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<国際情勢> 再び北風が吹かされる 北朝鮮のミサイルの意味
[日本の政治]
2022年3月6日 23時59分の記事

本ブログ「《国際情勢》 北朝鮮のミサイル発射が意味すること」(2022年2月28日)では、北朝鮮のミサイル発射が意味することを書きました。その意味とは、韓国の国政選挙で韓国の保守派を勝たせるためのもの、それも南北共同で行なっているものでした。もちろん、この北朝鮮のミサイル発射は、日本向け、米国向けもあります。日本向けの場合は、言うまでもなく国政選挙で自民党を勝たせるためのもの、右翼を勢いづかせるためのもの、日本が軍拡へと動きやすするためのものです。
そして、以下の記事にあるように、3月5日、また北朝鮮がミサイルを発射しました。

「北朝鮮のミサイル300キロ飛行、同国東岸付近に落下=岸防衛相」(2022年3月5日 ロイター)

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今回も当然、3月9日の韓国の大統領選挙向けなのは明らかなのですが、3月3日、中道系野党代表・アン・チョルス(安哲秀)氏が出馬を辞退、保守系の最大野党「国民の力」のユン・ソギョル(尹錫悦)候補を支持し、候補者一本化となりました。そして、このことによって、保守系のユン(尹)候補が、与党・リベラルのイ・ジェミョン(李在明)候補に対してかなり有利になったと観られていました。

「韓国大統領選、候補一本化で野党に追い風」(2022年3月3日 日本経済新聞)

しかし、それなら北朝鮮はミサイルを発射する必要はないのですが、実は以下の韓国紙・中央日報にミサイル発射の必要性の内実が載っています。


反面、保守陣営の一本化という「作用」に対抗して進歩陣営の「反作用」も大きくなる可能性があるという分析だ。エムブレインンパブリックのイ・ビョンイル代表は「野党圏候補の一本化は与党支持層を結集させるきっかけになり得るし、正義党の沈相ジョン(シム・サンジョン)候補支持層にも一種の圧力として働くことができる」とし「一本化効果と進歩陣営の結集効果が相殺されれば、一本化効果が弱くなる可能性もある」と話した。
実際、文化日報・エムブレインパブリック(3月1〜2日)の調査では一本化前に1.8%ポイント(李候補41.9%、尹候補43.7%)だった格差が一本化を仮定したときは0.9%ポイント(李候補45.0%、尹候補が45.9%)にかえって減った。李候補側関係者は「安候補が最近まで『尹候補を選べば指を切りたくなるだろう』というなど一本化には否定的な気流が流れていた。『逆結集』を期待する」と話した。

「<韓国大統領選>『これからこの2つが大統領選を左右する』…李・尹『最後の5日間勝負』(2)」(2022年3月4日 中央日報)


実は韓国保守系候補である尹氏への一本化の効果が、思ったほど出ていないと考えられるのです。だから、また北朝鮮がミサイルを撃つわけです。とてもわかりやすい。
そうなるとこの一本化がなければ、韓国保守系候補である尹氏はかなりの劣勢であったことは明らかなので、2月28日のブログに書いたように、これまで北朝鮮が狂ったようにミサイルを撃ちまくるのは当然であるわけです。これもとてもわかりやすい。世の中というのは実はこのようなことで動いているのです。
さらに、このような北朝鮮の『北風』がないと韓国の保守系は劣勢になっている現状というものが、実は厳然としてあるわけです。このことは、今回の選挙の結果の如何を問わず、今後、韓国の保守系が衰退していくことを暗示しているものと考えます。

◎ 北朝鮮と中国との関係についての一般的な見解は間違い
また、以下のように韓国メディア・WOW!Koreaの3月5日の記事「北朝鮮の弾道ミサイル『高度560キロ・飛行距離270キロ』…北京パラリンピックを『無視』?」では、中国で国家的なイベントである全人代やパラリンピックなどがあるのに、北朝鮮がミサイルを発射するということは、北朝鮮がそれらの中国のイベントを無視するということなのか、という趣旨のことを書いています。つまり、中国と関係が深い北朝鮮が、ミサイル発射で中国のメンツをつぶすようなことになることに、この記事は違和感をもっているわけです。当然でしょう。


また、北京オリンピック期間、ミサイルによる武力示威を自粛していた北朝鮮が、パラリンピックが始まるとともに中国最大の政治イベントである全国人民代表大会と全国人民政治協商会議の “両会”期間に「ミサイルカードを切った」という点も注目されている。

「北朝鮮の弾道ミサイル『高度560キロ・飛行距離270キロ』…北京パラリンピックを『無視』?」(2022年3月5日 WOW!Korea)


ただ、その違和感は前提が間違っているのです。北朝鮮は中国とは近くないのです。もちろん、ロシアとも近くありません。2月28日のブログでは以下のように書きました。


そう言う中で、以下の記事にあるように、2月27日、中国政府高官が「北朝鮮の懸念を重視し解決すべきだ」と米国に注文したということは、結構、意味深なものと考えます。どうして、中国が米国に北朝鮮のことで注文をつけるのか? 中国が北朝鮮に直接言えば良いと思われる方が多数いらっしゃると思いますが、中国が米国に注文をつける理由は、上記の『北風』の構造を考えれば、すぐにおわかりになるはずです。

「中国政府高官『北朝鮮の懸念重視すべき』と米国に注文」(2022年2月28日 テレビ朝日)


言うまでもなく、その答えは、北朝鮮が一番近い国が米国だからなのです。それだけです。
だから、以下のアエラの記事のように、北朝鮮のウラン濃縮施設のモデルが『青森県六ケ所村の核燃料再処理工場』ということになるのです。このことはザ・フナイ2018年9月号で詳述しました。北朝鮮の核にロシアも、中国も関係ありません。一番関係あるのは、日米、そして世界の核の総元締めであるのイギリスなのです。イギリスこそが何よりの諸悪の根源。このことはお忘れにならないように。

「北のエンジニアの気になる発言『モデルは六ヶ所村』」(2012年12月19日 アエラ)

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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