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東日本大震災に思う ?
[日本の政治]
2021年3月12日 23時54分の記事

昨日の本ブログ「東日本大震災に思う ?」(2021年3月11日)の続きです。

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宗教の原点は愛
東日本大震災当時、岩手県宮古市重茂の姉吉地区の「此処(ここ)より下に家を建てるな」と刻まれた石碑が頻繁に紹介されていました。以下のリンクにその記事が載っています。

http://memory.ever.jp/tsunami/tsunami-taio_307.html

今年の東日本大震災に関する特集でも、この石碑について取り上げられていました。この石碑、ご存じのように明治三陸津波と昭和三陸津波での惨禍を教訓として建てられ、その結果、東日本大震災ではこの地区での建物被害が一件もありませんでした。
拙著『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(2015年 ビジネス社 168頁)でも、この石碑について取り上げましたが、この石碑は言うまでもなく宗教の原点なのです。まさに『ここから下に家を建てるな』というタブー(禁忌)で、そのタブーを破れば命を落としたり、災厄に見舞われるということであるわけです。
自然災害、社会の崩壊、戦争による殺し合い。人の命の危機と社会の危機に遭遇したときに、人々はその惨劇を繰り返さないために、現在と未来の人々と社会を思いやって、得た教訓をタブーとして石に刻むわけです。
タブー(禁忌)とは、人や社会を縛り歪める無意味なものではなく、その本質は悲劇を繰り返さないためになされる愛なのです。愛は人々の命と社会の命を救う。とてもシンプルなことですが、黄金律なのです。それが、タブー、禁忌の本当の意味で、本物のタブーは愛がベースで、上記の姉吉地区の石碑のように必ず人々の命、社会の命を救い、結果を出すのです。
これは石版に刻まれたモーゼの十戒もまったく同じです。神の啓示、神ということを否定するわけではありませんが、人々を思いやる愛、それこそが神の御業と言えるものなのです。だからこそ、数千年の間、人々と社会を救い、その掟(タブー)はいまだに残っているのです。
これと同じであるのが、宮城県女川での「女川いのちの石碑」です。東日本大震災での津波到達地点よりも高い場所に設置されている石碑は、ここより上に逃げろということを示すものです。それを「女川1000年後のいのちを守る会」という形で震災当時、小学6年生であった若者たちが進めているわけです。まさに宗教の原点です。そして、これこそがリーダーシップの真髄なのです。リーダーとは人々と社会の命を守るものであるのです。言うまでもなくその核心は愛であり、その気高い心は千年、二千年と時を超えていくのです。まさにモーセと一緒です。
東日本大震災という未曾有の災害は、人々の意識を覚醒させ、そして時を超えるものにしたのです。このニュース、単なるニュースではなく、私達は今、時を超えるとてもすごいものを観ているのです。

「石碑と教科書に思いを…林キャスターが見た被災地」(2019年3月11日 テレビ朝日)

「1000年後の子どもたちの為に。女川の高校生による命のバトンを未来に繋ぐ活動に密着LOVE&HOPE Special『忘れない、伝えたい 僕たちがつくるいのちの教科書』」(2017年3月3日 FMTOKYO)

姉吉地区の「此処(ここ)より下に家を建てるな」というのは、ユダヤ教的な掟、戒、タブー(禁忌)と言えるかもしれません。そして、女川の「女川1000年後のいのちを守る会」の石碑はキリスト教的な隣人を愛せよということに似た禁止ではない能動的なものです。もちろん、どちらも同じ宗教の原点であり、人を救い、社会を救うことにすべての目的があるものです。ユダヤ・キリスト教が数千年続いてきたのには、それなりの意味と実があるわけです。
マルクスは宗教はアヘンと言いました。宗教にはそのような陥穽があることは間違いありません。ただ、それを言うのなら、20世紀のマルクス主義もまた同じアヘンであったのではないかと考えます。大きな悲劇を世界各地で引き起こしました。使い方を間違えた。これと当然同じことは、軍国主義、ファシズムにもあり、その本質は、結局は人々、社会への愛がないことに尽きるのです。だから、人々を殺し、社会を殺すのです。
日本の軍国主義で一体どれだけの人々が亡くなったことか。そして日本は国が亡びた。このようになるのは、まさに人々への愛、社会への愛がないからなのです。しかし、この時ほど愛国が叫ばれたことはありませんでした。皮肉なことですが、要するに愛国の本質は、人々への愛、社会への愛ではないということなのです。愛国が国を亡ぼした本質は、まさにここにあるのです。このことは今の右翼を観てもとても良く理解できます。人々を、社会を愛していないのです。

東日本大震災の経験で他国の人々の気持を考える
この宗教の原点は歴史学の原点でもあります。それは社会と人間を見つめる現実感と哲学にその本質があり、その目的はやはり人々を守り、社会を守ることにあります。だから、歴史学がないところには、宗教も政治思想も育ちません。そして、当たり前のように同じ過ちを繰り返すのです。
上述した女川の1000年後のいのちを守る石碑のニュースを観ていて、ふと、中国や韓国・朝鮮半島など、かつて日本に蹂躙された地域の人々は日本をどう見るだろうかと考えました。女川の1000年後のいのちを守る石碑を建てた若者たちは、東日本大震災という未曾有の災害と悲劇を体験して、その教訓を1000年後まで残そうと意識が覚醒、時を超えたわけです。とても素晴らしい精神です。
であるのなら、かつて日本という災厄に見舞われた人々は、日本と言うことに対して教訓を必ず考えるでしょう。そこに当然、敵意があってもおかしくはありません。なぜなら、彼らにとっての日本とは自然災害ではなく、人間の所業だからです。そして、女川の若者が災害に直面して1000年先の人々を考えるのなら、中国や韓国・朝鮮半島などかつて日本に蹂躙された地域の人々も、1000年先を当然、考えるでしょう。
だからこそ、私たち日本人はこれを前提としたなければなりませんし、むしろそれが当たり前なのです。
そして、当然のこととして、私たち日本人はその想いに向き合わなければなりません。ただし、自然災害は人間の意志ではどうにもなりませんが、国と国の関係は人間の意志でいかようにでも変えられます。かつて相手に災厄を与えてしまったのなら、これからはそうしないと決意し、その反対に動くことは可能です。そして、そうするしか関係を正常化する方法はないのです。
しかし、現在の日本は、過去に何もなかったかのように、かつてと同じ行動パターンを取り始めています。それは最終的に同じ結論に至り、また同じ失敗を繰り返し、亡ぶということになるのです。

私物化、それは民度が低い日本人
東日本大震災のとき、日本人、特に東北の人々の清廉さ、我慢強さ、秩序だった姿勢は、日本人の民度の高さを示すものと内外が絶賛しました。私も心からそう思いました。
しかし、それから10年。毎日のように日本人、特に権力者の私物化・腐敗ということを指摘しなくてはならない日本になっています。そして、10年前のあの日本人の姿が民度が高さを示すのなら、私物化で名前が上がる人々は、当然、レベルが低い人々ということになります。そのことを、とにかくしっかりと考えなければなりません。
現在、接待など、自民党政権下での政官民の癒着が問題になっています。業者とはプライベートのお話しをしていました、接待を受けたという指摘はあたらない。色々というのですが、結局は明らかな癒着、そこには『自民党が正義! 自民党が法律!!』という感覚があり、結局、誰も責任をとらず、行動を律する姿勢が皆無なのです。まったくの腐敗です。そして、そういうのを民度が低いと言うのです。日本の民度を下げているのは自民党と自ら言っているのに気がついていない。呆れるばかりです。

復興五輪
東京オリンピックについては、復興五輪ということが言われて、東京オリンピック開催の正当性を強化しました。しかし、それならどうして、世界的に新型コロナウイルスという疫病が蔓延してる今年に開催を強行しようとするのか、心から理解に苦しみます。さらに言うのなら、その復興五輪を中止にしたら、さらに大きな問題になります。復興五輪を中止させたらそこには絶望しかなくなります。そして、これまで復興ではなくオリンピックにつぎ込んできた資金はどうなるのでしょう。中止にすれば、結局は復興を度外視して、資金が他につぎ込まれたということなります。まさに人道に反することになります。これは大変な問題なのです。
来年、東京オリンピックを開催して、北京冬季オリンピックとともに、新型コロナウイルスからの世界の復興五輪にする、それが明らかな筋というものです。100年に一度あるかないかの感染症の世界的なパンデミックなのですから、2年の延期は当たり前なのではないでしょうか。すでに全世界で250万人以上が犠牲になっている地球規模の大惨事が生じているにもかかわらず、どうして開催を今年に限定して考えるのか、甚だ理解に苦します。
もちろん、今年開催を決めたのは、無能なアベ氏で、2022年開催の可能性を潰していたことが書かれている記事については本ブログで何度もご紹介してきました。以下のものです。元凶はやはりまたアベ氏なのです。ホントに。


来夏に延期になった東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで、大会組織委員会の森喜朗会長(82)が3月31日、東京都内で朝日新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、2年後への延期も念頭にあったことを明かした。しかし、1年程度の延期を主張する安倍晋三首相の意見を受け入れたと明かし、「(安倍首相は)2021年に賭けたと感じた」と述べた。

「森会長が語る舞台裏 『なぜ1年』問われ首相は断言した」(2020年4月1日 朝日新聞)

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くる天

◎ 必読の書

○ 『餓死した英霊たち』

○ 『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』

先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

○ 『CIA日本が次の標的だ―ポスト冷戦の経済諜報戦』


◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐勇治(政治評論家) さん
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世界は大きく変わり、新しい時代が胎動しています。しっかりと把握していますか? この時代を読み解くには歴史を見つめ、構造を把握し、パワーの心奥を見つめ哲学を持たなくてはなりません。一緒にこの新しい時代を見つめて行きましょう! 最低週1回の更新です。
プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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