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米・カリフォルニア州、最低賃金を時給15ドルに
[日本の政治]
2016年4月1日 23時52分の記事

米国カリフォルニア州議会で2022年までに最低賃金を時給15ドルに引き上げる法案が可決したと報道されています。米連邦全体での最低賃金は7ドル25セントで、これに比べれば大幅な引き上げでになりますが、これほどの引き上げを州単位で行うのは初めてのことと報道されています。円換算では約1,680円という額で、単純に日本と比べても大幅な引き上げですが、非常に画期的なものと考えます。

「米・カリフォルニア州、最低賃金を時給15ドルに引き上げへ」(2016年)

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本ブログ「日本の政治は時代の変化を理解しているか??」(2016年)などで触れましたが、現在の米国大統領選で善戦しているサンダース氏は社会主義者で、彼を支持する層は米国で広がる貧富の差や中間層の消滅という状況を背景としています。一方、共和党で旋風を巻き起こしているトランプ氏を支持する層も経済的、社会的な不満を抱えた層です。米国カリフォルニア州で最低賃金が大幅に引き上げられたことは、大統領選挙を突き動かすこれらの背景と同様なものと考えます。このような動きは米国での資本主義と社会の変化を如実に示すことですし、評価すべき方向に動いているものと考えます。
資本主義というのは、資本(元手)を増やすことを目的とするものです。そして、その目的のために労働力が投入されます。そして、その行き着く先は、独占と人件費の削減というものになっていきます。
その結果、当然、99%と1%(富裕層)という世界になります。そして、資本主義においてはその99%は増えていき、1%の方は減っていきます。しかし、これが行き着く所まで行くと、最終的にその99%に購買力がないという状況に陥ります。一方でこのような状態になったとき、その1%の富裕層は利益を上げることができなくなり、存在の意味が実はなくなっていきます。これは、99%の不幸をつくりあげ、同時に1%の人間もまた意味を失うと言うことです。そして、明らかに1%の人間では世界は作り上げられません。誰も幸せになれない。資本主義にはそういう結末が約束されているわけで、資本主義そのものにこの結果への要因が内包されているのです。このことは、資本主義の性質が純粋になればなるほど顕著になります。言ってみれば、イナゴ大群と同じで、餌がある地域が存在する時は、その大群は生きながらええますが、餌を全部食い尽くしてしまえば、生きることが出来なくなると言うことです。
日本ではこのことが理解されていません。資本主義を純粋化すれば皆が豊かになると考えてこれまで新自由主義を支持してきましたが、実際、この20年を見てもそれが純粋化すればするほど豊かさは消えています。現在の日本経済や日本の社会を見れば極めて明らかなことです。
そして、この勘違いが不幸を明らかにつくり出していますし、またその勘違いを自らの利益のためにつくり出そうとする人々がいるわけです。
こう考えると、実はこの米国の最低賃金引き上げは、この資本主義のマイナス点を補うと言う意味合いが強いと言うことと言えるのです。再分配をしないと資本主義はもたないと言うことですが、そうしなければ激烈な革命的な状況などの事態を引き起こす可能性があるのです。むしろ、労働分配率を上げてある程度自由な商行為を通じて社会の発展をはかると言うことです。これは修正資本主義と言えるかもしれません。しかし、その実相はこれからの時代においては、もっと違うものになるものと考えます。そこにはもっと大きな歴史の流れがあるものと考えます。この今ある大きな歴史的な流れを日本がまだ気がついていないことに実は大きな問題があるものと考えます。イナゴの大群の餌場がなくなったとき、皆が生き残るためにどうしなくてはいけないか、何を中心にしなくてはいけないかと言うことが問われているのであろうと考えます。資本の拡大には限界がある、その時、どうするのかと言うことなのです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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