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立ち上がったことだけでも評価すべきこと
[日本の政治]
2016年5月11日 23時51分の記事

慶応大学名誉教授の小林節氏が、今夏の参議院選挙に向け政治団体「国民怒りの声」の立ち上げを発表したと報道されています。

「小林節氏が政治団体 少数精鋭プロ集団で安倍打倒の現実味」(2016年5月11日)

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この団体の掲げた政治的方向性は、メディアや大学への不介入を旨とする言論の自由の回復、消費税増税の延期、辺野古新基地建設中止と対米交渉、TPP不承認と再交渉、原発廃止と新エネルギーへの転換、戦争法廃止と関連予算の福祉・教育への転換、労働法制・環境の改善、憲法改悪阻止などと言われています。
細かいことは報じられていませんが、大変に良い方向性であると考えます。実際、政治とはまず大きな方向性がしっかりとしているか否かということが非常に重要ですので、その点、現状の問題点に対する視座と次のステップへの方向性がそこにあるものと考えます。数値目標とか、具体論などというような細目の政策論はあまり意味がありません。国家という巨大な実体を動かすときに、そのような個別論は思考を固くしますし、視野を偏狭にします。そして、往々にして手段の目的化を招きます。例えば、インフレ目標2%というのは、国民の生活を豊かにし、社会の発展に寄与するから認められるのですが、その数値を設定したことによってその数字が目的化します。2%の数値が達成されれば、国民の可処分所得が減り、消費が冷え込んでも問題ないという発想になっていきます。ただ、実際はその数値すら達成できる見込みがなく、消費が落ち込み大変な状況になっているのが現状です。
大きな方向性をしっかりと定めることがまず大事なわけです。そして、今回出されたこれらの事項の本質は、戦前から暗然と続く日本にあるひとつの流れからの脱却ということがポイントであると考えます。これらのことを実現していくと新しい日本ができてしまう、そういうことであるものと考えます。恐らく、これに資本主義の終焉というテーゼとリアリティーがいずれ加わる必要が必ずでてくるものと考えます。これは資本主義が限界に既に達しているために生じる必然ですが、これに今の自民党ではどうにも対応できないわけです。むしろ、その限界を認識できずに破滅の方向に舵を切ってしまうものと考えます。社民党や共産党など左派的な要素が必要な時代であることは間違いありませんが、しかし、それだけではない状況にあるわけです。そういう状況が今後、必然的に生じます。そして、その状況への一歩がこれらの方向性と考えます。そして、これらを論点として掲げたことだけで、小林氏は評価されるべきと考えます。間違いなくいずれ誰かがやらなくてはならないことであるわけです。
曲がりなりにも選挙を経験したものから言えば、ゼロから10人を擁立するというのは非常に大変なことです。比例代表に擁立と言うことですから供託金だけでも6,000万円かかります。供託金没収点を超えられなければ、つまり当選人を出せなければこのお金が胴元である国庫に入ります。その他、スタッフや事務所など選挙に必要なものを考えれば、候補者一人あたりの費用は大きな額になりますが、それでも最低限の選挙費用というレベルでしょう。
大変な選挙になることは間違いありませんが、それでも立ち上がると言うことは小林氏を初めとする同志達の心なのでしょう。そこまで憂いているのであり、次代を模索しているのだと考えます。しかし、良い方向性は出しています。だから、立ち上がっただけで評価すべきと考えます。彼らが選挙で結果を出せなくとも、打ち出したことは必ず次の時代の中心点になっていくでしょう。そして、それは必ず誰かがそれをやり遂げていくものと考えます。

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片桐勇治(政治評論家) さん
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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