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《国際情勢》 ロシアが主張するナチスの問題は無視すべきではない その2
[日本の政治]
2022年3月5日 0時58分の記事

昨日の本ブログ「《国際情勢》 ロシアが主張するナチスの問題は無視すべきではない その1」(2022年3月4日)の続きです。

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◎ 非人道的な寄付行為
再度、この映画の話しに戻しましょう。主人公の武器商人・オルロフは、冷戦終結後のソ連崩壊期に、ビジネスを一気に伸ばしていきます。1992年、彼が向った先は、生まれ故郷であるウクライナ。ウクライナは穀倉地帯としても有名ですが、やはりソ連時代からの軍需産業集積地であることが特筆すべき点です。そういう場所柄にチェルノブイリ原発があったと考えるのが自然であるのです。
映画では、オルロフはソ連崩壊でほぼ無政府状態になっているウクライナに飛んで、大量の兵器を買い付け、武器商人として頭角を現わしていきます。
このような兵器の買い付け、流通にはすべて賄賂が伴います。これが本ブログ「《日本の政治》 ウクライナは世界的な腐敗国であることを忘れている」(2022年2月16日)で書いた、ウクライナが腐敗国家である意味です。「CORRUPTION PERCEPTIONS INDEX」(2021年 トランスペアレンシー・インターナショナル(TI))での2021年の最新の腐敗度の調査では、中国が66位で、ウクライナは122位なのです。いまだにひどい腐敗国家。ウクライナに比べたら中国はとてもクリーンな国です。
ウクライナにどれだけの武器商人が暗躍していることか? この腐敗度を見ると、むしろそういう存在がこの国の中心かもしれないとさえ考えます。
そして、何よりもこの腐敗度が意味することは、ウクライナに投下された支援がしっかりと使われる保証なんぞどこにもないということなのです。ウクライナは当然、寄付が来れば、一部は誰かのポッケに入るかもしれませんが、さらにその大部分が武器商人の手に渡る。そういうことがあっても、誰も検証できないのが、腐敗国家たる意味なのです。
以下の3つの記事は今年に入ってのものですが、これらはロシアの動きを想定して、ウクライナの民間人が銃を手にし、軍事訓練をしてきたことを報じるものです。

「『息子を守るために戦う』銃を手に取るウクライナの母親」(2022年2月22日 ロイター)

「『家を守る』銃を手にロシア侵攻に備えるウクライナの母親」(2022年1月31日 AFP)

「民間人が軍事訓練 露侵攻の懸念高まるウクライナ」(2022年2月20日 産経新聞)

これらを見ると、正にウクライナの人々へは『自衛の手段』が行き渡り『1人1丁の世界』にすでになっていることがわかります。『自衛の手段』を提供する武器商人が、これまでウクライナでどれだけ儲けたことか。
そして、ロシアによって戦端が開かれ、ウクライナ市民は小銃でロシア軍に立ち向かう。しかし、ロシアはそれをはるかに上回る兵器で当然、殺戮をしていきます。ロシアは戦端を開いたのですから、目的が達成されるまで、やり続けるでしょう。威信がかかっている。ロシアは今回、戦端を開くにあたってすべてを計算して、想定しています。
そうなると、ウクライナ市民が小銃で立ち向かっても、それはあまりにも無謀な闘いになるのです。まさに日本が先の大戦中、B−29を竹槍で落とす訓練までしていたことと同じなのです。そんな死ぬだけのことをさせてはいけないのです。
先の大戦において、日本が完全に劣勢になっている1944年以降の戦争末期に戦死者(約310万人)の9割がなくなっているのです。その数約279万人です。無謀な闘いは凄惨な結果をもたらします。

「【日本軍兵士】日本人犠牲者310万人、アジア・太平洋戦争の真実」(2019年8月13日 NewsPicks)

◎ なぜ、戦争を長引かせようとするのか?
戦争が一度始まってしまったら、何よりもその戦争を一日も早く終息させることが何より重要なのです。そうすれば、失われる命は確実に減るのです。
そして、日本のテレビ報道で誰も言っていませんが、戦争が早く終わる方が、実はロシアにとっては正当性の根拠が失われることになるのです。ここが今回、最重要ポイントになります。日本のテレビ報道を見ていると、戦争が長引くことを志向しているように見えて仕方がありません。本当に恐ろしい。
そして、そんな戦争を長引かせると、今度は西側の経済が破綻するという西側が『想定していない事態』が到来する可能性は日に日に上がります。ロシアの経済を締め上げてきたつもりが、実は自分の首を絞めるということになる可能性は非常に上がっていると考えます。
テレビから流れてくるロシアとウクライナの問題は、ショーではないのです。もちろん、テレビゲームでもない。現実に人が死ぬ戦争なのです。そして、戦争が長引けば人の命が奪われる、町が破壊されていく。
そして、以下のような西側や北欧がウクライナに武器供与をすれば、さらに事態は泥沼化します。ロシアはとにかく威信にかけて総力戦をする。ウクライナ全土は殺戮の場となる。この武器供与は単にそれを助長するだけになる。

「アメリカとドイツ ウクライナに武器供与へ」(2022年2月27日 テレビ朝日)

「北欧2カ国、ウクライナに武器供与へ 両国の首脳『歴史的な決断』」(2022年3月1日 朝日新聞)

「欧州各国のウクライナへの武器供与相次ぐ、独も政策転換」(2022年2月27日 CNN)

さらに言えば、この西側・北欧の武器供与で、闇での『自衛の手段』を売る武器商人の武器流通がカモフラージュされます。このような西側からの武器供与がなければ、ウクライナはどこから武器を調達したのかと言うことがポイントになり、当然、それは闇の武器商人ということになるのですが、この西側の武器供与で、そういうことが隠されてしまうわけです。
そして、ウクライナは世界の兵器とお金が集まる戦争地域・キリングフィールドと化していくわけです。

◎ 平和ボケの真の意味
ウクライナへの寄付金を投じることは、この武器供与とまったく同じです。ウクライナは武器を必要としていて、その武器を買うお金を必要としています。
可哀想なウクライナを支援し、カンパ、寄付をする。そのお金は武器商人に流れ、ウクライナ人へ『自衛の手段』としての銃が手渡される。そして、殺し合いが加速される。さらにそれを手に取って闘えば、ロシア人も犠牲になるが、上述のようにロシア軍の兵器で多くの人々が殺戮されていく。
ウクライナへのカンパや寄付、支援で、殺し合いが加速されることをのぞんでいるのでしょうか? そのように殺戮をエスカレーションすることに加担することに自覚はないのでしょうか?
戦争反対、戦争は絶対ダメと声を上げることは大事です。これは極めて大事です。とにかくそうすべきです。
しかし、銃を買うお金をだしたら、それは反戦平和活動では絶対にありません。それは明らかな『戦争行為』なのです。
ウクライナへの寄付は、反ロシアの戦争行為に過ぎないです。そして、ただただ、そのお金で殺し合いを加速している。火に油を注いでいる。どんなことを言おうと、それが現実です。
本当に反戦なら火に油を注ぐべきではない。あくまでも反戦を唱えるべきです。
『平和ボケ』とは、平和を叫ぶこと、平和を求めることではありません。平和を叫ぶこと、平和を求めることは、立派な現実主義です。
『平和ボケ』とは、何よりも戦争を侮ること、戦争の醜さ、怖さを忘れることです。戦争を過小評価することです。戦争を平時の出来事と考えることです。戦争をテレビゲームやサッカーの国際試合と勘違いすることです。平和を叫び、平和を求めることは、戦争の怖さ、醜さをしっているからにほかなりません。だから、平和を叫び、平和を求めることは、現実主義、リアリズムなのです。
この『平和ボケ』、日本の右翼にも左翼にもものすごくあると考えます。
ウクライナに投じられた多額の寄付。この寄付金で、これからどれだけの人々の命が奪われることか。
この寄付金の意味は、先の大戦末期、敗戦が決定的にもかかわらず軍部が『1億総玉砕、徹底抗戦』と主張しているときに、海外から多額の寄付金と武器が贈られてきて、戦争終結の気運が一気になくなり、戦争が継続されるのと同じことです。先の大戦末期の日本で、そうなっていたら、本当に1億総玉砕になって、日本の戦後はなかったことでしょう。私たちのほとんども生まれていません。
ウクライナへ、『国を守れ』ということでお金を出せば、殺し合いは続行される。このことは真剣に考えるべきです。極めて愚かしい。
そして、いかなる名目でも多額のお金が動けば、それで儲けようとする人がわんさか出てきます。そのお金は武器商人にも流れる。そういう現実を少しでも考えているのでしょうか?
恐らく、自然災害の復興資金と勘違いしているのでしょう。それは、戦争を平時の出来事と考えていることであり、戦争を侮っているまさに『平和ボケ』であるのです。そして、この勘違いはあまりにもひどい。ひどすぎる。

そして、戦争ははやく終息させないと、不測の事態の陥ることもあります。第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、それらが始まったとき、世界大戦になるとはほとんどの人は思っていないのです。今回もまた同じです。ただし、私はザ・フナイなどで数年前から終末的な世界大戦の可能性を指摘してきました。だからこそ、ザ・フナイの連載などで、このウクライナ問題を何回も取り上げてきたのです。早く終わらせないと人類の終末になる可能性が今あるのです。
現状は数年前からの予測の通りなのです。これ、脅しではありませんからね。私は真剣に恐れているのです。


(つづく)

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くる天

◎ 必読の書

○ 『餓死した英霊たち』

○ 『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』

先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

○ 『CIA日本が次の標的だ―ポスト冷戦の経済諜報戦』


◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐勇治(政治評論家) さん
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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