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《日本の政治》 国難の正体 アベ・スガ体制の継続に過ぎない
[日本の政治]
2021年9月30日 0時54分の記事

自民党の総裁選。観るべきものがなく拙劣なレベル、したがって評論をしたとしても批判だけになり、私党内部の選挙戦を公にいちいち批判するのもいかがなものかと考えましたので、終わるのをずっと待っていました。もちろん、総裁選後はしっかりと評論をしなくてはなりません。
まず、この総裁選について総じて言えることは、すべての候補者がアベ・スガ体制への批判をまったくしていないことです。したがって、誰が総裁になってもアベ・スガ体制の継承者であるということなのです。ですので、必然、アベ・スガ政治での公文書偽造、国会での虚偽答弁、疑惑のオンパレードはこれからも続くと言うことです。それにプラスして、憲法を無視する政治、実績のない経済政策もこれからも続くと言うことなのです。まさに暗澹たる政治がこれからも続く。以下の記事のようにどんなに『生まれ変わった自民党』とマスコミ共々うたってみても、結局は何も変わらないということに過ぎないのです。本当に生まれ変わったのなら、アベ・スガ体制への批判がどんどん出てきたことでしょう。そんなものは微塵もありませんでした。
ただ、それは、自民党にとっては致命傷になります。ですから、2001年の総裁選時の小泉純一郎氏のように、『自民党をぶっ壊す!!』と今回の総裁選でも絶叫しまくらなければならなかったのです。

「岸田文雄氏「生まれ変わった自民党、国民に示す」とアピール」(2021年9月29日 朝日新聞)

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そう絶叫しなくてはならなかった理由は、単に世論対策だけではなく、自民党が政権与党として60年以上、政権に居座り続けているからなのです。60年以上、政権にいるということは、経済・社会、政治のすべてのことの責任はすべて自民党にあると言うことなのです。
ですから、現在の日本のように国力を落としているのも、その原因は自民党なのです。まったく無関係なんてことはあり得ないわけです。だからこそ、存在としての自民党をぶっ壊すといわない限り、論理的に今後の自民党の存在そのものが破綻を来してしまうのです。逆いえば、現状のままでは、論理上での自民党の破綻は非常に差し迫っているということになるのです。ですから、アベ・スガ体制への批判が皆無であった今回の総裁選は、自民党の終わりの始まりと言えるのかもしれません。
政治家の善し悪しは別として、小泉氏のように自民党をぶっ壊すと今回はウソでもそういわなければならなかたのです。それが現在の自民党の置かれた状況。20年前は、小泉政権が誕生して自民党は延命、結果、壊れたのは自民党ではなく、日本の方となったわけです。それも自民党の責任。

◎ 小物ばかりのクグツ(傀儡) 誰が最大のクグツ(傀儡)か?
この総裁選のもう一つのポイントと考えるのは、候補者が皆、小物ばかりということです。それにプラスしてみっともないクグツ(傀儡)が、跋扈していたということです。そんな背骨のないレベルの低い政治家に国民を背負うことが不可能なのは、いうまでもありません。そういうことは端的に顔に表れますし、そういうクグツ(傀儡)は、ひたすら操っているものを観つづけるのは必然です。ですから、アベ・スガ体制を批判できないのです。そんなことはわかりきっていることであって、そんなみっとない政治家に国民が託すものがあるはずもないのです。
どんなに愛国だ何だといっても、所詮はクグツ(傀儡)、平気で国民を裏切るのです。それが愛国? 笑わせます。
そういうものではダメだと、その枠組みから飛び出すような政治家でなければ、本当の政治、国民のための政治はできない。それは責任感についても、考える能力にしても、胆力にしても、そうなのです。政治とは国民のために国民と向き合うものですから、当たり前のことです。

◎ 国難の正体
新総裁には岸田氏が選出されました。岸田氏は選出時の言葉として、わが国の状況を『国難』と表現しています。
いやいや、ちょっとまってください!!
これまで自民党は政権に60年以上もの間いるのに、国難というのは、自分たちが国難を到来させたということにしかなりませんよ。だから、自民党は国難に遭遇していると表現すると、それは自分たちが招いたものということになるのです。さすがに60年以上もの間、政権を担当しているのですから、そうなります。すべては自民党が原因ということです。要するに国難の正体は自民党ということになるのです。

「岸田新総裁のあいさつ要旨」(2021年9月29日 時事通信)

だから、上述の20年前の小泉純一郎氏のように自民党をぶっ壊す!!と『ウソ』でも言い続けなければ、自民党は存在として破綻してしまうのです。
であるのに、岸田氏は当たり前のように、さも被害者のように『国難』という言葉を使ってしまうわけです。そこに責任感も、当事者の感覚もない。これでまっとうな政治ができると考える方が間違っています。そもそも、岸田氏はどうして今まで何もいわなかったのか、というポイントも当然にして出てきます。


◎ 『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。』が再びか?
岸田氏は経済政策について、『再分配』という言葉を使っています。再分配、積極財政政策などの反新自由主義政策は現状とこれからの日本には絶対的に必要です。
しかし、2012年の総選挙、自民党は『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。』と、反新自由主義、反TPPをうたったわけです。
当時、チャンネル桜に出ていた私は、この言葉に完全に欺されてしまって、アベ氏を支持してしまい、皆さんに正しい評論をお伝えすることが出来なかったわけです。
実際、その後、アベ氏は半年も経たないうちにTPPを推進したわけです。まさに舌の根も乾かないうちにという表現がぴったりの豹変ぶりですが、それに簡単に欺されたのは私の未熟さです。アベ氏はそもそも新自由主義者。そういう様々なこと、欺瞞を私は見抜けなかった。その私の未熟さ故に、みな様に不正確なことを申し上げてしまったわけです。このことは、改めてみな様に心からお詫び申し上げます。本当にすみませんでした。
こういう一件があるので、岸田氏の政策も当然のこととして、額面通りに受け取ることは、現状では危険としか言えません。実際、岸田氏はアベ・スガ体制をまったく批判していません。
再分配、積極財政政策は現状の日本に必要ですが、この政策は政権・政府の清廉潔白さが必要になります。なぜなら、政府のお金を配分することになるからです。その配分の過程に公平さ、清廉さがなければ、必然、そのお金は単なる利権になり、かえって国民にとっては大きな負担と負債になるのです。それがアベノミクスの本性であるのです。したがって、公文書偽造、国会での虚偽答弁、お金にまつわる疑惑のオンパレードであったアベ・スガ体制への徹底した批判なくして、再分配をいうのは、新たなる利権の誕生となると言うことに過ぎないのです。それはもちろん、選挙前のバラマキということをも意味します。票を金で買うということです。日本国民がそういうくさったことを許すのかどうか。ここが間違いなくポイントになります。
このようなことも含めて、現状、考えることは、岸田氏では新時代に相応しい経済システムの構築は不可能と考えます。少なくともその徴候は現在においては見えない。口で『生まれ変わった自民党』とどんなにいってみても、そのための批判や行動をしていないのでは、単なる口先だけの話しでしかなく、実質がないのと同じです。むしろ、口先だけで、実質、利権になるのなら、それは単なる詐欺でしかありません。その利権は国民からの税金でつくられるのです。
岸田氏をはかるバロメーターは、非常に簡単で、これまでのアベ・スガ体制、及び自民党体制についてどれだけシビアに批判できるかということにあります。特にアベ・スガ体制に対しては言葉だけではなく、徹底した行動が求められますから、それが行なわれるかが、評価のポイントになります。現状、その評価はどんなによく見積もっても50点以下です。
岸田氏の経済政策については、現状、戦争経済の可能性が非常に色濃くなっていると考えます。それは岸田氏がアベ政権の外相であったときのことを観れば一目瞭然でしょう。私はその外交を批判してきましたが、東アジアで極めて危険な存在と考えます。岸田氏は平和へのベクトルは非常に乏しい存在と考えます。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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