についてはすべてここにポイントがあります。今年8月の鳩山元首相の韓国訪問もポイントはここにあります。そして、その後の日韓関係はこの訪問の延長線上にあります。
本ブログ「第三次世界大戦の発火点――日本の関わり方」(2015年11月24日)で触れたように、米誌『ナショナル・インタレスト』が第三次世界大戦の発火点として5つ上げらている中で、上記の地域がすべて含まれています。つまり、発火点がなくなるようにこれまで世界は動いたと言うことです。そして、2014年に同誌で同様な記事を出していますが、その中では朝鮮半島が入っています。しかし、2015年はその地域が入っていません。つまり、朝鮮半島の方向性は既に決まっていると言うことです。
これが現在、私たちがいる世界なのです。これらことは、『ザ・フナイ』での私の連載をお読みいただければ、すべておわかりいただけると思います。是非、お読みくださればと思います。この世界の流れは、これまでの時代とは位相が違うもので、既に新しい時代に移行しています。その流れの中で考えなければ、現実はわかりませんし、日本が時代から取り残されるだけでしょう。この意味は極めて重大です。

中途半端になった
このような流れで考えれば、今回の日韓合意について現政権の成果というものはありません。全く別の要因で動いていると考えるべきでしょう。
むしろ、今回の合意は中途半端という側面がポイントのように考えます。この問題においても、現政権お得意の二律背反が垣間見えます。韓国が慰安婦問題について世界遺産として働きかけることについての是非に関する岸田外相の発言などさまざまなものが、合意の一方としてあります。これらのことは世界的な流れのなかでは反対の動きです。ただ、今回の日韓合意で合意文書はないと報道されていますが、そのようなことはないと考えます。国と国との交渉で合意がなされたのなら、口約束ということはないでしょう。
上記の世界的な流れ、特に朝鮮半島についてはもう一つの流れがあります。それは戦後の日韓の関係です。これは慰安婦問題のことではありません。米ソ冷戦においては日韓は利害が一致していたわけで、その流れは厳然としてあり、そこには日韓を通じた利害関係の構図があります。韓国の朴槿恵大統領の父と安倍首相の祖父の関係は有名ですが、人脈的に見れば日韓の現政権はつながりがある関係なのです。戦後の日韓関係の代表的な人脈ともいえるものと考えます。そして、現在の世界の流れが第二次大戦後の構図の収束であるなら、この戦後の日韓関係の人脈にとってはマイナスになることは容易に想像できます。
今回の日韓合意において、中途半端さが目立つのはここにポイントがあるものと考えます。しかし、この中途半端さは安倍政権の命運を縮めたものと考えます。現政権はことの重大性を理解していないのではないかと考えます。
今回の日韓合意は、報道されているものとは違う本質があると考えます。現在、日本で報道されていることはあまりに近視眼的なものと考えます。よく本質を見るべきでしょう。そして、この本質は来年の日本と世界情勢へと繋がっていくのです。

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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