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《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その2 (2)
[日本の政治]
2021年11月3日 23時53分の記事

昨日の本ブログ「《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その2」(2021年11月2日)の続きです。

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昨日は、神奈川13区の結果について解説しました。この選挙区を取り上げた理由は、今回の選挙の典型的な要素を内包しているからです。だからこそ、自民党幹事長落選という前代未聞のことが起きたわけです。
おさらいとして、今回の選挙の最大の特徴・ポイントをもう一度、以下に書きます。

・ 反自民の風
・ 立民・共産を中心とする野党共闘の成功

この2つのことを繰り返し書くのは、これらが今回の総選挙全体において極めて重要な中核要素だからです。
そして、この2つのことに様々な要素が加わって、様々なことが生じているのです。
でも、立民は議席を減らしているじゃないか?と言うかもしれません。確かに減っていますが、その理由も実はこの2つの要素を理解しないとわからないのです。
そのような選挙区分析を明日以降、行なっていきます。
テレビでは、選挙区分析をまったく解説していないのですが、驚くべき低レベルぶりです。
維新が4倍になって躍進した? 確かに4倍になっていますが、10が40になっただけです。立民は減っても96議席ですから、民意という意味では、立民の方が集めているわけです。
しかし、テレビの解説を見ていると、立民より維新の方が民意を集めているという言説ばかりです。これは明らかに現実を無視した暴論です。
そして当然、それは現実ばかりではなく、民意を無視し、選挙を冒涜する非常に問題がある言説なのです。立民へ投票した有権者をまったくの無価値のこととして報じているのは、明らかに政治的な公平性を欠いていると考えます。

◎ 最大の世論調査を無視する世論調査
昨日の神奈川13区の例を観てもわかるように、自民と立民の候補者ががっぷりよつに対峙しているところに、例えば共産党の候補者が出馬すれば、情勢は一気に甘利氏に有利に展開します。
そうなると、立民と共産へ反自民の票が、自民への票を上回っても、議席は自民・甘利氏のものになるわけです。だから、立民・共産は野党共闘をして、票の流れを一本化したので、甘利氏に僅差でも勝ったわけです。
実は、日本全国において、反自民の票が自民より上回っているのに、議席が自民となってしまっている選挙区がものすごい数になっています。東京では少なくとも7選挙区です。これらが立民の議席として反映されていれば、東京では25選挙区中、15選挙区で立民が勝利しています。
しかし、議席ではそれが現われていない。ただ、票という民意では明らかに立民・共産を中心にした野党共闘への忌避感はないのです。そのような忌避感があれば、神奈川13区で立民・太氏が勝利することはあり得なかったでしょう。また、はっきり言って、東京では立民の圧勝です。
実際、連合は選挙前に共産党との野党共闘を否定しました。このように、選挙直前に後ろから弾を撃つようなことがあっても、共産と共闘した太氏は勝利したのです。このことは非常に大きなポイントなのです。
そうなると以下の共同の世論調査で、「野党共闘『見直しを』61%」というのは明らかにおかしいのです。これほど野党共闘への見直しへの世論があれば、必然、神奈川13区で太氏が勝利することなどはあり得なかったのです。
この世論調査のカラクリは簡単です。10月31日の総選挙で立民が議席を減らした、そのことを観て野党共闘を見直すべきか、否かという世論調査の設定なので、このような数字が出るのです。結果がでないのなら、野党共闘は見直しすべきだという意見を単に誘導しているに過ぎないのです。
しかし、最大の世論調査である今回の選挙において、61%が立民・共産を中心とする野党共闘に反対していたら、確実に立民の議席は50議席以下になっているはずです。
しかし、立民への票を観れば、まったくそういうことはありません。神奈川13区や特に東京では。
今回の選挙では、立民への票が完全な死票にされてしまったことに問題があるのです。その構造については、後日、詳説します。オンラインセミナーでは、すでに11月1日にお話しをしました。
一般的には、議席数だけでしか、結果を考えません。そして、テレビなどではそのことしか言いません。
本当は票がどのように投じられ、どのような構造で勝敗が決まったかと言うことを、テレビでは解説しなくてはならないのです。なぜなら、それが民意であり、日本の政治の現実だからです。
しかし、そういうものが、テレビなどのマスメディアでは一切ないのです。それでは、多くの有権者は、自分が投じた一票の意味をまったく理解できないのです。それで、この共同のような世論調査をされれば、結果がでないから野党共闘を見直すべきだと、簡単に誘導されてしまうわけです。

「野党共闘『見直しを』61% 岸田内閣支持、微増の58%」(2021年11月2日 共同通信)

結局、この世論調査も、立民と共産の野党共闘を破壊したいというだけなのです。それは当然、自民党を利するということに過ぎないのです。連合が立民・共産の野党連合を選挙直前で否定するのも、まったく同じ理由なのです。
神奈川13区の例を観れば、立民は共産党との野党共闘が崩れれば、確実に弱体化します。太氏は二度と甘利氏には勝てません。反自民の風が吹いているときでも、勝てないということが常態化していくのです。それは、当然、自民党と甘利氏にとっては願ってもないことです。
そういうことを、上記の共同通信の世論調査も、また、なぜか連合も求めているのです。当然、これは国民のためにはなりませんし、そもそも国民のためではないのです。
立民が選挙区で勝てないのなら、まさに万年野党となるだけで、それも先細りの野党となるだけなのです。必然、比例も頭打ち、先細りになるだけでしょう。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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