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《国際情勢》 ロシアが主張するナチスの問題は無視すべきではない その1
[日本の政治]
2022年3月4日 23時34分の記事

本サイトの右上に掲載している2005年公開のニコラス・ケイジ主演映画『ロード・オブ・ウォー』(2005年 アメリカ)。この映画は主人公のウクライナ系アメリカ人の武器商人をニコラス・ケイジが演じ、実際の出来事に基づいたものです。そして、戦争の本質の一端がこの映画を観るとわかります。その本質とは、武器商人が『ロード・オブ・ウォー(Lord of War)』=戦争の支配者、戦争の王ということです。現在の世界でも当然、この『ロード・オブ・ウォー(Lord of War)』は暗躍しています。

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映画は最初、ニコラス・ケイジが演じる主人公の武器商人・ユーリ・オルロフが以下のように言って、始まっていきます。


今 世界には 5億5000万丁の銃がある
ざっと12人に1丁の計算だ
残る課題は――
”1人1丁の世界”



この言葉を見ると、マイクロソフトが創業時に掲げた目標『世界中の全ての机と家庭にコンピュータを』を思い出します。武器商人にとって世界中の人々が、1人1丁の銃を持ち、殺し合いをしてくれれば、膨大な利益をもたらし、ビジネスは大成功ということなのです。ですから、”1人1丁の世界”は当然、武器商人のビジネスにおいて目指すべき最高の目標なのです。
そうなると、武器商人にとって、対立する二つの勢力両方に武器を売ることは、当たり前になります。もちろん、そこに思想・信条・正当性は関係ないのです。ただ、利益を上げることが問題。そう言う意味で武器商人に偏見はありません。あるのはお金が動き、武器が売れ、利益を上げることだけなのです。
このことは、維新のキーマンとなった武器商人・トーマス・グラバー(ジャーディン・マセソン)も同じです。グラバーは、幕府・佐幕側にも、倒幕側にも武器を売りまくっていました。因みに坂本龍馬も武器商人ですから、日本の維新とは武器商人(アヘン商人)によってなされたわけです。その彼らが日本の『ロード・オブ・ウォー』=戦争の支配者、戦争の王。だから1945年にその『日本』(近代の日本)が滅びるまで、日本は次から次へと戦争をするということになるわけです。
今の日本は、この日本の近代の本質と本当に関係ないと思いますか?
話しを戻しましょう。この映画には、戦争の本質を突くとても鋭い言葉が沢山出てきます。それらをちょっと取り上げてみましょう。
まず、主人公の武器商人・オルロフが、武器商人の大物・シメオン・ワイズに自分を売り込もうとしたときの2人のやりとりからです。


オルロフ:
事業について ぜひお話しを

ワイズ:
君は ただの売人だろう
私は”支援者”だ
売る相手を選ぶ

オルロフ:
でもイラン・イラク戦争では
双方に

ワイズ:
それも信条に基づいてだ
銃弾で政権交代を促す



上述のように武器商人であるトーマス・グラバーが幕府・佐幕側にも、倒幕側にも武器を売りまくったというのは、武器商人の行動としては当たり前のことなのです。そうやって儲けるわけです。というより、そうやった方が儲かりますよね。だから、儲けるためには戦争をたきつける。
そして、武器の売買をする商売のポイントを、以下のように主人公の武器商人・オルロフが言います。


武器売買は素早さが命だ
戦闘がやめば銃は不要
平和は大損害をもたらす



武器売買では素早さが命、そして平和は大敵なのです。一日でも長く双方に武器を消費させる戦争を続けさせることが、武器商人のビジネスにおいて最大のポイントになるわけです。近代の日本が戦争ばかりしていたのはここに理由があります。となると、戦後の日本は武器商人の敵ですね。
そして、武器商人はビジネスをする際、以下のように言うのです。この言葉は、主人公のオルロフが自分の妻に向って言う言葉です。


自衛の手段を――
人々に売っているだけだ



弱くて可哀想な人々、負けている方に自衛の手段を与えるというのが、彼らの言う言葉なのです。そうやって武器を売り、戦争を続けさせ、長引かせる。その『自衛の手段』が出回ることによって、戦争が長引いて、多くの人々が命を落としても武器が売れればそれで良いのが、武器商人なのです。
そして、武器商人の大物・シメオン・ワイズが、主人公のオルロフに次のように言う場面があります。


武器商人が戦争に行くと――
戦争が長引いて困る



戦争を長引かせるものは、資金と武器の供給なのです。そして、その資金の供給があるからこそ武器商人が暗躍し、戦争が長引くのです。
したがって、戦争の鉄則とは、とにかく戦争が始まったら早急に終息させることが何よりも肝要であるということなのです。
映画では主人公である武器商人・ユーリ・オルロフを追うインターポールのジャック・バレンタインという人物が出てきます。彼は、オルロフとのやり取りで、以下のように戦争の本質を言います。


バレンタイン:
漫才はよそう 武器密輸だ

オルロフ:
貿易

バレンタイン:
違法貿易だ
貧しい国に――
殺し合いの道具を与え
稼いでいる
なぜ追うか?
もっと重大事はあるのに?
世界平和のためには
核を追うべきか?
いや 違うね
戦争犠牲者の9割が
銃で殺されてるんだ
核兵器じゃない
AK47こそ
真の大量破壊兵器だ

オルロフ:
私は殺し屋じゃない
人を撃ったこともない
戦争で稼いではいるが――
人が死なずに済めばと願っている



AK47はカラシニコフとして有名ですが、ソ連製のベストセラーの銃です。
このバレンタインの言葉『AK47こそ 真の大量破壊兵器だ』の『AK47』は、アメリカ製の『M-16』に置き換えても良いのです。ポイントは世間一般において大量破壊兵器と言われていない安い武器が、実は大量破壊兵器になっていることなのです。
核兵器、化学兵器、ミサイルなどの様々な大量破壊兵器については人々は反対を表明をします。これは正しいことですが、しかし、このインターポールのバレンタインが言ったことには、多くの注意ははらわない。しかし、実際はバレンタインが言うように、真の大量破壊兵器で非常に多くの人々が亡くなっている。そして、そこに武器商人が暗躍しているのです。こういう現実を無視して、平和運動をしても、その半分は偽善的ということに確実になるでしょう。実は少額の資金で大量破壊兵器はつくられ、流通するのです。
だからこそ、戦争がはじまったらとにかくその終息を進めることが大事なのです。そうでないと、この真の大量破壊兵器が出回り、人々の命を奪っていくのです。どうして、そうなるか? それは、そのことによって儲ける人たちがいるからです。だから、戦争に資金を投下することは、まさに火に油を注ぐことになるのです。
そして、映画の最後では、主人公の武器商人・オルロフが以下のように言います。


世界を受け継ぐのは武器商人だ
他は殺し合いで忙しい
生き残る秘訣は
”戦争に行かないこと”
特に 自分からは



至言です。戦争に行かないこと、戦争をしないこと。それが全てです。
近代の幕開けである明治維新以降、日本で生き残っているのは、実に武器商人・トーマス・グラバーの系譜です。その経歴をよく見ればわかります。
そして、オルロフのいうように生き残る秘訣は『戦争に行かないこと』なのです。維新から1945年までの日本は次から次へと戦争をしました。そして、1945年にその戦争で滅びた。
だから、戦後はもう戦争をしないと宣言した。ここに日本の『平和憲法』の本当の意味があるのです。殺し合いに参加しないと宣言することが、何よりも平和のために重要なのです。それが戦争を本当に知るものの行動なのであり、これが、戦後の日本が打ち立てた紛れもない金字塔なのです。これは本当にすごいことなのです。
ほとんどの日本国民は、先の大戦で敗戦し、占領されたから軍事力を奪われ『平和憲法』になったと勘違いをしています。しかし、それはあくまでも勘違いでしかありません。
『平和憲法』はあくまでも『戦争に行かないこと』を宣言したことがポイントなのです。だからこそ、『平和憲法』を変えようとする者は、必ず『ロード・オブ・ウォー(Lord of War)』=武器商人、戦争の支配者、戦争の王と繋がっています。それは、先の大戦のように日本人を戦争に行かせ、武器を買い、使わせるようにしようとしているに過ぎないのです。

「《国際情勢》 ロシアが主張するナチスの問題は無視すべきではない その2」(2022年3月5日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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