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《日本の政治》 今回の総選挙の分析 その3 立民は敗北していない
[日本の政治]
2021年11月5日 23時49分の記事

昨日の本ブログ「《日本の政治》 岸田体制はアベ・スガ体制の継承 そして国民民主はそれにすり寄る」(2021年11月4日)で取り上げたように、今回の衆議院議員総選挙で小選挙区、比例代表とも、野党(非自民)・無所属の票数が、与党(自公)を上回っています。そして、日本の国政選挙においての最大のポイントは、実は自民か、それとも反自民かなのです。したがって、今回の選挙では反自民が勝利しているのです。

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もう一度、その票数を見てみましょう。


2021年の衆議院議員総選挙(票数小数点以下削除)

与党(自公)
小選挙区 28,499,088  49.60%
比例代表 27,029,165  47.04%

野党(非自民)・無所属
小選挙区 28,958,344  51.4%
比例代表 30,433,982  52.96%

ウィキペディアより


そして、立民も以下のように十分な得票を得ています。


2021年の衆議院議員総選挙(票数小数点以下削除)

◎ 自由民主党
小選挙区 27,626,157  48.08%
比例代表 19,914,883  34.66%

野党(非自民)
◎ 立憲民主党
小選挙区 17,215,621  29.96%
比例代表 11,492,115  20.00%

ウィキペディアより


立憲民主党は自民党よりはとっていませんが、堂々の第二党、十分な票数を獲得しています。
そして、この数字に立民が共産党と共闘したことに対する忌避感は一切ありません。
ただ、このようなこと議席数に現われていないだけです。

◎ 2017年の総選挙もまた同じく野党が勝っている
実は野党が勝っているのは2017年も同じなのです。以下のように票数が出ています。


2017年の衆議院議員総選挙(票数小数点以下削除)

与党(自公)
小選挙区 27,333,175  49.32%
比例代表 25,618,981  45.95%

野党(非自民)・無所属
小選挙区 28,088.912  50.68%
比例代表 30,138,571  54.05%

ウィキペディアより


しかし、結果はどうであったか? 以下の当時の朝日新聞の記事のように自民が大勝しているのです。この朝日新聞の記事では小選挙区制が後押ししているとあります。つまり、小選挙区において、野党の方が得票しているが、野党乱立となっているために票が割れて議席を落とし、自民大勝となったと言うことです。
そして莫大な数の非自民票が死票となったわけです。
このような流れを見れば、2017年の次の総選挙、すなわち今回の総選挙において、野党共闘をする選択をするのは当然なのです。だから立民は共産と共闘したわけで、今回の立民・共産を中心とする野党共闘は当たり前のことなのです。むしろ、2017年の結果があるのに、野党共闘をしないとなれば、そちらの方が問題だったのです。そう思いませんか?
しかし、連合が今回の選挙直前にこの立民と共産を中心とする野党共闘を否定したわけで、普通に、一体何を考えているのかということなのです。あり得ない。だから、いつまでたってもリベラルがダメな理由は、ここにあるのでしょう。ちょっと連合のレベルが低すぎます。だから、このような排他的な動きになるのでしょう。

「自民の大勝、小選挙区制が後押し 得票率は48%」(2017年10月24日 朝日新聞)

◎ 郵政選挙(2005年)でも同じ
2005年、小泉・タケナカ新自由主義政権下で行なわれた郵政選挙も、以下のように小選挙区での得票は野党(非自民)・無所属の方が勝っているのです。ですので、国民が郵政民営化を求めていたかということについて言えば、必ずしも求めていたとは言えないというのが、実際の所なのです。


2005年の衆議院議員総選挙(票数小数点以下削除)

与党(自公)
小選挙区 33,499,494  49.22%
比例代表 34,875,418  51.43%

野党(非自民)・無所属
小選挙区 34,566,797  50.78%
比例代表 32,935,651  48.57%

ウィキペディアより


しかし、結果は小泉・タケナカ政権の地滑り的な圧勝となったわけです。それは、自公が小選挙区で得票は少ないのに、小選挙区で圧倒的に勝ったからです。
そうなった理由は端的に、野党が乱立していたためです。すなわち衆議院議員総選挙は小選挙区ですから、その選挙で勝つためには、候補者を野党が一本化しなければ、絶対に勝てないのです。
この郵政選挙のあと、国民新党の内部では、小選挙区での票数は野党が上であったことが、会議などでずっと議論されていました。そういう流れから、民主・社民・国民の野党共闘が始まり、2009年の民主党連立政権誕生に結びつけたのです。この野党共闘がなければ、2009年の選挙でも自公より票を取っているのに、議席では負けると言うことに100%なっていたのは、論を待ちません。
ですから、小選挙区においては野党は共闘をして、各小選挙区で候補者を一本化することは、最高優先度の鉄則なのです。
そして、このことは今回の総選挙でも同じです。小選挙では野党共闘で候補者を一本化することが最大のポイントなのです。そして、立民・共産を中心とする野党共闘の議席が伸びなかったのは、当然、その野党共闘の邪魔をする存在が、いたからに他なりません。それは維新です。
立民の枝野氏や共産党との共闘が悪かったのではありません。そういう数字は、上記のように実はまったく出ていないのです。この立民・共産を中心とする野党共闘を邪魔したのは、維新であり、そして何を隠そう連合なのです。立民の背後から弾を撃った存在。この二つは100%、自民党のアシストをしたと考えます。
そして、そのために政治の変革を願う有権者の大量の死票が発生したのです。特に東京ではそれが激しいのです。
枝野氏に問題があるとすれば、そのような反党行為をする維新や連合に対して、徹底抗戦、つぶさなかったことでしょう。だから、つぶされたのです。そこに甘さがあるのです。

◎ 立憲民主党と共産党がすべきこと
上述のように、立民・共産を中心とする野党共闘は失敗していません。むしろ、ものすごい数の有権者の信任を得ているのです。ですから、当然、その民意をしっかりと受け止め、その民意に応えることが、何よりもまずすべきことです。当たり前のことです。それが選挙の意味です。
あくまでも民意は議席数よりも票数に表れるのです。
しかし、マスメディアでは、今回の選挙で立民が負けたという大合唱で、この本当の民意を無視する論調が主流となっていますが、それはあくまでも国民の意思をマスメディアが無視し、その民意を違う方向に向けようとするプロパガンダに他ならないからです。
まさに民主主義を蹂躙する極めて悪質な行為です。すでに日本のマスメディアは、民主主義を守るための番人ではありません。むしろ、民主主義を破壊する勢力の一つなのです。
それでは、どうして、そのようにするのか? 明らかにそのポイントは共産党であり、そして立民に入れた民意を自民に有利な方向に誤誘導することなのです。そう、日本のマスメディアは、立民や共産党に投票した有権者を日本国民として扱っていないのです。これは公平性が完全に失われ、国民の権利と政治参加を完全に否定するものです。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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