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根拠薄弱
[日本の政治]
2019年8月2日 23時59分の記事

8月2日、タイのバンコクで開かれた日米韓の外相会談で、対立が深まる日韓関係に対して、米国から仲介案は「示されなかった」と、下記のTBSの記事などは報じています。しかし、仲介案が「示されなかった」というのは、誤解を招く表現ではないでしょうか?

「日米韓外相会談、米から『具体的仲介案』示されず」(2019年8月2日 TBS)

「米、日韓に関係改善促す 3カ国外相会談」(2019年8月2日 共同通信)

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この米国の仲介案については以前から報道がなされ、以下の時事通信の記事のように日本政府はその存在を否定しています。

「米の日韓仲介提案『ない』=菅官房長官」(2019年7月31日 時事通信)

しかし、以下の7月31日の東京新聞(共同通信)の記事では、日本政府は仮に仲介案が示されても受け入れないとの考えと書かれています。この情報ソースが誰なのかとは書かれていませんが、日本政府は米国の仲介案があってもなくとも受け入れないとの意思表示を7月31日の時点でしているわけです。それなら8月2日の日米韓での外相会談で仲介案は米国から示されることはありません。なぜなら、米国の立場がなくなるからです。このような経緯を辿っている日米韓における仲介案ですから、今回の外相会談で「示されない」というのは明らかに誤解を招きます。正しくは「仲介案が示されないように日本政府がこれまで意思表示をしてきた結果」でしょう。

「政府、韓国除外方針を維持 ホワイト国、2日決定へ調整」(2019年7月31日 東京新聞〔共同〕)

以下の記事も基本的に同じことを意味しています。

「韓国を『ホワイト国』から除外する政令改正 2日にも閣議決定へ」(2019年8月1日 共同通信)

このような経緯から米国は仲介案を用意していたものと考えるのが自然です。

「『ホワイト国、韓国除外なら日本も悪い』仲裁に動いた米」(2019年8月1日 朝日新聞)

上記の朝日新聞を見てもわかりますが、明らかに日米間での距離が大きくなっています。日本政府(安倍政権)の動きを追ってくると既に事実上、日米同盟は破綻しているものと考えます。

根拠薄弱の措置
さて、2日のNHK『ニュースウオッチ9』では、韓国をホワイト国から除外する今回の措置について、菅官房長官が「輸出管理を適切に実施するための運用の見直しであり、日韓関係に影響を与えることは意図しておらず、ましてや対抗措置ではありません」と述べています。
8月2日の朝日新聞の記事でも以下のように書かれています。


一連の措置を韓国人元徴用工の損害賠償問題への「対抗措置」だとする見方については「日韓関係に影響を与えることは意図しておらず、ましてや対抗措置ではない」と主張した。
「菅官房長官『禁輸措置ではない』 韓国のホワイト国除外」(2019年8月2日 朝日新聞)


このホワイト国除外措置は、基本的に安全保障に関わることにそのポイントがあります。上記のように菅官房長官は、今回の韓国への措置は徴用工問題についての報復でも、対抗でもなく、韓国との関係を悪くすることでもないと言っています。
実際、徴用工の問題は現状、韓国の国内問題で、韓国での現地法人の問題です。安全保障上の問題と考えるにはかなりの無理があります。というより関係ありません。ですので、韓国は徴用工についてのことは進めても今回の措置には関係ないと日本政府は言っているわけです。
この措置で運用上の問題として言われているのが、通常兵器キャッチオール規制で、日本政府にはそのために100人以上の体制があり、一方、韓国政府には担当者が少なく体制が不十分であることが言われています。ただ、体制が日本に比べて不十分であることと、機能していないと言うことは別のことで、100人以上いても機能していないということはあり得るわけです。
そうなると機能していないで実害が出ているということを日本側は証明しなくてはなりませんが、そのような発表はいまだないと考えます。こう考えると今回のホワイト国除外の措置は経産相の裁量による要素が多分にあるものと考えます。以下の韓国側の記事でもそのようなことをポイントにしています。

「日本がケチをつけた『キャッチオール規制』 韓国がより厳格に運用」(2019年7月17日 聯合ニュース)

「日本、カナダ法にも通常兵器に対するキャッチオール規制ないのに韓国だけを差別」(2019年7月24日 ハンギョレ)

7月に入ってから、この日本政府の対韓姿勢について徴用工問題の事実上の報復などという記事が出ていましたが、上記の菅官房長官の発言でそれは誤報かこじつけであると言うことがはっきりしました。それなら、このような措置を日本政府がとった理由は何かというと、安全保障問題とは言っていますが、その根拠はよくわからないというのが実情と考えます。基本的に本ブログ「制裁の理由」(2019年7月8日)で書いたときと状況はなんら変わっていません。
テレビなどでの報道では、日韓の軋轢という感情的で単純なことは盛んに言われていますが、日本政府がどうしてそのように動いたかと言う明確な根拠に関しての情報が非常に少なく、とてもわかりずらいくあります。これだけの問題について、しっかりとした日本政府の発表がない状況と考えます。それでは、現実的に見れば、今回の日本側の措置で日韓関係が悪化しているのですから、日本の安全保障上の問題は、まさに日本政府(安倍政権)の措置と言うことになります。
このような日本政府の措置について根拠が薄弱な状況で、7月に行われたパブリックコメントなど何も意味をなさないでしょう。そもそも、判断する根拠がないのにどうしてコメントできるのかと不思議でなりません。
もし仮に韓国が安全保障上問題ある国というのなら、その韓国と軍事演習をする米国をどう考えればよいのでしょうか? 米国も安全保障上、問題があるというのでしょうか? 北朝鮮の飛翔体に関しても、以下の記事のように日米間では見解が異なります。日米韓において日本がひとり浮き足立ち、米韓との距離ができているというのが実相なのではないでしょうか? 

「北朝鮮の飛翔体発射、トランプ米大統領『問題ない』」(2019年8月2日 朝日新聞)

「岩屋氏『脅威高い』トランプ氏『問題ない』 北朝鮮ミサイル日米温度差」(2019年7月29日 毎日新聞)



最終編集日時:2019年8月3日 0時49分

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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