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円安ドル高は実はドル暴落の結果にすぎない
[日本の政治]
2024年4月19日 15時7分の記事

4月17日、FRB議長のパウエルが、政策金利の利下げ開始先延ばしを示唆したと報じられています。その理由が色々と言われていますが、本ブログ『金の暴騰が意味すること 』(2024年4月13日)で申し上げたように、その理由は、政策金利を今下げると、ドルの大暴落が始まってしまうということにつきると考えます。そう言う意味で、このパウエル発言は予想通りと考えます。

・ 『パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆−インフレ根強く 』(2024年4月17日 ブルームバーグ)

・ 『インフレ鈍化確信「時間かかる」 FRB議長、政策金利の当面維持を示唆 』(2024年4月17日 時事通信)

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パウエルは政策金利の利下げ開始先延ばしの理由について、『インフレ鈍化の確信を得るには「想定しているよりも長くかかる可能性がある」』(2024年4月17日 時事通信)と『インフレ要因』を上げています。無論、このことは主要因ではありません。現状は、政策金利を上げることによって通貨量が減り、経済が下降することを防ぐために、『通貨供給』をしていることがインフレの原因と考えます。言ってみればインフレを起こしているわけです。必然、この『通貨供給』が終わってしまうと、米経済は破綻していくわけです。
また、この『インフレ』は、新型コロナウィルスにおける米国で、経済・社会の救済対策のために大規模にお金をばら撒いたことが主要因ではないことは、言うまでもありません。


○ 円安ドル高はドル暴落の結果に過ぎない
現在の日本では、急激に生じている円安ドル高を観て、円安と同時に『ドルの高騰』ということが言われています。
しかし、FRBのトップが米国でインフレが起きていると言っているのに、ドルが高騰するはずはありません。インフレとは貨幣価値の低落です。日本も通貨供給量を長年増やしてきて、インフレ政策をしてきた貨幣価値の低落が起きて、米国でもインフレで貨幣価値が落ちているのなら、普通なら急激な円安ドル高にはならないはずです。
ではどうして円安ドル高になるのか? それは以下のロイターの記事が示すように日米金利差によるものであるわけです。両国の中央銀行の政策金利の差があり、日銀は低金利、FRBは高金利となっているから、円を売ってドルを買った方がよいので、円安ドル高になっているということです。

・ 『円安は「かなり大幅」、日米金利差を反映=IMFアジア太平洋局長 』(2024年4月19日 ロイター)


このロイターの記事では、この日米金利差は日米の経済のファンダメンタルズの動向に沿っているということが言われていますが、そう言うことではないでしょう。これは、本ブログ『金の暴騰が意味すること 』(2024年4月13日)で申し上げたように、金価格を観ればわかることです。ドルは金に対して暴落しています。本当に米経済がとても良く、それが金利に反映されているというのなら、今年に入ってドルが金に対して20%も下落することはないでしょう。
また、この金が暴騰している要因として現在の中東情勢などの有事が原因ということはあまりないでしょう。なぜなら、金価格の上昇、すなわちドルの下落はもっと前から起きていることだからです。
では、何が原因か?
このことはザ・フナイなどで再三申し上げてきましたし、本ブログ『金の暴騰が意味すること 』(2024年4月13日)で書きました。
それを端的に言えば、FRBドルが基軸通貨でなくなり、主要通貨となったことです。このことが2021年に起きている。そして、このことが生じたことによって、FRBドルは唯一の原油決済通貨ではなくなった、すなわち原油がFRBドルの価値の裏打ちではなくなったと言うことなのです。
FRBドルが唯一の原油決済通貨であれば、ドルがなければ原油を購入できないので、それは原油がドルの価値の裏打ちということになるわけです。そう言う体制を米軍の世界展開で可能とし、その米軍の世界展開をFRBドルが基軸通貨であることで可能として、さらにFRBドルが唯一の原油決済通貨であることが、基軸通貨FRBドルの価値の裏打ちとなったわけです。
1971年8月15日、第二次ニクソンショック(ドルショック)で、FRBドルの金兌換が停止したあと、FRBドルの価値の裏打ちは金ではなく、原油になり、このような基軸通貨、米軍の世界展開、唯一の原油決済通貨という三位一体の基軸通貨FRBドル体制を維持してきたわけです。
しかし、それも終わってしまった。そして、これは契約のお話しなので期限があり、その期限にあわせて世界は動いてきたわけです。このことをザ・フナイの連載などで書いてきましたが、以下のようにドル以外での原油決済のお話しがどんどんでてきているわけです。

・ 『サウジ、「原油輸出を人民元で決済」構想 』(2022年3月16日 日本経済新聞)

・ 『インド、UAE産原油を自国通貨ルピーで決済 』(2023年8月15日 ロイター)

・ 『ドル以外の通貨での石油貿易決済、サウジはオープン−財務相 』(2023年1月8日 ブルームバーグ)

・ 『「人民元建て」“ペトロダラー”に風穴=柴田明夫 新冷戦とドル・原油・金 』(2018年11月19日 エコノミスト)


FRBドルが唯一の原油決済通貨でなくなり、FRBドルの価値の裏打ちが原油でなくなれば、FRBドルは単なる紙切れ、その価値はどんどん落ちるわけです。そのことを端的に金価格が示しているに過ぎないわけです。だから、このFRBドルの価値の目減りを解消する必要がある。そのために、FRBが政策金利をあげているわけで、このことが、2021年に基軸通貨FRBドルが終焉した翌年の2022年1月から始まっているわけです。
ただ、FRBが政策金利を上げると通貨量は当然減っていき、経済が低落していくので、別の形で通貨量を増やしていて、それが『インフレ』となっているに過ぎないのです。これが辻褄。
このように観てくると、必然的に明らかなのは、現状の世界に基軸通貨がないことです。だから新たな基軸通貨を創設するという動きが世界にあるわけです。一方で、基軸通貨はなく、主要通貨が並立する状態を目指す動きもあるわけです。この動きはブロック経済になるのかもしれません。
新たな基軸通貨を創設しようとしているのが、英米などの勢力なのです。したがって、このことが現在の中東情勢の本因なのです。同時にこのことが、ロシア・ウクライナ情勢の本因なのです。これらのことについては、本ブログ『中東大戦・第三次世界大戦の危険性が大きくなっていると考えます 』(2024年)で書きましたが、いずれこれらに朝鮮半島情勢など東アジアがはいる可能性は非常に高いのです。第三次世界大戦は中東だけで起るわけではないのです。
現在の世界はFRBドルが主要通貨となり、実質ドルの価値は暴落しており、その価値を維持するために金利を付けていることから、日米金利差が生まれ、したがって、円安ドル高になっているということなのです。つまり、現在の円安ドル高は端的にドルの暴落の現象なのです。円が安くなったからではないのです。

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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