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《日本の政治》日本の民主主義政治の最大の問題点を示したスガ退陣
[日本の政治]
2021年9月3日 23時50分の記事

スガ氏の辞任。総理・総裁として延命をはかるために色々と画策、右往左往したかに見えるスガ氏は、結局、万策尽きた感があります。ただ、スガ内閣の支持率が猛烈に落ちているときに、岸博幸氏を内閣府参与に(7月9日)、夏野剛氏を内閣府規制改革推進会議議長(8月23日)にしたことがとても気になります。この両名ともスガ氏の師匠で政商と呼ばれるタケナカ平藏氏の関係と考えますが、明らかにこの人事は、はくつけの駆け込みに見えます。こういうところを掘り下げると、実相が見えてきたり、日本の政治の隠された巨大な問題点が見えてきたりするかもしれません。

「菅義偉氏の出世は『竹中平蔵氏のおかげ』 今も続く師弟関係」(2020年11月20日 NEWSポストセブン)

「竹中平蔵 “天敵” が嘆く『政商』への凋落『小泉時代はまだマシだった』」(2021年7月4日 Smart FLASH)

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スガ政権を振り返るとあの五輪相の丸川珠代とはいったい何だったのかという不信感が、パッと浮びます。とにかくひどい政治家でした。彼女の存在は自民党の人材の枯渇と驕りを象徴していると考えます。
さて、スガ氏の辞任については、その背後に2F(二階)と2A(アベ・麻生)との暗闘が言われています。それは、スガ・二階と3A(アベ・麻生・甘利)の対立とも言われてきました。この暗闘は、実は先の横浜市長選でもあって、小此木氏の敗北はそれが原因と考えます。それが保守分裂選挙となった林氏の出馬の意味と考えます(小此木+林で山中氏に勝っている)。
スガ氏が様々な選挙で勝てなかったのは、この暗闘が背景にあったことは間違いないでしょう。
このようなことがあって、結局はスガ辞任、2A(アベ・麻生)が暗闘を制したということになったわけです。
そして何よりも、この一週間のスガ氏の右往左往と急転直下の退陣表明は、2A(アベ・麻生)の前ではスガ氏はまったくの無力、多勢に無勢であったことがよくわかります。

◎ 権力を独占する世襲は民主主義の明らかな敵
それはそうでしょう。2A(アベ・麻生)というのは、自由民主党の源流である自由党(吉田茂)と民主党(鳩山・岸・河野)の孫、言ってみれば自由民主党の創業者の孫であるわけです。55年体制は岸氏が構想し、動かしたという指摘もあります。
したがって、2A(アベ・麻生)とはまさに自由民主党の創業者一族ということであり、その創業者一族の世襲の岩盤の前には、スガ氏はまったく歯が立たなかった、その無力さを露呈したということに過ぎません。
こう観ると、自民党と言うのは、明らかな世襲政党であることがよくわかります。それは今回のスガ氏の一件で、改めに明白になりました。
もちろん、世襲はこの2A(アベ・麻生)だけではなく、同党内には数え切れない世襲議員がいるわけです。そして特筆すべきは、自民党結党の1955年以降の62年という長期間、日本の権力の中枢を、2A(アベ・麻生)と同党内の無数の世襲議員によるこの世襲政党が占めてきていることです。
これでは、北朝鮮もビックリのまったくの独裁です。1955年以降の66年間で、政権交代は2回、期間はたったの4年しかないのです(因みに私はこの2回の政権交代のどちらにも関わっています)。
まさに日本の権力中枢における独裁が続いているわけですが、その独裁を行っている自由民主党は、実は2A(アベ・麻生)を事実上の創業者オーナーとして頂いている世襲政党であるわけです。やっぱりこれでは北朝鮮だわ。
日本の国家権力をこのような世襲一族が独占し、また圧倒的な影響力を行使しているのは、明らかに不健全、民主主義を根底から阻害するものでしかありません。日本の政治が国民の及ばないものになっている最大の原因は、ここにあると考えます。
自由民主党結党当初は、自由党(吉田茂)と民主党(鳩山・岸・河野)という戦前からの権力構造、満洲国当事者が継続しているという問題点はありました。これは、米国の占領政策が冷戦を主軸に回り始めた所謂逆コースの流れの中にありますが、当時、そこには世襲という問題点はありませんでした。しかし、今やこの権力維持、満洲国当事者という問題点にプラスして権力の世襲という大問題が生じているのです。だから、2A(アベ・麻生)を事実上の創業者オーナーとする自由民主党が、戦前回帰の軍国主義礼賛に動いていることは、必然のお話しなのです。
自民党と言う存在そのものが、時代にマッチしていないことをはっきりさせたことが、このスガ退任劇の本質と考えます。自民党自体がすでに賞味期限切れと考えます。

◎ 世襲政治家の選挙区を変えることを制度化すべき
とは言え、自民党の世襲政治家は民主主義制度の根幹である選挙で選ばれたから問題ないという意見があるかもしれません。確かに政治家の2世、3世が政治家を志すことは問題ありません。しかし、選挙区を世襲するのは明らかに問題です。そこに上述の自由民主党の権力世襲化の源泉があるわけです。民主主義においては、親族が関わった選挙区からは絶対に出馬できないということを制度化すべきです。これは世襲政治家の権利よりも、世襲政治家の権力独占が民主主義において圧倒的に問題であるからです。
出馬できないのは、選挙区という小さな地域ではなく、衆議院選挙における比例代表ブロック内の選挙区からとすべきでしょう。これで日本の政治の問題はかなり相当減るでしょう。


◎ 日本の政治のもう一つの問題点
自由民主党の原点については、以下のようにウィキペディアにすら当たり前のように書かれています。これが日本の政治のもう一つの問題点なのです。


なお、結成直前の1954年(昭和29年)から結成後9年経った1964年(昭和39年)まで、アメリカ(以下米国、具体的にはホワイトハウスおよびアメリカ国務省)の反共主義政策に基づいて中央情報局(CIA)の支援を受けていたことが後年明らかになった[72][73][74]。CIAは、日本に社会党政権が誕生するのを防ぐことを目的に自民党と民社党に金を渡し、さらに選挙活動に向けたアドバイスを行っていた[74]。現在米国政府はこの事実を認めているが、他方で自民党はこれを否定している[74]。

(ウィキペディアより)


このようなことは、ある意味、常識中の常識です。言うまでもなく、これは上述した米国の占領政策が冷戦にシフトした所謂逆コースの延長線上のことで、このCIAの関与を観ても明らかなように、自民党は、冷戦のためにつくられた政党であるのです。上述の岸氏が55年体制を構想、実現したという指摘の本質はここにあると考えます。
しかし、この冷戦の構造は、米軍の世界展開の終焉とともに、世界的に終わりを告げつつあるのです。トランプはずっと冷戦の終焉を行ってきたわけですが、逆に言えば、現在までその冷戦構造は続いてきていたのです。
そして、ザ・フナイで何度も申し上げてきたように、アベ氏はこの冷戦の終焉に抵抗してきたわけです。そのことが、日本と文在寅政権の韓国との間に溝ができた本当の理由です。実相はアベ氏が冷戦構造温存のために、その溝をつくったということなのです。
そして、現状の動きも、言うまでもなくこのことに関わっています。北朝鮮同様、東アジアの冷戦構造はまだ終わっていません。実際、北朝鮮も、日本と同様に3代目ががんばっています。
因みに、上記ウィキペディアの記述に、CIAのお金が民社党にも渡っていたことが書かれています。これが、旧民社党系の影響が強い現在の連合の動きと関わるのは当然のことと考えます。
しかし、今、冷戦構造の終焉のとき、言うまでもなく日本の政治も生まれ変わるときに来ているのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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