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《日本の政治》 本当の問題を把握しなければ、生活は改善しない その3
[日本の政治]
2021年11月15日 23時41分の記事

◎ 数字の大小もわからない こりゃだめだ
まず、以下のデイリー新潮の記事の一節から始めることにしましょう。『担当記者』の話しとして以下のように書かれています。


「自民党批判票の多くは維新に流れ、立民は受け皿になれませんでした。野党共闘では一部の小選挙区で成果を上げたとはいえ、比例票が全く伸びなかったのが敗因です。枝野さんの辞任は当然でしょう」

「立憲代表選 枝野失脚、『玄葉光一郎』不出馬に党内から安堵の声が漏れる理由」(2021年11月15日 デイリー新潮)


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一体、この『担当記者』というのは、誰なのでしょうか? 立民への他誌、他紙、他局の番記者なのか、それとも新潮の記者なのかは、よくわかりません。もしかしたら、そんな『担当記者』はいないのかもしれません。記事を書く上での、想像上の人物なのかもしれません。とにかくまったく意味不明なのですが、さらにその中味は輪をかけてまったくの意味不明なのです。
本ブログでは何度も取り上げていますが、今回の総選挙では、与党(自公)の票を、野党・無所属の票が、以下のように選挙区、比例代表とも上回っています。つまり、今回の選挙では与党(自公)への逆風が吹いていたのです。しかし、そのことは議席数には表れていません。
尚、データは全てウィキペディアのものです。


与党(自公) 選挙区 28,499,088  49.60% / 比例代表 27,029,165  47.04%
野党・無所属 選挙区 28,958,344  51.4%  / 比例代表 30,433,982  52.96%

(票数の小数点以下切り捨て)


それでは、今度は野党・無所属の票、すなわち反自民票(自民批判票)における立民と維新の票を観てみましょう。


立民  小選挙区  17,215,621  29.96% / 比例代表 11,492,115  20.00%
維新  小選挙区  4,802,793   8.36%  / 比例代表 8,050,830   14.01%

(票数の小数点以下切り捨て)


小選挙区の票数は立民は維新の3倍以上、ケタが違います。比例代表もケタが違う。それで、上記のデイリー新潮が言うようにどうして『立民は自民党批判票の受け皿になっていない』と言い切れるのでしょうか? わからない。
単純に小学生レベルの算数で、どちらの数が大きいかという比較ができるか、否かの話しです。立民は2017年の選挙では、分裂後の駆け出し政党で、今回とは単純に比較できません。そういうことを加味しても、今回、反自民票の受け皿に、維新よりはるかに立民がなっていることは、一目瞭然です。
そして、立民が議席を減らしたのは、立民の候補者が自民と競っている選挙区で維新が『自民批判票(反自民票)』を喰ったからです。それだけなのです。
どうしたら、このデイリー新潮のような『珍説』が出てくるのか、疑問に思います。デイリー新潮は、恥ずかしくないのかと心から思います。どんな『担当記者』か知りませんが、政治のジャーナリズムの世界において、こんなバカばかりでは、政治が悪くなるはずです。
このような言説の本質は、国民が票数までを観ていないことを良いことに、ものすごく適当なこじつけを言っているに過ぎないと考えます。どうしてそういうことをするのか? そこにポイントがあるわけです。とにかく、マスコミの言うことを鵜呑みにしていたら欺され、そして生活がさらに悪くなるだけです。
このデイリー新潮の記事のポイントは何か? それは、記事にある「共産党との“野合”」、「本来なら共産党との野合を批判してもおかしくない」という言葉に集約されています。文脈から本当は「本来なら共産党との共闘を野合と批判してもおかしくない」と書くべきところを、『共産党との野合』とデイリー新潮は言い切っているわけです。ここが全てですが、これを観ると、結局は自民党や財界の意向をそのまま反映させている記事に過ぎないことがよくわかります。

◎ 接近する自民と維新
また、マスコミがこぞって立民の敗北、維新の躍進ということをいうのは、上述のような票の真実の動向、すなわち国民の意思表示を隠すために他なりません。まさしく、悪意ある情報操作に過ぎないのです。そうやって票数に表れていない立民敗北、維新躍進という虚像をつくり、その虚像を国民に見せて、さらに国民の誤判断を導くということをずっとしています。
ですから、総選挙後に出された世論調査は、今回の選挙の実相を反映したものにはなっていません。まさに、まったく民意を無視、否定しています。民意の公式な表明は、唯一、選挙の票数の動向だけなのです。マスコミが虚像を国民に見せた上で、マスコミによる世論調査というもので、選挙における公式の民意を否定し、悪意ある情報操作を行なうということが、総選挙後、ずっと行なわれています。
なぜ、このような悪意ある情報操作がなされるのか? それは当然、立民と共産を中心とする野党共闘を破壊するためです。
それは、自民、維新、財界に利があることだからです。そして、昨日の本ブログ「《日本の政治》 本当の問題を把握しなければ、生活は改善しない その2」(2021年11月14日)などで申し上げてきたとおり、自民と親和性があり、大企業の利益を追求する『連合』もそこに利があるわけです。
もちろん、だからこそ中小企業や大半の労働者にとっては利益にはならないことです。自民、維新、財界、連合に利があるということは、そういうことなのです。
そういう自民と維新が、以下の記事では接近ということが書かれています。しかし、こんなことはアベ・スガ時代からずっと行なわれてきたことです。

「公明、議席増で政策発信強化 躍進した維新と自民の接近に危機感」(2021年11月15日 毎日新聞)

デイリー新潮が言う『反自民の受け皿』である維新が、自民に近づいたら、それは完全に有権者を裏切る行為ではありませんか。デイリー新潮の言っていることはまったくの目茶苦茶です。自民と維新が接近してることなんぞ、以前からわかりきっていたでしょう。そのことわかっていないのなら、その程度の雑誌と言うことです。

「大阪の自民地方議員が石破氏支援の会 維新と蜜月に反発」(2017年8月27日 朝日新聞)

本当ならデイリー新潮は、このような自民と維新の接近を、有権者を裏切る行為として批判しなくてはなりません。なぜなら、デイリー新潮が言うように、維新に票を投じた有権者は『自民批判票』であるのですから、完全に民意を否定するもの、民主主義を否定するものになるからです。デイリー新潮が自分でそう言ったではありませんか。

◎ そして、立民・泉氏
そして、その自民に接近する維新と一緒にやると高らかに宣言したのが、立民の泉氏であるわけです。上記の毎日を記事を観れば、維新と一緒にやると宣言した泉氏は、結局、自民党と一緒にやると宣言したに等しいわけです。立民に入れた有権者はそんなことはまったく容認していないわけです。そもそも、反自民として票を立民に投じているのですから。そして、そういう票が、一番、立民に集まっているわけなのです。
やはり、泉氏は連合の意向ばかり、自分の保身ばかりと考えます。有権者の意向をまったく無視する、旧民主系の悪しき本質がありありと現われていると考えます。そうでなければ、維新と一緒にやるなんてという言葉は、絶対に出てきません。それが、政界の常識というというものです。

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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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