日刊ゲンダイの記事の実相を考える | |||
[日本の政治] | |||
2023年12月25日 23時48分の記事 | |||
以下の12月24日の日刊ゲンダイの記事には、自民党の政治資金収支報告書未記載の裏金問題で、焦点となっている安倍派と二階派(志帥会)について書かれています。記事の話題は万博大臣の自見英子氏。同氏は二階派に所属。そして、この自民党の裏金問題で二階派も焦点となっていることから、同氏は二階派へ退会届けをだしたわけですが、派閥会長の二階氏が激怒というこが記事には書かれています。そして、この記事ではこのような派閥はヤクザ組織と表現しています。確かに政界は『ヤクザな世界』だと思いますが、これは自民党の派閥に限ったことではないと思います。また、二階派はどちらかというと武闘派のイメージがあります。とは言え、この自見英子氏について二階氏が怒っているということは少し事情があるように考えます。日刊ゲンダイが言うような単純な話しではないでしょう。 ・ 『裏金問題で自見大臣が派閥退会届、二階俊博会長が激怒!《派閥という名のヤクザ組織》とSNS震撼 』(2023年12月24日 日刊ゲンダイ)
二階派は志帥会です。この志帥会はもとは亀井静香さんが領袖でした。亀井静香さんは国民新党を作り、そこに私も関わっていたので、亀井さんについてはよく知っています。私の元ボスです。ただ、だからといって、二階派には私は関わっていませんし、二階派については基本的には良くは思っていません。それは、この裏金問題というよりは、政策・方向性について基本的に良いとは思っていません。 一方、亀井静香さんについては、政治思想家として非常に尊敬しています。そのことは本ブログ『当代一流の政治思想家による保守思想の定義 』(2023年11月26日)に書きました。亀井さんの政治思想家としての能力は日本の政界では群を抜いています。まさに唯一無二の存在とも言えます。亀井さんの頭はやはり鋭くきれる。それもものすごくきれる。 そして、現在の日本の政界にはしっかりとした政治思想と政治思想家が必要なのです。どう観ても、亀井さんは現在の日本の政治においてはキーマンです。この私の考えは、今後、亀井さんに何があろうと変わることはありません。変る時は亀井さんの政治思想が間違っていると判断したときです。 そして、実際、現状の政局において、亀井静香さんは極めて大きなポイントとなっています。以下の11月26日の北國新聞の記事では、元総理の森喜朗氏が亀井さんの動きについて言及しています。亀井さんと森氏は1994年の自社さ政権樹立の盟友です。
森喜朗氏はこのあと『だから今こそ、清和政策研究会(安倍派)が岸田さんをしっかり支えないといけない』と述べています。私はこの森氏の発言は『私は亀井さんとは関係ありません。岸田政権を支えます』とキシダ政権に懇願しているメッセージだと受け取ります。キシダ政権は支持率こそ最悪ですが、立場としては追い込まれてはいないのです。むしろ、現状はかなり強気にでていると考えます。 話しを戻すと、この森発言のポイントは、亀井さんが政界において何かを画策していることです。それでは何を画策しているのか? そのことが以下のテレビ朝日の記事に出ています。亀井さんは、12月20日に以下のように発言しています。
政界がここまでくると政界再編の可能性は極めて高くなっていると考えます。私的にはすでに55年体制は崩壊しています。したがって、これからどういう政治、どういう日本をつくるか、そういう場面になっていると考えます。そして、だからこそ、こういうときに最大のポイントになるのが『政治思想』なのです。 亀井さんのこの発言の実相は、政界がぐしゃぐしゃになっているから『政界再編』になるということではなく、上記の11月の森氏の発言から明らかなように、亀井さんがそもそも『政界再編』を画策しているからこそ、このような『政界再編』発言となったと考えるのが正解と考えます。そして、政界再編の力量は亀井さんなら間違いなく十分にある。 つまり、それをつぶそうとしているのが、キシダ政権の動きであるわけです。その背景には普通は麻生氏がいると考えるべきでしょう。大宏池会。このような両者の動き・拮抗・対決は今年の初めからずっとやっているのです。 以下の今年初めに出された本には亀井さんが参加していますが、『自民党という絶望』というタイトルを観ても、亀井さんが何を考えているかはっきりとわかるでしょう。出版時期から考えれば、このような考えを昨年から亀井さんがもっていることははっきりしています。 『自民党という絶望』(2023年 宝島社新書 著者:石破茂、鈴木エイト、白井聡、古谷経衡、浜矩子、野口悠紀雄、鈴木宣弘、井上寿一、亀井静香) そして、二階派はもとは亀井派で、二階派に対して亀井さんは今も十分に影響力があるのは当然です。二階派の事務総長の武田良太氏は、そもそも亀井さんの秘書です。 実は自見英子氏の問題は、このような政界の動きの中で観ないとわからないものなのです。というより、そう観るべきでしょう。そして、このポイントから観れば、二階氏が自見英子氏について激怒しているということは、当然だろうと私は思います。その理由を簡単にご説明しましょう。 自見英子氏の父親は元衆議院議員(参議院議員1期)の自見庄三郎氏で、私が広報部長をしていた国民新党にいました。ですので当然、私は自見英子氏ともあったことがあります。 そして、この国民新党は亀井静香さんがつくったものです。 そういう国民新党が、民主党連立政権に参画していたときに、民主党が消費税増税を強行したわけです。これに反発したのが亀井静香さんと亀井亜紀子さん(親子ではない)で、二人は民主党との連立を解消し、政権のポストを返上して、政権離脱を主張しました。2012年のことです。 この二人の亀井は結党当初から党のためにとにかく苦労をともにした方々です。 しかし、民主党政権のポストにしがみついて、消費税増税に賛成して、連立残留をいったのが自見庄三郎氏をはじめとする党の他のメンバーであったわけです。そして亀井静香さんと亀井亜紀子さんは国民新党から追い出されて、新たな党首になったのが自見庄三郎氏(当時、金融・郵政改革担当大臣)なのです。そして、その自見庄三郎氏の国民新党は国民を苦しめる消費税増税に賛成しました。 ご存じの通り、国民新党の政策の『一丁目一番地』は『郵政民営化反対』です。ただ、国民新党はそのことを経済財政政策大綱の中で語っていました。単に郵政民営化に反対したのではなく、経済財政政策において、郵政民営化はダメだと言っていたわけです。今や当たり前になっている日本政府の百兆円を超える財政政策は、そもそも国民新党が主張していたことなのです。 国民新党の主張した政策を実施していれば、現在の日本の国力がここまで落ちていることはなかったでしょう。このことは断言します。 その国民新党の経済財政政策においての一丁目一番地は、財政出動と消費税の減税・廃止なのです。つまり、民主党政権が推し進めた消費税増税は、国民新党の党是と国民への約束を反故にするということなのです。 ですから、当然、亀井静香さんと亀井亜紀子さんは民主党連立政権からの離脱を言ったわけです。これは当たり前ですし、それが国民への責任です。しかし、自見庄三郎氏をはじめとする国民新党の他のメンバーは、亀井静香さんと亀井亜紀子さんを追い出して、民主党との連立を維持したわけです。そのときにこの『自見庄三郎氏の国民新党』は国民を裏切ったわけです。 その後、あえなく民主党連立政権は瓦解、自見庄三郎氏の国民新党は消滅したわけです(最後は『自見1人で議員総会を開き、国民新党の解党を決定』したそうです)。 さらに、自見氏は自民党復党へと動き、自見英子氏は二階派に所属したわけです。しかし、その二階派は亀井静香さんの影響があるところですから、当然、亀井静香さんの何らかの関与があって、自見英子氏が二階派に入ったと考えるのが自然です。そして、そのおかげで大臣にもなれたわけです。 しかし、どうでしょう。現在になって、自見英子氏が大臣職にとどまって二階派離脱というのでは、2012年の民主党連立時に自見庄三郎(当時、金融・郵政改革担当大臣)氏がしたことと同じではないかと考えます。これでは亀井さんを裏切るのは二回目ということになります。二階氏が怒るのは当然だろうと普通に思います。 むしろ、実相は、自見英子氏は節操がなさすぎると私には見えます。普通なら大臣職を辞すというのが筋と考えます。ただ、もしかたたら自見英子氏は政権に残って『トロイの木馬』になっているのかもしれません。それはわかりませんが、可能性はあります。いずれにせよ、自見英子氏に関わる状況は、冒頭の日刊ゲンダイの記事のような単純なものはないと考えます。 亀井静香さんは政治思想家としては大変に優れています。長らくお話しをしていないので、お考えは変わられてしまったかもしれませんが、それでも上述した亀井さんについての私の意見は率直なものです。亀井さんがこれからの日本をどのように変えようとしているのか、今後の日本には何が大切なのかなど、是非とも会ってじっくりと伺いたいものです。 現在の政界では、『二階・菅』と『麻生・岸田』との対立構造で実は今年初旬からずっとやり合っています。そして、この背景に『亀井静香さん』がいるということが、日本の政界の実相でしょう。 本当なら、ここに立民などが存在感を発揮して第三極を形成していなければならなかったのですが、立民・イズミではまったく話しにはなりません。本当に話にならない。まだ、れいわ新撰組の山本太郎氏の方が方向性を持っています。だからこそ、彼らへの支持がジワジワと伸びているのです。繰り返しになりますが、現在の日本で必要なのは『優れた政治思想』なのです。アベ政治と言う最悪の右翼政治を乗り越えて、私たちが見つめなければならないことはこのことなのです。 そして、だからこそ、55年体制の世界観で考えても実はトンチンカンになるだけなのです。そういうものを上記の日刊ゲンダイの記事には、残念ですが、感じてしまいました。 最終編集日時:2023年12月26日 10時45分 | |||
このブログへのチップ 0pts. [チップとは] [このブログのチップを見る] [チップをあげる] |
このブログの評価 ★★★★★ [このブログの評価を見る] [この記事を評価する] |
◆この記事へのコメント | |
コメントはありません。 | |
◆この記事へのトラックバック | |
トラックバックはありません。 トラックバックURL https://kuruten.jp/blog/tb/katagiri/491221 |