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自ら危機をつくり出すことを忘れている
[日本の政治]
2019年8月1日 23時53分の記事

安倍首相は、リーマンショック級のことは起らないとの見解を示し、予定通り消費増税をすることを説明したと報じられています。

「安倍首相『リーマン級発生せず』=消費税増税、予定通り」(2019年8月1日 時事通信)

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リーマンショック級のことが起こる可能性を昨年11月に想定して、今はないと言えるのはどんな根拠があるのかと思います。しかし、いずれにせよ、リーマンショック級のことが生じれば消費増税凍結という言説は、リーマンショック級の危機があった場合に消費税増税をしては、日本社会が耐えられないということを意味しています。つまり、消費税増税は日本社会にとって大きな負担であり、リーマンショック級の事態ではその負担に耐えられないとうことであり、これはいかなる状態でも消費税増税は日本社会にとって大きな負担となるということです。だから、増税前に景気対策を打ったわけですが、このことについては本ブログ「愚策」(2018年10月29日)で書きました。
まずもってこの消費税増税が日本社会に大きな負担になることが最も想定されるべきことで、リーマンショック級ということが持ち出されて、本質がすり替えられています。
それにしても、これだけのことを言っていて、増税が実施されてからリーマンショック級の危機が生じた場合、どうするのかという想定がなされていません。また、8月1日にこのような発言をして、翌日、起きたらどうするのかということも想定されていません。そういう意味で、この想定はあまり意味はなく、現実的なものでもありません。見通しにどんな根拠があるのか示されていませんが、消費税増税が日本にとって大きな負担になることが最も大きな問題なのです。
また、これまで安倍政権下でGPIFや日銀が株式市場に大量の資金を入れ、売るに売れない株が増え、やっていることは株価暴落とは反対のことですから、リーマンショック級で消費増税凍結という言説とは明らかに矛盾します。つまり、株式市場に大量の公的資金を投入していることは、消費増税凍結をしないということなのです。それでも株式市場の大暴落が生じれば、大量の公的資金が投入されていますから、消費税増税凍結どころか、責任問題として安倍政権の崩壊は間違いないことは言うまでもありません。上記のことに関しても本ブログ「おかしなの話」(2018年11月2日)で書いています。
統一地方選や参院選にかかる時期において、消費増税をしない可能性を言って、一種のクッションにしているとも考えられます。むしろ、意味がなく現実的でないからこそ、その可能性は高いと考えます。いずれにせよ、日本社会の復調のためには、これまで申し上げてきたとおり消費税減税しかないでしょう。
ただ、いずれにせよ、消費税増税をすれば、それは日本社会に対してリーマンショック級のダメージをもたらすことは間違いないでしょう。上記記事では、安倍首相が「(現時点で)駆け込み需要がないということは、落ち込みも少ないのではないか」とも発言したと報道されていますが、現状は、これまでの増税前とは違って駆け込み需要すらなくなるほど購買力が落ちていると考えるべきことでしょう。その上で追い打ちをかけて増税をするのですから、社会にとってそれは大変なダメージになるのは目に見えています。これが現実的な見方でしょう。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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