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上川発言の本質は何か?
[日本の政治]
2024年5月19日 23時51分の記事

外相の上川が、応援演説で「うまずして何が女性か」と発言、それが問題視され、早速、その発言が本人により撤回されました。この上川発言の本質は一体、何か?

・ 『上川外相 応援演説での「うまずして何が女性か」発言を撤回 』(2024年5月19日 NHK)

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私が国民新党の広報部長をしていたときのある日のこと、午後9時過ぎに党本部の職場に一人だけ残って仕事をしていたら、電話がなりました。いつものようにとったら、陳情の電話で、不妊症の方からのものでした。陳情の内容は不妊症とその治療ついてや、支援体制の改善を訴えるものでした。2時間ほどお話しを伺いました。本音を言えば、仕事が立て込み、疲れ切っていたので、早く電話を切り上げたく思っていました。
しかし、その方のお話を聞くと、やはりそんな簡単に切り上げてはいけないと率直に思いました。その方たちにとっては本当に切実な、そして一生をかけたお話しなのです。軽く扱って良いはずはありません。そして、そのような立場の方たちに与える心の負担は考えなければなりません。このことは今回の上川発言にも関わることです。「うまずして何が女性か」と言ってしまえば、生みたくとも生めない人は女性ではないということになってしまいます。これはやはり大問題。
ただ、この世において、古今東西の別なく、人類という生物において、子どもを産み、将来に人間社会を形づくることができるのは女性の存在があってのことです。そして、女性が子どもを産むことが無価値だとは私には到底思えませんし、そして女性の存在そのものが無価値だとも私には到底思えません。女性が子どもを産むということは、この世の根本とも言える価値であって、それは否定されるべきことではないと心から思っています。この価値を否定することは人間社会、人類そのものの存在を否定するということと同義だと私は考えていますし、それは戦争をして大量虐殺をしても良いと言っていることと同じことと私は考えています。


○ 上川発言の本質
それでは、上川発言の問題点は一体、何か? 上述したように生みたくとも生めない女性は、女性ではないということを間接的にでも言ってしまっていますので、それはやはり大問題です。
ただ、それ以上に、そもそも、発言そのものが『女性』ということに偏りすぎていることに問題の本質があります。
『女性』と言うことをことさらに強調して、政治においてことを動かそうとするからこのような発言になるのです。あくまでもポイントはここにあります。だから応援演説でこのような失言となってしまったわけです。
そして、男女の別なく日本国民のためにあるのが政治家であるのに、上川は女性にしか焦点を当てていないので、このような発言になるのです。だから、この発言の釈明に言われた上川の発言にも、しっかりと『女性』ということに偏りすぎていることが貫かれているわけです。以下のように述べています。


「女性パワーで未来を変えるという私の真意と違う形で受け止められる可能性があるとの指摘を真摯に受け止め、この度、撤回をしたいと思う」

・ 『上川外相 応援演説での「うまずして何が女性か」発言を撤回 』(2024年5月19日 NHK)




では上川さん、男性パワーはどうでもよいのでしょうか? 男性は別にどうでもよい。日本政府において外務大臣という要職にあるのに、このような偏った発言が許されるのでしょうか? そんなはずはありません。
もし仮に、上川と同じ年齢である71歳の『男性』の外務大臣が『私の発言の真意は、男性パワーで未来を変えるということにある』と述べたら、これだけで女性蔑視・軽視のクソジジイと言われて、外相を更迭されるだけでしょう。男性パワーも、女性パワーも関係ないのです。政府の要職にある政治家は、『日本国民のパワーで未来を変える』といえば良いのですし、偏りなくそう言わなければならないのです。
しかし、上川は非常に偏っています。だから一連の発言になるのです。女性にしかポイントを置いていません。
実はこの釈明の発言で外相更迭でもおかしくはないのです。しかし、このことが問題にならないことが、現在の日本社会の最大の問題なのです。社会において明らかに平衡を逸していて、偏った視点が大手を振って歩いているのです。女性偏重であるのに、女性が子どもを産むことを無価値にしている社会。そしてその一現象がこの一連の上川発言とそのことへの反応なのです。
また、上川の一連の発言が問題視されないのは、この政治家が甘やかされていることの裏返しなのです。特にこの釈明発言で、この政治家は明らかに終わっている、将来に見込みがないし、日本のためには見込んではダメな政治家と私は考えます。
女性は大事にされ尊重されなければなりません。しかし、それは男性も同じです。繰り返しになりますが、国家において、外務大臣という日本国民に対して大変な責任を負っている存在が、このような偏った発言をすることは許されません。
本ブログ『『国民を甘やかす政治をしてはならない』といった池田勇人 』(2024年2月9日)では、上川について以下のように書きました。この評価は今でもまったく変わっていません。


上川の眼の暗さが非常に気になります。とても暗い。そこに国民を想う暖かさを私はまったく感じません。どうして、そのような人物が次期首相として名前が出てくるのか、まったく理解できません。無論、そこには何らかの作為があるわけで、その作為とは国民の意思とはまったく関係の無い背景があるわけです。


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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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